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ホンダ、新型「N-BOX」説明会 3代目のグランドコンセプト「ハッピー・リズム・ボックス」とは?
2023年8月3日 11:30
- 2023年8月3日 発表
初代から高いシェアを誇るN-BOX
本田技研工業は8月3日、新型「N-BOX(エヌボックス)」を発表。それに先駆けて説明会を実施し、本田技研工業からは開発責任者の諌山博之氏と商品ブランド部の廣瀬紀仁氏、本田技術研究所デザインセンターからは、パッケージデザイン担当の飯泉麻衣氏、エクステリアデザイン担当の小向貴大氏、CMFデザイン担当の松村美月氏が登壇した。
商品ブランド部の廣瀬紀仁氏によると、初代N-BOXは2011年12月に「日本のベストな新しい乗り物を創造したい」という思いとともに誕生し、M・M思想(人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に、を意味するホンダのクルマづくりの大原則)のルーツでもある「N360」の開発の考え方を受け継ぎ、センタータンクレイアウトやF1技術も応用した動的性能などによって、軽自動車の価値をくつがえすほどの価値と魅力を実現させたモデルであると語る。
そして2017年8月発売の2代目N-BOXでは、さらに人に寄り添い、乗り物の枠を超えて、日本の毎日や乗る人の生き方を楽しく豊かに変えたいという思いから、使い勝手の進化だけでなく多様化する価値観やライフスタイルに適応することを追求したモデルへと進化。ドライバーベストを追求した「N-WGN」、自分の個性を大切にする「N-ONE」、働く人を元気にする「N-VAN」とラインアップの拡大が図られた。
続けて廣瀬氏は、「現在軽自動車市場の約半数を占めるほど拡大している軽スーパーハイトワゴン市場で、N-BOXは30%超の高いシェアを維持し、2年連続で新車販売台数1位を獲得したほか、8年連続で軽四輪車販売台数1位を記録するなど、多くの人に愛されています」と好調な実績を紹介。
また、その理由については、初代ではミニバンの利便性を軽自動車で実現することでコアユーザーである子育て中の30代ママの支持を獲得することに成功。2代目では開発の考え方を「家族の幸せ」にまで拡大させ、空間価値や動的性能を向上させることで家族のファーストカーになり得る価値を実現したとしている。その結果、初代のコアユーザー(30代ママ)をそのままに、20代女性や60代男性まで、幅広く支持層を拡大できたという。
N-BOXの強みについて廣瀬氏は「パッケージ、動力性能、デザインと質感、安全性、乗り心地・静粛性、ブランドと、すべてにおいて平均点を上まわる総合力の高さにあります」と説明し、「新型N-BOXでは総合力をさらに1つ高い次元へと進化させます!」と新型が進化したことをアピールした。
3代目のグランドコンセプトは「ハッピー・リズム・ボックス」
続いて3代目開発責任者の諌山博之氏は、初代が核とした「私の利便性」、2代目が目指した「家族の幸せ」という構想を踏まえたうえで3代目を開発するにあたり、新型は「趣味や夢を共有する仲間とのつながりまで豊かにしたい」と考えたと語る。同時にN-BOXの守るべき価値として「安心して運転できる」「大人でものびのび過ごせる車室内」「子供も気軽に使える配慮」を挙げ、それらを守りながらも「女性のライフスタイルの変化」や、「車室空間に対する価値観」「令和ママの価値観」など、ターゲットとなるユーザーの新たな価値観を盛り込むことにしたと明かした。
そこから生み出されたグランドコンセプト「ハッピー・リズム・ボックス」は、ずっと大切に(=価値を磨く)、もっと楽しく(=価値を拡げる)をキーワードに、「自分も家族も日本もハッピーになり、幸せな生活リズムを作り出せるようにという思いが込められている」と諌山氏。
開発キーワード「ずっと大切に」では、狭い道でも取りまわしがいい高いアイポイントや短いオーバーハングに磨きをかけ、運転が不安な人も安心して堂々と運転できるような安心・安定の走行性や思い通りの操作性を実現。また、大人4人がゆったりと座れる室内をさらに磨くことで、乗り心地や静粛性が向上し、会話のはずむキャビンに仕上げた。さらに、10歳までの子供が着替えのできる室内高や荷物を載せやすい荷室高にも磨きをかけ、子供を迎えにいったママでも自転車を積みやすいなど、初代からずっと大切にしてきたN-BOXの価値観を磨きあげた。
また「もっと楽しく」という開発キーワードでは、スッキリとした視界や先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を搭載することで、ドライバーだけでなく乗っているみんなが自由に安心して過ごせる空間を拡大。さらに、多彩なサービスを提供するコネクテッド技術も活用して、クルマだけでなく大切な仲間やホンダとシームレスにつながることを可能とした。加えてデザインやヘッドライトを進化させたことで1人ひとりの個性に合わせたこだわりを表現したり、個性際立つデザインで自分らしさをより拡張できたり、N-BOXの持つ価値を拡げてもっと楽しく進化させている。
デザインコンセプトにも「ハッピー・リズム・ボックス」を踏襲
パッケージデザインを担当した飯泉麻衣氏は、デザインコンセプトもグランドコンセプトと同じ「ハッピー・リズム・ボックス」とし、N-BOXの持つ価値をずっと大切にしながらも、家族や仲間がもっと楽しくなる空間やデザインを目指したという。
続けて飯泉氏は、「新型N-BOXのパッケージデザインの考え方をひと言で表現すると、多くの人に愛されるN-BOXの魅力をさらに磨いたパッケージ」と説明し、軽自動車の規格や安全性のため各部の寸法を極端に変えられないなかで、荷室への自転車の積み込みを楽にするなど、2代目以上の魅力を創出したとしている。
また、ミニバン同等のアイポイントの高さで運転のしやすさを追求したほか、できる限りノイズを減らした水平基調のインストルメントパネルで、2代目よりも良好な運転視界を確保した。さらに、サイドアンダーミラーをドアミラーハウジングに移設することで可視範囲を拡大し、幅寄せや縦列駐車のサポートを実現。そのほかにも、有効居住性は先代と同じくクラストップレベルを確保しつつ、後席は配線の取りまわしを工夫したことで、サイドに有効スペースを生み出し、ショルダールームを55mm拡大することに成功している。
「予期せぬ雨などで、自転車で出かけた子供を迎えに行った際、自転車を容易に搭載できれば便利に違いないと、N-BOXは自転車の積載性を大切にしてきた」と飯泉氏。新型N-BOXでも同様に前輪を乗せやすい荷室床面地上高にしたり、積み下ろし時にハンドルが干渉しにくい開口高さを確保。室内は床の一部をへこませることで前輪を通しやすくしたほか、スタンドをかけた状態での安定性も向上させている。
信頼できる進化がテーマのエクステリアデザイン
エクステリアデザインは、「1人ひとりに響き信頼できる進化」をテーマに、シンプルに磨きあげることでN-BOXらしさを追求。広いキャビンを強い構造体で包み込むことで安心感を表現。また、1つの大きな塊で見せる立体感により堂々としたたたずまいを、バンパー内にボリュームを持たせることで存在感と走りのよさをそれぞれ表現した。
新型N-BOXは「暮らしに調和するコト」を目標に、日本の家族の生活を見つめ直し、暮らしや街に調和するエクステリアデザインを造形。シンプルで街になじむ、親しみやすい外観としつつ、ひと目で「N-BOXだ」と分かるデザインに仕上げたという。
安全と信頼の瞳をテーマに開発したヘッドライトは、リングランプを採用し、人間の目のようなシルエットにすることで親しみやすさを表現。1つでロー&ハイビームやウインカーを備えるマルチファンクション構造となっている。テールランプもフルLED化して、スッキリした造形とした。
ボディカラーは、「ベーシックカラー」として人気のある7色を用意。また、オフホワイトのドアミラーカバーとアウターハンドル、ボディ同色のホイールカバーを採用し、さり気なくおしゃれなパッケージの「ファッションスタイル」として3色を設定した。
新型N-BOX カスタムは「自分を高めるモノ」をキーワードに開発。スタイリングは見た目以上の品格とハイパフォーマンスを感じるデザインを採用する。大きな特徴は左右のポジションランプと中央のグリルライトをつなげ、全幅いっぱいに光らせることで加飾に頼らず存在感を表現。また、ホンダ初となる「ダイレクトプロジェクション式LED」を搭載したほか、流れるタイプのウインカーは、LED球を増やしてより滑らかなライン発光としたことで質感を向上させた。
さらに、光沢のあるブラック仕上げで、光のあたり具合で表情が変化するフロントグリルや、ロー&ワイドなスタンスとエアロダイナミクスを考慮したデザインのフロントバンパー、そしてリアウイングはN-BOX カスタム専用アイテムとなっている。ホイールはすべてアルミ製で、質感と性能を際立たせるほか、「CUSTOM」のロゴも大文字に刷新した。
ボディカラーは、スポーティでスタイリッシュな「ベーシックカラー」が6色、パフォーマンスイメージを高めた「コーディネートスタイル」は3色設定され、ブラックルーフの2トーン仕様も選択可能としている。
「見て・乗って・使える」をテーマにしたインテリアデザイン
最後にCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザイン担当の松村美月氏が登壇し、インテリアデザインについての解説を行なった。
インテリアもグランドコンセプト「ハッピー・リズム・ボックス」の考えを継承していて、「見て・乗って・使える」をテーマに、家族だけでなく仲間も楽しく集える空間を目指して開発。特に角を削り落とした「カドマル処理」を施すことで、見た目にも優しく、包み込むようなデザインで一体感を演出したほか、スッキリとした見やすい視界を確保して、安心感を提供。見やすいメーター表示や子供が1人で乗り降りしやすい形状、乗っているときにミニカーなどで楽しく遊べる工夫が凝らされている。
グローブボックスは先代モデルから2倍の容量を確保し、オーナーズマニュアルやBOXティッシュをはじめ、除菌シートなど毎日使う小物も収容できるようにした。さらに、閉じてもスマホの充電ケーブルなどを挟み込まないスリット形状が設けられている。
インテリアコーディネートは、ベージュ基調の異色ミックス樹脂トレーにリビングライクなシボデザインを採用することで、毎日スッキリ使えるデザインに仕上げたN-BOXに対し、N-BOX カスタムでは黒基調に白や赤を織り交ぜたストーン調の異色ミックス樹脂トレーを採用。
松村氏はN-BOX カスタムの内装について「本革巻きステアリングや機能加飾、間接照明のLEDアンビエントライトを採用するなど、質感の高いパフォーマンスを感じられるデザインとしているほか、ファブリックシートやスエード調×プライムスムースコンビシート、カーボン調×プライムスムースシートと3種類の内装を揃えました」と紹介し、新型N-BOXの説明会を締めくくった。