マクラーレン、ミッドシップスポーツカー「MP4-12C」発表 1ピース構造のカーボンシャシー「モノ・セル」を採用 |
英マクラーレン・オートモーティブは3月18日(現地時間)、ミッドシップ・スポーツカー「MP4-12C」を発表した。正式な価格は2010年第2四半期に発表されるが、同社はこのクルマを「12万5000ポンド~17万5000ポンド(約1700万~2400万円)の“コア”スポーツカー・セグメント」に位置づけている。
MP4-12Cは、同社が専用に開発した3.8リッターV型8気筒ツインターボエンジン「M838T」をリア・ミッドシップに縦置きする2シータースポーツカー。
車体サイズは4509×1908×1199mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm、前後トレッドは1656/1583mm。
ドアは前方に持ち上がる「ディへドラルドア」。可変式のリアウイングはダウンフォースの増加のほか、エアブレーキとして機能する | ||
後方にあるのはプロトタイプ | 歴代のマクラーレンのレーシングマシンと | 奥は1993~98年に作られたロードカー「マクラーレンF1」 |
車体寸法 |
MP4-12Cを特徴付ける最大のポイントは、1ピース構造のカーボンファイバーコンポジットシャシー。同社が「モノ・セル」と呼ぶこのシャシーは、コクピットを囲む構造体が一体成形のカーボンコンポジットでできており、単体の重量が80kg。その前後にエンジンやサスペンションをマウントするアルミのフレームが付く。これにより車体を軽量化して操安性と乗り心地、環境性能を向上させつつ、安全性も確保した。さらに、モノ・セルは金属のような疲労が起きないとしている。
このほか、鍛造アルミと鋳鉄の軽量なコンポジットブレーキ、リチウムイオンバッテリー、ダッシュボードを支える軽量マグネシウムビーム、パイプの取り回しを小さくした冷却系、ヘキサゴンアルミ配線などを採用しており、軽量化が大きなテーマであることが伺える。さらに湿式7速デュアルクラッチトランスミッション「SSG(シームレスシフト・ギアボックス)」を採用し、2ペダルレイアウトとすることでコクピットの幅を抑え、これも軽量コンパクト化に貢献しているとしている。
1ピース構造のカーボンシャシー「モノ・セル」の前後にアルミの構造物が付く |
SSGにはノーマル、スポーツ、ハイパフォーマンス、オートマチック、ローンチコントロール、ウインターの6つのドライビングプログラムが備わる。ギアチェンジはステアリングホイールに取り付けられたF1スタイルのシフトパドル(ロッカーシフト)で行う。ドライバーがパドルに軽く触れるとギアボックスは変速の準備をし、さらに圧力をかけるとギアチェンジが行われる仕組みを備え、変速に要する時間を短縮している。同社はこの仕組みを「プリ・コグ」(予知)と呼ぶ。
M838Tエンジンは可変バルブタイミング機構などを備え、最大出力は約600PS、最大トルクは約600Nm。
サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン。路面状況やドライバーの好みで減衰力を変えられるアダプティブ制御ダンパーを備える。「プロアクティブ・シャシー・コントロール」を備え、シャシーの設定を「ノーマル」「スポーツ」「ハイパフォーマンス」に切り替えることができる。
さらにコーナーリング時に内側のリアタイヤにブレーキをかけることでアンダーステアを防ぐ「ブレーキステア」を備える。
M838Tエンジン | |
鍛造アルミと鋳鉄のコンポジットブレーキ | サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン |
インテリアはドライバーの左右に操作系を並べたF1ライクなもの。カーナビや通信のためのディスプレイは、7型の縦型タッチスクリーンがセンターコンソールに配置される。また、オーディオブランドのメリディアン初の自動車用サウンドシステムが、MP4-12Cのために開発された。
MP4-12Cは日本を含む世界19カ国のマクラーレン・オートモーティブ・リテーラーで販売される。
MP4-12Cのインテリア。操作系がドライバーの左右に配置される。シフトレバーはない |
マクラーレン・オートモーティブのロン・デニス会長 | ||
マクラーレンF1チームのルイス・ハミルトン選手(左)とジェンソン・バトン選手(中)も開発に加わり、発表会ではMP4-12Cをアンヴェールした |
(編集部:田中真一郎)
2010年 3月 19日