ニュース
マクラーレン、60周年を祝う展示イベントを六本木ヒルズで開催 「MP4/4」「アルトゥーラ」など歴史と未来を牽引するモデルが集結
2023年7月7日 16:53
- 2023年7月8日~9日 開催
- 入場無料
マクラーレンは、2023年で発足して60年目の節目を迎えることを記念して、7月8日~9日に「マクラーレン60周年記念 展示イベント」を東京都港区の六本木ヒルズ 大屋根プラザで開催する。入場は無料。
会場には、1960年代に創業者ブルース・マクラーレンが自ら開発を手掛けたモデル「M6GT」のほか、1988年にアイルトン・セナがドライブし、圧倒的な戦績を残したフォーミュラーカー「MP4/4」、マクラーレン・オートモーティブ初の市販車となる「MP4-12C」、ハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカーの「アルトゥーラ」を展示。マクラーレンが歩んできた60年の歴史と、将来を牽引するモデルが体感できる。
イベントに先駆けて7月6日に行なわれたメディアプレビューでは、「M6GT」「F1」「MP4-12C」「MP4/4」「MP4/5B」「アルトゥーラ」「GT」が展示され、マクラーレン・オートモーティブ リージョナル ディレクター APACHIのポール・ハリス氏、マクラーレン ブランドアンバサダーのアダム・リーブス氏によるプレゼンテーションが行なわれた。
ハリス氏は「今年2023年は、ブルース・マクラーレンがレーシングチームであるブルース・マクラーレン・モーターレーシングを創設してからちょうど60年目を迎えます。本日ご覧いただいておりますマクラーレンの実車たちは、現在マクラーレン・オートモーティブの根幹をなすヒストリックカーたちとなります。これらの車両がなかったのであれば、今のマクラーレンは存在していなかったことでしょう」と、展示車両について述べた。
続けて「アジア地域に目を向けますと、マクラーレンシリーズ生産初となるPHEVのアルトゥーラは本年度より本格的にデリバリーをスタートしております。アルトゥーラは白紙の状態からスタートし、全く新しいマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー、MCLAと呼びますが、その中核となりました。ハイパフォーマンス・ハイブリッドパワートレーンを筆頭とする新要素はこれだけにとどまらず、徹底した軽さの追求と、かつてない空力効率の進歩が、ミニマルで大変美しい新デザインへと昇華しています」と新型アルトゥーラについて話した。
また、ハリス氏に続けて登壇したリーブス氏は「マクラーレンの物語は60年前、若きエンジニアであり、若きデザイナーであり、若きイノベーターであり、若きレーシングドライバーであったブルース・マクラーレンという1人の人物のビジョンから始まりました」とブルース・マクラーレンの生涯に触れつつ、「ブルースが26歳で設立したマクラーレンは、Can-Am選手権で5勝、インディ500で3勝、ル・マン24時間レースで優勝、F1で183勝、F1で493回の表彰台、そしてF1世界選手権で20回のタイトルを獲得しました。インディ500での勝利、F1モナコGPでの勝利、ル・マン24時間レースでの勝利というモータースポーツ3冠を達成した過去100年で唯一のチームでもあります」と、マクラーレンのモータースポーツの歴史を語った。
さらに、マクラーレンがF1で初めて採用したカーボンファイバー製モノコックはマクラーレンのDNAであるとして、価格帯にかかわらずマクラーレン・オートモーティブのすべてのロードカーはフルカーボンファイバーのモノセルを1つのユニットとして搭載していると説明。リーブス氏は「マクラーレン。2つの企業、そして1人の人物。若かりしニュージーランド人の夢。この夢は現役ドライバーとチーム、すべてのオーナー、従業員、そして世界中のマクラーレンファンによって、今日も生き続きています。そしてこれはこれからもずっとずっと続いていく夢なのです」と締めくくった。
M6GT(1969年)
ブルース・マクラーレンによる、レーシングカーをベースとした究極のスポーツカーの実現により生まれた、マクラーレン・ロードカーの起源。当時の最先端のレース技術に基づくM6GTは、超軽量で官能的な加速観を誇り、信頼戦の高いモデルだった。
ブルースの設計ではパフォーマンスとハンドリングはもちろん、安全性も常に考慮され、軽量、低重心、サウンド、そして俊敏性を誇り、想定最高速265km/h、0-160km/h加速8秒というパフォーマンスを実現していた。
年産250台の量産モデルを生み出すというプロジェクトは、プロトタイプを4台生産したところで、1970年のブルースの死によってついえ、M6GTはブルースのビジョンを示す遺言となった。しかし、ブルースのスーパーカーへの夢は、その後、マクラーレン F1としてよみがえっていく。
マクラーレン F1(1993年)
1988年のイタリアGP終了後、マクラーレン首脳陣はミラノ空港でフライトを待つ間に将来について語り合い、搭乗時間前までに、世界最高のロードカーを設計・製造するということに同意し、マクラーレン F1が誕生。
同じ1988年、マクラーレンはカーボン・ファイバー・シャシー構造のMP4/4でF1に参戦し、16戦15勝を挙げてシーズンを完全制覇。圧倒的な強さでレーシングカーの新たな基準を生み出した。
マクラーレン F1は妥協なき設計と製造により、公道でもMP4/4と同じことを成し遂げようとして、アルミニウムよりも軽量で強固なカーボン・ファイバー・シャシーを採用して製造された最初のロードカーとなった。
スポイラーやウイングを装備せずに高速走行時の絶対的な安定性を得られるように、エアロダイナミクスは念入りに設計され、車重を増やさずにダウンフォースを発生させるため、最新のグランド・フォース技術が採用されている。
マクラーレン F1に採用されたカーボン・ファイバー・タブ、ディヘドラル・ドア、フラットなアンダー・ボディ、エアブレーキなどのテクノロジーは、現在のマクラーレンのスーパーカーに採用され続けている。
エンジンタイプ:V型12気筒 自然吸気6.1リッターエンジン
最高出力:627PS/7400rpm
最大トルク:66.3kgfm/4000-7000rpm
最高速:391km/h
車両重量:1138kg
MP4-12C(2011年)
MP4-12Cは、マクラーレン F1以降、初めてマクラーレンがデザインして製造した量産モデル。何百時間もの高度なシミュレーション、何週間もの風洞試験、完璧さへのこだわりを反映し、パフォーマンスを突き詰めた結果のボディラインは、「形状は機能に従う」というマクラーレンの哲学通りの美しい仕上がりとなっている。
プロアクティブ・シャシー・コントロール(PCC)は、スポーツカーのサスペンション設計を根本的に見直すことになる発明となり、クルージング時はしなやかに、コーナリング時は俊敏なパフォーマンスを発揮。PCCはダイナミックなハンドリングと快適な乗り心地を両立し、双方に新しい基準を打ち立てた。
エンジンタイプ:90度V型8気筒
エンジン総排気量:3799cc
最高出力:460kW(625PS)/7500rpm
最大トルク:600Nm/3000-7000rpm
最高速:333km/h
0-100km/h:3.1秒
0-200km/h:8.8秒
MP4/4(1988年ベルギーGP優勝車 No.12アイルトン・セナ)
アイルトン・セナとアラン・プロストの両ドライバーによってドライブされ、1988年のF1世界選手権で16戦中15勝と圧勝。最多勝利記録樹立とコンストラクターズ/ドライバーズのダブルタイトルを獲得した、史上最も成功したフォーミュラカー。
MP4/4はMP4/1で初めて採用されたカーボン・ファイバー・モノコックのテクノロジーを発展させた設計で、マクラーレンが開発する最高のシャシーに、当時最強のホンダ製V型6気筒 1500ccツインターボエンジンの優れた組み合わせにより、大いなる成功を収めた。
エンジン型式:RA168E
形式:80度V型6気筒+ツインターボ
排気量:1494cc
最高出力:685PS
トランスミッション:マクラーレン製6速
ホイールベース2875mm
トレッド:(前)1824mm/(後)1670mm
サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン+プルロッド/(後)ダブルウィッシュボーン+プッシュロッド
車体重量:540kg
MP4/5B
1990年F1世界選手権でアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーが乗車。6勝を挙げてセナがドライバーズチャンピオンを獲得した。セナのドライビングスキルとMP4/5Bの優れた性能の組み合わせは、この車両を伝説的な存在として位置付ける要素となった。
この車両は前作のMP4/5から改良されたバージョンで、ホンダ製V型10気筒「RA100E」エンジンのパフォーマンスと、シャシーの安定性が向上。また、新しいテクノロジーが取り入れられ、空力性能も向上している。
エンジン型式:RA100E
形式:72度V型10気筒水冷DOHC4バルブ
トランスミッション:マクラーレン製横置き6速
車体構造:カーボンファイバー/ハニカムモノコック
ボディサイズ:4470×2133×965mm(全長×全幅×全高)
ホイールベース:2895mm
サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン+プルロッド/(後)ダブルウィッシュボーン+プッシュロッド
タイヤ:(前)13×11.75インチ/(後)13×16.25インチ
燃料タンク:212L
車体重量:500kg
マクラーレンの技術 MP4-12カットモデル
マクラーレンは非常に軽量で剛性が高いカーボンファイバー製のモノコック構造を採用しており、車両の主要な構成部分となる。マクラーレンはレーシングカーおよび、ロードカーでのカーボン・ファイバー・テクノロジーのパイオニアで、すべての生産モデルのコア部分にカーボンファイバーを採用している。
また、マクラーレンの車両にはカーボン・ファイバー・モノコックの前後に取り付けられた2つのアルミニウムサブフレームがあり、エンジン、サスペンション、トランスミッションなどの重要なコンポーネントを支持している。このマクラーレンならではのレーシングカー直系の構造は、軽量かつ高剛性に設計されている。
エンジンはミッドシップ(車両の中央)に可能な限り低く配置されており、これによって車両の前後重量配分を最適化するとともに、車両の重心も下がり、優れた操縦安定性とバランスが実現されている。さらに、エンジンが中央に配置されることで車両の回転慣性が低くなり、応答性が向上し、ドライバーの意のままに操縦可能となっている。
【お詫びと訂正】記事初出時、MP4/4とMP4/5Bの写真が逆になっていました。お詫びして訂正させていただきます。