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富士6時間レースに挑む、小林可夢偉WECチーム代表兼選手や平川亮選手に聞く トヨタvs.フェラーリの熱い戦いが見られる

スーパー耐久第5戦もてぎを訪れていたTOYOTA GAZOO Racing WECチーム。左からTOYOTA GAZOO Racing Europe 副会長 中嶋一貴氏、チーム代表 小林可夢偉氏、ドライバー 平川亮選手、モータースポーツ技術室室長 加地雅哉氏、TOYOTA GAZOO Racing Europe 社長 平井正人氏

TOYOTA GAZOO Racing WECチーム来日

 9月2日~3日の2日間にわたって、スーパー耐久第5戦もてぎがモビリティリゾートもてぎにおいて開催されている。豊田章男氏がオーナーを務めるルーキーレーシングは、このスーパー耐久ST-Qクラスに新型8速ATを開発中のGRヤリス DATコンセプトを32号車としてエントリー。予選前日の1日には、モリゾウ選手(豊田章男氏)や佐々木雅弘選手、石浦宏明選手、小倉康宏選手が練習走行に臨む姿を見ることができた。

 このルーキーレーシングのピットに訪れていたのが、FIA WEC(世界耐久選手権)を戦うTOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表 兼 7号車ドライバー 小林可夢偉選手、8号車ドライバー 平川亮選手、TOYOTA GAZOO Racing モータースポーツ技術室室長 加地雅哉氏、TOYOTA GAZOO Racing Europe 社長 平井正人氏、TOYOTA GAZOO Racing Europe 副会長 中嶋一貴氏。

 もちろん、これだけのTGR WECチームの主要メンバーが日本にいるのは、9月8日~10日に富士スピードウェイで開催される富士6時間耐久レースに参戦するため。富士での決戦を前に、TOYOTA GAZOO Racing WECチーム オーナーでもある豊田章男氏を激励に来ていた。

 この富士6時間はWECのチャンピオンシップを戦う上で大事な1戦となり、TGR WECチームの7号車、もしくは8号車が優勝するとマニュファクチャーチャンピオンが決定する。もちろん、ドライバーチャンピオンシップとしても大切な戦いとなり、富士戦、バーレーン戦でチャンピオンが決まっていく。

 さらに、ル・マンで激闘を繰り広げたトヨタvs.フェラーリという面でも大切な試合になる。100周年のル・マンでは直前のBoP変更などもあったもののフェラーリが優勝。その勢いでフェラーリが凱旋帰国した第5戦モンツァでは、トヨタがポールトゥウィン。トヨタ vs. フェラーリという戦いの物語がさらに深くなった。

 トヨタ自動車社長でありTOYOTA GAZOO Racing Europe会長でもある佐藤恒治氏は、さまざまな思いを込めた「メンバー全員を誇りに思います」とのコメントを発表。トヨタの地元戦である富士における全力での戦いについて触れ、TGR WECチームの強さを見てもらいたいと語っている。

 つまり、来週末行なわれる富士6時間は、地元で勝ちたいトヨタも本気、逆にトヨタの地元でやり返したいフェラーリも本気という、激しい戦いが期待されるものになる。

注目を集める富士6時間

第5戦モンツァ前に発表されたBoP。第6戦富士、最終戦バーレーンについても同時に発表された

 第6戦富士、最終戦バーレーンについては、第5戦モンツァ前に発表されたBoPで戦うことになっており、トヨタ vs. フェラーリという構図に、プジョーも加わって来そうな雰囲気もある。

 どのチームにとっても負けられない富士6時間の戦いについて、加地雅哉氏、小林可夢偉チーム代表兼選手、平川亮選手にうかがってみた。

 加地雅哉氏は、「ちょっとフェラーリの最高速が落ちるかどうかはありますが、今までのサーキットの走りを見ていると、ほぼほぼ同程度だと思います。富士の特性で若干ストレートが(トヨタの方が速い)ということはあるかもしれませんが、正直それほどストレートスピードに差がない。(トヨタは)結構車重が重いので、第3セクターが厳しいと思います。でも、富士はホームレースなので1-2で勝ち切るつもりです。信頼性については、問題ないと思いますので、チャンピオン争いも富士で取れば有利になります。マニュファクチャラーもここで取ることができれば決まります。みんな勝つことだけを考えています」とコメント。絶対的な重量が一番重くなっているため、厳しい状況に変わりはないが、ワンツーフィニッシュを目指すという。

 小林可夢偉チーム代表は。「まず、ホームレースであるので、ここで勝つことは、今シーズン2つ目の優先順位の高いレースだと思います。しっかり期待に応えられるよう。フェラーリにはル・マンで負けてしまいましたが、イタリアのモンツァで雪辱して、ここで勝てば勝ち越しができるのかな。そういう意気込みで挑みたいなと思っています。もちろんライバルもこのインターバルでテストもしているし、しっかり準備していると思うので、僕らも気を抜かず、いいクルマで、いいチームで、強いチームで戦って。今年は100周年でサクラを入れたのですが、負けたル・マンになっちゃって。そのままサクラを入れ続けているので、咲かしたい。ちゃんと咲かしたいと思います」と語ってくれ、サクラのカラーリングに言及。富士をル・マンに続く重点レースに位置付けている。

 平川亮選手は、「別に何かあるわけではなくて、自分としては去年も勝てているので2連勝を目指したいと思います。あまりチャンピオンシップのことは考えすぎないのが大事ですけど、チャンピオンを獲ることが大事なので、そこは頭の片隅に入れつつ。自分としても1年の中でル・マンの次に楽しみにしているレースなので、僕らのチームで、ワンツーで終われるようにがんばりたいと思います」と、クールなコメントでありながらワンツーフィニッシュに触れるなど、チームの思いは完全に共有されているようだ。

 富士6時間におけるトヨタとフェラーリの戦い、そしてそこにプジョーやポルシェ、キャディラックがどのように加わっていくのか。世界選手権をかけた本気の戦いが、まもなく富士で見られることになる。