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アストンマーティン、新型「DB12」日本初公開 2+2のグランドツーリングカーは2990万円
2023年5月26日 13:16
- 2023年5月25日 公開
- 2990万円
アストンマーティン・ジャパンは5月25日、2+2の高級グランドツーリングカーであるDBシリーズの新型モデル「DB12」を「アストンマーティン青山ハウス」(東京都港区)で日本初公開した。DB12の価格は2990万円で、デリバリーは2023年の第3四半期から開始される。
1913年、英国の高級スポーツカーメーカーとして創業したアストンマーティン。第二次世界大戦後に同社を傘下に収めたディヴィッド・ブラウンが彼のイニシャルであるDBを冠した「DB1」を登場させ、以降の新型はDBシリーズとして開発が進められてきた。その5世代目である「DB5」が映画「007シリーズ」のボンドカーとして採用されたことから、同シリーズは世界的な人気を博することになったのはご存知のとおりだ。
発表会の冒頭では、ヘッドマーケティングコミュニケーションの有澤久美子氏が「このDB12は実は本日朝7時1分にグローバルローンチとして、フランスのカンヌで発表されました。数時間のタイムラグののち、こうして日本でこのクルマをお披露目できるのは、英国がいかに日本市場を重要視しているかということを証明しています」とあいさつ。
また、アジア地区プレジデントのグレゴリー・アダムス氏による「2023年はアストンマーティン110周年というだけでなく、DBモデルの誕生75周年という節目の年でもあります。DBモデルはレースシーンや映画のスクリーンでも成功しています」という言葉とともに、淡いグリーンカラーを纏った新型がアンベールされた。「THE BIRTH OF NEW ICON(英国の新しい偶像)」と銘打って登場したDB11の後継となる新型DB12は、フロントに搭載するV8ツインターボエンジン、トランスミッション、足まわりなどをアップグレードするとともにインテリアを一新している。
DB12のボディサイズは4725×2060×1295mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2805mmで、車重は1685kgとなっている。フロントにミッドマウントされたエンジンは、ハンドビルドによる4.0リッターのV8ツインターボエンジンで、最高出力は680PS/6000rpm、最大トルクは先代のDB11から34%アップした800Nm/2750-6000rpmを発生する。リアマウントした8速ATと初採用のエレクトリック・リアディファレンシャル(E-Diff)を介したパフォーマンスは、0-60mph加速3.5秒、0-100km/hm加速3.6秒、最高速325km/hとなっている。
接着アルミニウム構造を採用したDB12のボディは、全体のねじり剛性が7%アップ。パワーアシスト・ステアリングシステム(EPAS)は可変タイプの速度感応型アシストと2.4回転の固定レシオのラックを採用し、さまざまな場面で最適なコントロールが可能になっている。またE-DiffはESCシステムと連動し、数ミリ秒以内で全開からフルロックまで変化させることが可能で、俊敏でレスポンスに優れるとともに荒れた路面でもダイナミックな走行が可能になるという。さらに新世代のアダプティブダンパーの導入と剛性の高いアンチロールバーの採用により、GTモードではラグジュアリーな乗り心地が維持される一方、スポーツ、スポーツ+モードではタイトなワインディングで活気あふれる走りを提供する。
ドライバーをサポートするエレクトリック・スタビリティプログラム(ESP)はウェット、オン、トラック、オフの4つのモードをシームレスに統合された形で事前定義され、センターコンソールのESPボタンで選択することができる。またドライブモードは、動的挙動を段階的に調整し、ステップごとに自由にグリップとトラクションの限界を探ることができる「GT」「スポーツ」「スポーツ+」の3種類のほか、グリップの低い路面での安定性を高める「ウェット」、シャシーやパワートレーン、ESP、トラクションコントロールの設定が自由に組み合わせることができる「インディビジュアル」を合わせた5つを設定。こちらもセンターコンソールのロータリーコントローラーで選択できる。
タイヤはDB12専用のミシュラン「パイロットスポーツ5 S」を装着することでスポーツツアラーとしてのキャラクターに最適化。サイズはフロント275/35R21 103Y、リア315/30R21 108Yで、既製品とは異なるアストンマーティン専用設計の証「AML」のタイヤコードが付けられている。内部のタイヤカーカスにはノイズキャンセリング・ポリウレタンフォームインサートを備えることで車内に伝わる回転音は20%低減され、ノイズレベルが低下するとともに洗練性と快適性が向上した。
21インチアロイホイールは3つの異なるデザインから選択でき、その内部には驚異的なパワーに見合った制動力を確保するため、熱容量を向上した溝とドリルド加工を施した鋳鉄製400mm径フロントディスクと360mm径リアディスクを標準装備。オプションでは最高800°Cの温度でブレーキフェードを軽減するとともにバネ下荷重を27kg削減したカーボンセラミックブレーキ(CCB)が選択できる。
エクステリアでは、トレッドはフロントが6mm、リアが22mm拡大し、ラジエーター開口部が56%も拡大されるとともにスプリッターも形状が見直された。LEDヘッドライトには新しいデイタイムランニングライトが備えられ、ワイドなスタンスをさらに強調。フロントノーズには新しいアストンマーティンのウイングバッヂが装着される。空力プロファイルを改善した小型のフレームレスウイングミラーを採用したのも新しい。
インテリアでは、センターコンソールのデザインが曲線を多用していた先代とは異なり、ショルダーラインの下まで達する水平基調で幅広のブリッジ形状のものに変更された。中央には円形のスタート/ストップボタン、その下側にはボタン式からレバー式へ変更されたシフトレバーが配されるなど物理スイッチが程よく残されており、デジタルとアナログの世界が見事に融合されている。またメルセデス・ベンツ由来であったインフォテインメントシステムが全く新しいユニットに置き換えられたのもニュースだ。
そのインフォテインメントシステムは、アストンマーティンが全くオリジナルで設計/開発したオンライン機能を備えたマルチスクリーン次世代モデルで、素早い応答時間を誇る静電容量タッチコントロールを備えた10.25インチピュアブラックの高解像度スクリーンに情報を表示する。ナビゲーションもオンライン接続による3Dマッピングを搭載。また、Aston Martinアプリを利用した無線(OTA)アップデートも可能になっている。
オーディオは390W 11スピーカーのシステムを標準装備し、さらに1170W 15スピーカーの「Bowers&Wilkins」サラウンドシステムをオプションで用意することで壮大なリスニング体験を提供するという。
アストンマーティン・エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレク・ライヒマン氏は、「DB12のデザインは、アストンマーティンが目指すスーパーツアラーを定義しています。歴史的に、現代の自動車愛好家の間でGTという名称はある種の快適さ、スピード、洗練さを意味してきました。しかし、非常に経験豊富なアストンマーティンのお客さまは単なるドライバーではありません。そのため、私たちは単純に自動車をデザインするのではなく、卓越したハンドリング、ダイナミクス、パワートレーン、スペース感覚、スタイリングなど、すべてをDB12に融合しました。そしてパフォーマンスデザインという、このまったく新しいカテゴリーの走行体験を提供するために、テクノロジーを通じてそれを最大限に実現しました」とコメントしている。
またアストンマーティン最高経営責任者(CEO)のアメデオ・フェリーサ氏は、「アストンマーティンのように長い歴史を備えたブランドは、過去を尊重することが重要です。しかし、それは過去を振り返ることではなく、110年前に創業者を突き動かした同じエネルギーと情熱を持って前進することを意味しています。新たなDB12によって、私たちはDBモデルラインアップを再び活性化し、アストンマーティンが真に卓越したパフォーマンスのスポーツカー・メーカーであることを再確認することができます。DB12は、クラスをリードするパフォーマンスと卓越したシャシー・ダイナミクスを、最先端のテクノロジー、完璧なクラフトマンシップ、完璧なデザインと組み合わせることで、アストンマーティンを新時代へと導きます」と述べている。