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日産と日本観光自動車道協会が連携 EV利用者向けに有料道路や施設利用の割引スタート

2023年10月2日 開催

「電気自動車を活用した脱炭素社会実現に向けた連携協定」の締結式をアネスト岩田ターンパイク箱根の展望台で開催

EV優遇施策は全メーカーのEVを対象に10月~11月スタート

 日産自動車とJTRA(日本観光自動車道協会)は10月2日、アネスト岩田ターンパイク箱根の展望台において「電気自動車を活用した脱炭素社会実現に向けた連携協定」の締結式を開催した。

 今回の連携協定は、日本観光自動車道協会の正会員自動車道事業者が10月1日よりEV(電気自動車)利用者に対する有料自動車道路利用料や関連施設での割引を順次実施し、日産はその周知やイベントへの協力、EV啓発に努め、互いに脱炭素化に貢献するというもの。

 全国20か所の観光自動車道が属する日本観光自動車道協会は、「こころに残る、快適ドライブ」をキーワードに気持ちの良いドライブを提供するとともに、各地の魅力を発信している。また、ほとんどの自動車道が国立・国定公園に通じることから、環境省の「国立公園パートナーシッププログラム」のパートナー団体としてパートナーシップを締結し、国立公園の魅力発信や温室効果ガスの削減への取り組みも積極的に進めているという。

 一方の日産は、これまで培ってきたEVに関するノウハウやネットワークを活かし、脱炭素、災害対策、エネルギーマネジメント、観光、地方での交通課題などの地域課題解決により、社会変革をしていく日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を推進。また、EVを活用したエコな観光施策の実施により、2021年9月には自動車会社として環境省と初の「国立公園パートナーシッププログラム」を締結した。

 今回、「国立公園パートナーシッププログラム」のオフィシャルパートナーである両者が、同プログラムでのマッチングとして日本観光自動車道協会が日産の「ブルー・スイッチ」に賛同し、脱炭素の推進に向け共に協力していくためEV優遇施策および、脱炭素化への協定締結を行なうこととなった。

 EV優遇施策については各道路によって異なり、記念品贈呈や通行料金割引、飲食の割引などが用意される。これらのEV優遇施策は日産のEVのみならず全メーカーのEVが対象になっており、各道路によって10月から11月にかけてスタートする。

EV優遇施策は日産のEVのみならず全メーカーのEVが対象

こういう取り組みを1つひとつ重ねながら電気自動車の価値を訴求していきたい

 締結式には日本観光自動車道協会 代表理事 会長の中川均氏、日産自動車 理事の後藤収氏に加え、国土交通省 物流・自動車局(企画・電動化・自動運転)担当参事官の児玉和久氏、環境省 自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室 室長の水谷努氏が登壇してあいさつを行なった。

 はじめに登壇した日本観光自動車道協会の中川氏は、脱炭素は自分たちと無関係なことではなく、ここ数年毎年のように前例のない集中的な豪雨があり、それによって日本観光自動車道協会に属する道路も少なからず被害を受けている状況を報告するとともに、「民間事業者同士で1歩ずつ、少しずつでも脱炭素に貢献できるような活動をこれからも進めていきたい」とコメント。

一般社団法人日本観光自動車道協会 代表理事 会長の中川均氏

 また、日産自動車の後藤氏は「ブルー・スイッチ」活動について触れ、「私ども日産自動車は電気自動車を活用してさまざまな社会課題を解決するブルー・スイッチ活動をしております。1つは災害時に電気自動車を派遣し、電気を供給することによって市民の生活を守るということ。また、今日の話との関係で言えば脱炭素という意味でCO2を出さないという電気自動車の特性を生かし、その価値を広く使っていただくということ。それから地域振興という意味で電気自動車をうまく活用していただきたいと、それが今日のメインです。地域振興の関係で電気自動車をうまく使っていただき、地球温暖化に資するような活動をしていきたいと思っております」と述べるとともに、「電気自動車としては2011年に初代リーフを発売してから世界で100万台、日産としてEVを販売しております。国内では20万台弱でまだまだでありますし、2022年の販売に占める電気自動車のウエイトは2%程度で、まだまだ国内ではそんなに広がっているという状況ではありませんが、こういう取り組みを1つひとつ重ねながら電気自動車の価値を訴求していきたいと思いますし、これが地球温暖化に対して1歩でも対策として前進できることをわれわれも期待しております」とした。

日産自動車株式会社 理事の後藤収氏

 国土交通省の児玉氏は、自動車道は国立国定公園内をはじめとして山間部、海沿いなどの景勝地に存在するものが多く、まさに観光自動車道という魅力的な観光資源の1つとして認知され、観光客や地域の皆さまに利用されている道路と解説するとともに、「今般、全国の自動車道事業者で構成されます日本観光自動車道協会が、日産自動車のブルー・スイッチ活動趣旨に賛同され、連携協定が実現したと聞いておりますが、環境省の国立公園オフィシャルパートナーシッププログラムの取り組みも相まって今回の連携協定の締結の運びとなりましたことをお喜び申し上げますとともに、関係者の皆さま方のこれまでのご努力に対しまして心からの敬意を表します。このような脱炭素社会の実現の取り組みの輪が広がることによって地域の活性化が図られ、自動車道事業が持続可能な社会の実現に発展することに寄与しております。国土交通省といたしましても、自動車道事業の皆さまによるこれまでの取り組みを拡大できるよう支援してまいりたいと考えておりますので、引き続きご協力のほどよろしくお願い申し上げます」とコメント。

国土交通省 物流・自動車局(企画・電動化・自動運転)担当参事官の児玉和久氏

 また、環境省の水谷氏は自身が三菱自動車のPHEV(プラグインハイブリッド)に乗っていることから「PHEVの特典がないのが残念」としつつ、「リーフの航続距離が400kmまで伸びましたし、充電ステーションも日本各地に増えてきており、今だったらEV購入に踏み切れるんじゃないかという状況は、脱炭素社会に向けて大きく進展してきていると思います。私自身、これまでカーボンニュートラル、そしてプラスチック対策なども担当してきましたが、環境省としてもこの国立公園、インバウンド対策、そして観光施策の中でも目玉の1つとなっておりますけども、この自然豊かな国立公園に観光客を誘致するにあたって、自然豊かな国立公園に排気ガスをたくさん撒き散らしてCO2を出して行くのでは元も子もないと思います。やはりこのEVで、できればPHEVあたりで国立公園に行っていただいて自然を堪能していただく、満喫していただくということを、われわれとしても全力で進めていきたいと思っております。本日のこの連携協定がその後押しとなればと願っております」と述べた。

環境省 自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室 室長の水谷努氏

各道路のEV(乗用車)優遇策

藻岩山観光自動車道:記念品贈呈
津軽岩木スカイライン:記念品贈呈
蔵王ハイライン:記念品贈呈
白糸ハイランドウェイ:通行料金割引
万座ハイウェー:鬼押出し園入園料割引き
鬼押ハイウェー:同上
湯河原パークウェイ:通行料金割引(湯河原パークウェイは2023年11月に営業再開予定)
芦ノ湖スカイライン:記念品贈呈
アネスト岩田ターンパイク箱根:ドリンク・ケーキセット割引
南富士エバーグリーンライン:遊園地ぐりんぱ・スノーパークYeti(スキー場)割引券贈呈
伊吹山ドライブウェイ:通行料金割引、売店のコーヒー割引き
伊勢志摩e-POWER ROAD:通行料金割引
奥比叡ドライブウェイ:峰道レストランでのドリンク無料
比叡山ドライブウェイ:ガーデンミュージアム比叡入場券割引
嵐山-高雄パークウェイ:通行料金割引、レストランのドリンク割引き
信貴生駒スカイライン:記念品贈呈
奈良奥山ドライブウェイ:記念品贈呈
芦有ドライブウェイ:検討中