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三菱自動車、新型「トライトン」の概要発表 約12年ぶりに日本導入

2023年7月26日 発表

新型1tピックアップトラック「トライトン」を世界初披露

 三菱自動車工業は7月26日、新型1tピックアップトラック「トライトン」をタイ バンコクで世界初披露するとともに、タイで販売を開始した。今後、アセアンやオセアニアから順次グローバルに展開するほか、日本市場へは約12年ぶりに投入する計画で、2024年初頭の販売を予定する。

 三菱自動車のピックアップトラックは1978年に発売以来、45年間で5世代にわたり約560万台を生産し、世界約150か国で販売してきた三菱自動車の世界戦略車。約9年ぶりのフルモデルチェンジで6代目となった新型トライトンは、「Power for Adventure」という商品コンセプトのもとで開発を進め、内外装デザインからシャシー、ラダーフレーム、エンジンなどを一新した。

 新型トライトンは、SUVの快適性とトラックの実用性を兼ね備えた2列シートのダブルキャブ、1列シートのベーシックなシングルキャブ、そしてフロントシート後ろに荷室スペースを設けることでリクライニングも可能なクラブキャブと、用途に応じた3タイプのボディを設定。

ヤマブキオレンジメタリックカラーの新型トライトン

 新開発となるラダーフレームは従来型から断面積を65%増やし、曲げ剛性40%、ねじり剛性60%の強化を実現する一方で、ハイテン鋼の採用比率を大幅に増加することで重量増を最小限に抑えたという。これにより走行性能や乗り心地の向上に大きく寄与するとともに、積載時の耐久性、衝突時のエネルギー分散性も向上するなど堅牢性を高めた。また、ボディも同様に新たに1180MPaのハイテン鋼を採用するなど、従来車に比べ軽量化を図っている。

 パワートレーンには環境性能と動力性能を大幅に向上したという新開発の2.4リッタークリーンディーゼルターボ「4N16」型エンジンを搭載。高出力仕様と標準仕様が用意され、高出力仕様では新型ターボチャージャーと新燃焼システムを採用し、150kWの最高出力と470Nmの最大トルクを約1500rpmから発生し、実用域での応答性に優れたトルクフルな走行を可能にした。標準仕様では最高出力135kW/最大トルク430Nmと、最高出力110kW/最大トルク330Nmの2仕様のエンジンを設定し、いずれもタービン容量を可変制御するVGターボチャージャーを採用した。

 また、トランスミッションは従来車でも採用されたスポーツモード付き6速ATと、シフトレバーをワイヤー式とすることでエンジンから直接伝わる振動を低減して快適性を向上した6速MTを採用した。

 高出力仕様エンジン搭載車には電動パワーステアリングを新採用。低速域ではアシスト量を増やすことでコントロールしやすさを追求し、高速域では手応えを増やすことでドライバーに安心感を与える仕様とした。また、路面からのキックバックを減らし、オフロードや牽引時を考慮したチューニングも行なわれている。

150kW仕様のエンジンルーム
駆動系の諸元表

 一方で4WDシステムは走行中にダイヤル式のセレクターで簡単に4WDモードを変更することができ、前40%、後60%に駆動力を配分し、トラクション性能とコーナリング性能を両立するトルク感応式LSDを備えた三菱自動車独自のスーパーセレクト4WD-IIと、イージーセレクト4WDを引き続き採用した。

 スーパーセレクト4WD-II搭載車は後輪駆動の「2H」、フルタイム4WDの「4H」、センターディファレンシャル直結の「4HLc」、さらによりローギヤの「4LLc」の4種類が選択可能で、ドライブモードは従来車のオフロード4モードから、オンロードも含めた7モードに増加。すべての4WDモードに設定されている「NORMAL」モードをはじめ、2Hには経済性を重視した「ECO」、4Hに「GRAVEL(未舗装路)」と「SNOW(氷雪路)」、4HLcにトラクション性能を引き出す「MUD(泥濘)」と「SAND(砂地)」、4LLcには「ROCK(岩場)」モードが設定され、あらゆる路面で最適なドライブモードを選択できるようになっている。また、イージーセレクト4WD搭載車の4WDモードは後輪駆動の「2H」、センターディファレンシャル直結の「4H」、よりローギヤの「4L」が選べる。

 スーパーセレクト4WD-II搭載車では新たにアクティブヨーコントロール「AYC」を採用し、コーナー内側の前輪に弱くブレーキをかけることで旋回性を向上させることが可能。また、2WD/4WDモデル共にアクティブLSD(ブレーキ制御タイプ)を採用しており、空転している車輪にブレーキをかけて路面をグリップしている車輪に駆動トルクを分配することで、滑りやすい路面での安全性が向上すると共にスポーティな運転を楽しむことができるという。

 また、カーブが連続するような道路で安定性を向上させるアクティブスタビリティ&トラクションコントロール「ASTC」を全車に標準装備したほか、下り坂で一定のスピードを保持して走行することができるヒルディセントコントロール「HDC」、坂道発進でのずり落ちを防止するヒルスタートアシスト「HSA」などを引き続き採用した。

 サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン式を踏襲し、信頼性と耐久性を重視しながら新開発した。4WDおよび2WDのハイライダーのアッパーアーム取り付け部を上方に移動し、ストロークを20mm増やして接地性・乗り心地を向上したハイマウントタイプとした。リアサスペンションは強度を維持しながら軽量化したリーフスプリング式を採用し、大径化されたショックアブソーバーと共に快適な乗り心地を実現したとする。

 そのほかメンテナンス性の向上として、アンダーカバーの脱着なしにエンジンオイルの交換を行なうことができるようにドレーンボルトの位置を変更し、またアタッチメントなしでガレージジャッキが使用できるようサービスホールを拡大(4WD/2WDハイライダー)。また6速MT車はギヤオイルの交換を不要にするなどメンテナンスフリー化も進めているという。

新型トライトンでは内外装デザインをはじめシャシー、ラダーフレーム、エンジンなどを一新した

 デザインコンセプトは「BEAST MODE」(勇猛果敢)。ピックアップトラックに求められるタフさや力強さに加え、三菱自動車らしい堅牢さを持ちながら俊敏さも併せ持つ堂々とした佇まいを表現。「ダイナミックシールド」フロントデザインコンセプトは、力強く立体的なフロントグリルやフェンダーから繋がる力強い造形、それを強調するプロテクターで、ピックアップトラックに最適化された。3連のL字型LEDランプを配したデイタイムランニングランプは猛禽類を思わせる眼光鋭い造形とし、その下に立体的な3眼プロジェクター式のヘッドライトを組み合わせることで圧倒的な存在感と逞しさを感じさせるデザインに仕上げている。

 ボディカラーは従来車にはない、鮮やかさとメタリック感を強めたヤマブキオレンジメタリックと、輝度感を向上させたブレイドシルバーメタリックを新たに投入。高品質なベーシックカラーとしてホワイトダイヤモンド、ホワイトソリッド、グラファイトグレーメタリック、ジェットブラックマイカをラインアップする。

「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトを進化させたインストルメントパネルを採用

 また、インテリアでは走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で力強い造形の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトを進化させたインストルメントパネルを採用。プロフェッショナルユースを意識し、乗員を保護するためにソフトパットを要所に採用し、実用性の高さを確保。デザイン面では、幾何学的な造形とメタリックを多用したハイコントラストでモダンな空間に仕上げた。

 フロントシートは腰まわりをしっかりサポートし、肩付近は動きやすく開放的な形状としてドライバーの疲労を軽減。また、ヒップポイントを従来車に比べて20mmアップし、アップライトな乗車姿勢とすることで室内からの視認性を向上させた。さらにAピラーを立ててドア開口部を広げるとともにサイドステップの幅を広げ、滑りにくい形状とすることで乗降性を向上させている。

フロントシートは腰まわりをしっかりサポートし、肩付近は動きやすく開放的な形状としてドライバーの疲労を軽減する

 モニターやメーター、コントラストをつけたスイッチ類は視認性にこだわり、セレクター、ダイヤル、スイッチ類は手袋をしたままでも確実に操作ができるよう程よい節度感を実現。ステアリングホイール、グリップ、ドアハンドル類は握り心地や逞しさを追求するなど「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」という考え方に基づいてデザインされた。

 ユーティリティ性としては、6速AT車および6速MT車のフロアコンソールに大型カップが2つ収まるカップホルダー、コンソールボックスには600mLのペットボトルが4本収納可能。5速MT車は形状を工夫し、カップホルダーとしてだけでなくタブレットやファイルが置けるように工夫するなどプロユースを意識した作りとした。グローブボックスやスマートフォンホルダーなどの小物入れは手袋をしたままでも操作しやすいよう余裕をもったサイズとし、電子機器の充電用としてインストルメントパネルとセンターコンソールにタイプAとタイプCのUSBを用意。インストルメントパネルセンター下部にはスマートフォンのワイヤレスチャージャーも装備した。

 また、カーゴベッドは大型化することでベッドライナー装着状態でもユーロパレット積載にも対応したほか、従来モデルに比べて荷台高を45mm低い820mmとし、さらにバンパーコーナー上面の面積を拡大し、フレームで補強、足を乗せるスペースとして使用可能とするなど実用性を向上させた。

 先進安全装備については、新たに先行車の加速・減速・停止に追従走行し、設定した車間距離を保ちながら走行するレーダークルーズコントロールシステム「ACC」を搭載。衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM」、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)「BSW/LCA」、後退時交差車両検知警報システム「RCTA」などを引き続き採用し、先進安全装備の強化を図っている。