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WEC富士6時間、トヨタの2台が1-2フィニッシュ 最終戦を待たずにマニファクチャラー選手権チャンピオン獲得

TOYOTA GAZOO Racing 7号車 GR010 HYBIRD(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)と8号車 GR010 HYBIRD(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が1-2フィニッシュ。WECマニファクチャラー選手権でチャンピオンを獲得した

 WEC(世界耐久選手権)富士6時間レースが9月8日~10日の3日間にわたって富士スピードウェイで開催された。9月10日11時からは決勝レースが行なわれ、17時にゴールを迎えた。

 優勝したのはポールポジションからスタートしたTOYOTA GAZOO Racingの7号車 GR010 HYBIRD(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)、2位は同8号車 GR010 HYBIRD(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)で、地元となる富士スピードウェイで1-2フィニッシュを実現した。これにより、TGRは最終戦のバーレーンを待たずに、マニファクチャラー選手権でチャンピオンを獲得した。

17時少し前に富士6時間レースのゴールを迎えたTOYOTA GAZOO Racing

 今回のWECに急遽参戦することになった宮田莉朋選手は、ケッセル・レーシングの57号車 フェラーリ 488 GTE EVO(木村武史/スコット・ハファカー/宮田莉朋)をドライブし、見事2位表彰台を獲得した。

優勝した7号車 GR010 HYBIRD(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)
マニファクチャラー選手権でチャンピオンを獲得した

トヨタの2台がランオフに飛び出すなど混乱のスタートに

 6時間レースは、予定されていた11時の約2分前にグリーンフラッグとなり、スタートした。フロントローからスタートした、トヨタ 7号車、8号車の2台は、スタートで混乱に巻き込まれる。

 3位からスタートした6号車 ポルシェ 963(ケヴィン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ヴァントール)が、富士スピードウェイの長いストレートでスリップストリームを活かして、1コーナーまでにトップに立つ。

 トヨタの2台は、51号車 フェラーリ AF コルセの50号車 フェラーリ 499P(アントニオ・フッコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)、51号車 フェラーリ 499P(アレサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ)と1コーナーで激しいバトルになり、トヨタの2台が2コーナーのアウトに追いやられる形で順位を下げることになった。

 その中で、5号車 ポルシェ 963(デイン・キャメロン/マイケル・クリステンセン/フレデリック・マコヴィッキ)は、他車との接触でタイヤをパンクし、緊急ピットイン。周回遅れになることは避けられたが、ほかのクラスも含めた最後尾になってしまい、大きく順位を下げた。

 さらに5号車は、マシントラブルで長い間ピットに留まることになり、レースから脱落した。

 5号車のタイヤデブリがコース上に出ため、レースはセーフティカーが入り、落ち着いてからレースが再開された。トップは6号車 ポルシェ963、2位は50号車 フェラーリ 499P、3位は51号車 フェラーリ 499Pで、トヨタの2台は4位と5位で、序盤はフェラーリ2台に抑え込まれ、トップの6号車 ポルシェ963が逃げる展開になった。

 しかし、徐々にフェラーリのリアタイヤが厳しくなっていき、トヨタ7号車が51号車を抜き、続いてトヨタ8号車もフェラーリをオーバーテイクすることに成功した。

 フェラーリのドライバーは無線で何度もタイヤが厳しくなっていることを訴えており、徐々に順位を後退し、レース中盤には4位と5位を走ることになった(最終的にそのままの順位でゴール)。

追い上げた2台のトヨタが1-2体制確立、マニファクチャラータイトルをトヨタが獲得

 その後はトップを走る6号車 ポルシェ963と、2台のトヨタ(7号車、8号車)の3台によるレースになった。ピットストップの度に順位を入れ替え、6号車ポルシェと7号車トヨタは10秒程度の差でレースを続ける。レースが3時間を過ぎたときに、7号車トヨタが6号車ポルシェに追い付く。

 7号車トヨタが6号車ポルシェを抜けずにいると、8号車トヨタも追い付き、3台によるトップ争いへと変わっていった。そしてトヨタの2台は6号車ポルシェをオーバーテイクして1-2フォーメーションを構築した。

 残り1時間の段階で全車が最後のピット作業を終えると、トップは引き続き小林可夢偉選手がドライブするトヨタ7号車 GR010 HYBIRD、2位にブレンダン・ハートレー選手がドライブするトヨタ8号車 GR010 HYBIRD。3位は序盤から終盤にかけてトヨタ勢とトップを争っていた6号車 ポルシェ963。そして4位と5位にはフェラーリ勢が続いており、このままの順位でゴールすれば、トヨタのマニファクチャラーズ選手権のタイトルが確定することになる。

 結局、残り1時間、トップを走行する小林可夢偉選手の7号車トヨタは危なげなく走りきりそのままゴールし、前戦モンツアに続いて2連勝を遂げた。2位は終盤フロントモーターにトラブルが出て若干タイムを落としたものの、走りきった8号車トヨタで、ポール・トゥ・ウイン、フロントロー・トゥ・1-2フィニッシュを遂げた。

 この結果、トヨタは最終戦を待たずにハイパーカークラスのマニファクチャラー選手権タイトルを2年連続で獲得した。

 3位はレース中盤までトヨタ2台に先行していた6号車 ポルシェ 963。今シーズンからハイパーカークラスに復帰したポルシェは苦しい戦いが続いていたが、この表彰台獲得で来年以降の活躍に弾みをつけたいところだ。4位は50号車 フェラーリ 499P、5位は51号車 フェラーリ 499P、6位はポルシェカスタマー ハーツ チーム JOTAの38号車 Porsche 963(アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ/ウィリアム・スティーブンス/イェ・イーフェイ)となった。

急遽LM GTE Amに参戦した宮田選手は、デビュー戦で2位表彰台を獲得

 LMP2はポールからスタートしたユナイテッド オートスポーツの22号車 オレカ 07 - ギブソン(フレデリック・ルービン/フィリップ・ハンソン/フェリペ・アルバカーキ)がレース中盤までトップを維持した。レースはそのユナイテッドの2台(22号車と23号車)と、チームWRTの2台(41号車と31号車)により戦われ、レースが残り1時間となった段階でもその4台がトップ4を形成していた。

 レース終盤にトップに立っていたのはチーム WRTの41号車 Oreca 07 - Gibson(ルイ・アンドラーデ/ロバート・クビサ/ルイス・デレトラズ)で、2位のユナイテッド オートスポーツ 22号車を大きくリードしており、結局そのままトップチェッカーを受けて優勝した。2位はユナイテッド オートスポーツ 22号車。3位はチームWRTの31号車 Oreca 07 - Gibson(ショーン・ゲラエル/フェルディナント・ハプスブルク/ロビン・フラインス)。

 LM GTE Amは日本チームであるD'STATION・レーシングの777号車 アストンマーティン ヴァンテージ AMR(星野敏/キャスパー・スティーブンソン/藤井誠暢)が序盤はトップ走行した。

 しかし、レース中盤からはポールポジションからスタートしたコルベット・レーシングの33号車 シボレー・コルベットC8.R(ベン・キーティング/ニコラス・バローネ/ニッキー・キャッバーグ)がトップに浮上し、2位にはAFコルセの54号車 フェラーリ 488 GTE EVO(トーマス・フロール/フランチェスコ・カステラッチ/ダビデ・リゴン)が上がっていた。そして3位には、このレースが初のWECレースとなる宮田莉朋選手がドライブする57号車 フェラーリ 488 GTE EVO(木村武史/スコット・ハファカー/宮田莉朋)が上がってきた。

 その後33号車が後退すると、トップにはAFコルセの54号車 フェラーリ 488 GTE EVO、2位には宮田選手の57号車 フェラーリ 488 GTE EVOが上がってきた。宮田選手は3位に下がった33号車を従えてトップを追いかけたが、差を大きく縮めきる前にレースが終わってしまい、結局2位でゴールした。

 初めて参戦したLM GTE Amクラスのデビュー戦で、2位入賞は大きく評価されてよい結果だろう。

 優勝はAFコルセの54号車 フェラーリ 488 GTE EVO、2位はケッセル・レーシングの57号車 フェラーリ 488 GTE EVO、3位はポールからスタートしたコルベット・レーシングの33号車 シボレー・コルベットC8.R。