ニュース

日産、中国事業で輸出や新エネルギー車の前倒し投入を検討 新中期経営計画で秋頃発表へ

2023年7月26日 発表

日産自動車の内田誠社長

 日産自動車は7月26日、2023年度第1四半期決算を発表。同日開催した決算説明会に登壇した内田誠社長は、販売が低迷する中国事業について、2024年度から複数の新エネルギー車を投入するなど日産ブランドに新エネルギー車のラインアップを前倒しで投入することや、中国国内向け車両の生産に加え海外市場向けの車両の補完生産についても検討していることを明らかにした。

 同社の2023年度第1四半期決算については、連結売上高2兆9177億円、連結営業利益1286億円、売上高営業利益率4.4%、当期純利益は1055億円。中国での販売台数は新型コロナウイルス感染症や販売競争激化の影響を受けて減少したが、そのほかの地域の販売台数は前年比で大きく増加。さらに、適正な価格設定を行ない、財務規律を徹底したことに加え、円安も追い風となって、売上高や利益を大きく向上させた。

2023年度の業績見通しを修正

 2023年度の通期業績見通しについては、中国における販売台数の減少を受け、2023年度の販売台数は、前回見通しに対して7.5%減の370万台となる見込み。しかし、連結売上高は12兆6千億円、連結営業利益は当初見通しから300億円改善した5500億円、当期純利益は対前回比で250億円改善し、3400億円となる見込み。販売台数減少による減益要因はあるものの、財務規律の徹底や為替の見直し等により、当初見通しから修正した。

 第1四半期の内容について、内田社長は「第1四半期は中国市場での低迷を他の地域でカバーし、業績を前年比で大きく向上させました。特に日本と北米における生産と販売の回復が顕著で、第2四半期以降もこの勢いを維持していきたいと考えています。販売が落ち込んでいる中国ではエクストレイルにe-POWERを追加し、ヴェヌーシアブランドのプラグインハイブリッド車も投入するなど、商品ラインナップの強化を進めています。事業環境が大きく変化し、競争がますます激化する中国において、一朝一夕に事業を立て直すことは困難ですが、中長期戦略の立案と実行を急ぎ、着実に収益の改善を進めていきます」とコメント。

中国事業のステータスアップデートを発表

中国市場全体の需要の動向

 決算説明会の中で内田社長は、中国事業について中国ローカルブランドの新エネルギー車の攻勢により、合弁企業のエンジン車市場の置き換わりが急速に進んでいる状況を報告。

 販売が落ち込んでいる中国市場に対して、内田社長は「先日、関係役員とともに再び現地を訪れ、合弁会社のパートナーと集中的に論議を重ねました。そして、現地のアセットを活用し、日産ブランドに新エネルギー車のラインナップを前倒しで投入していくことを合意しました。具体的な計画については、今年秋頃に発表を目指している次期中期経営計画の中でご説明したいと思ってますが、すでに来年度から複数の新エネルギー車を投入することを決定しております。今後さらにラインナップの強化を進め、競争力を高めてまいります」との考えを述べた。

 また、内田社長は「日産は現在、中国国内で車両生産を行なっていますが、現在の販売見通しは残念ながら保有する生産能力を大きく下まわっており、一部の工場では稼働率が低迷してます。一方で、グローバルで見ると生産の制約があり、供給が追いつかない車種もあります。そのため、今後、中国国内向け車両の生産に加え、海外市場向けの車両の補完生産についても検討を進めグローバルで事業の最適化を図っていきたいと考えています」と話した。

中国市場に投入する新モデルに続いて、2024年度から複数の新エネルギー車を投入することを決定したという
中国のローラルアセットを有効活用して事業のスピードをアップさせる