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日産、1充電走行距離570kmを実現する「リーフ e+」発表会

V2H技術「Nissan Energy Home」のデモも実施

2019年1月9日 開催

「リーフ e+」発表会でプレゼンテーションを行なった日産自動車株式会社 専務執行役員 星野朝子氏(左)と日産自動車株式会社 副社長 ダニエレ・スキラッチ氏(右)

 日産自動車は1月9日、5ドアハッチバックEV(電気自動車)「リーフ」の追加モデルとして、走行用バッテリーの容量を既存モデルの40kWhから62kWhに高めて航続距離やパフォーマンスを向上させた「リーフ e+(イープラス)」を発表。同日に神奈川県横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーで発表会を開催した。

 新たに追加されるリーフ e+では新開発の「e-パワートレーン」を採用。前出の容量を拡大した走行用バッテリーのほか、走行用バッテリーで並列に接続するセルをこれまでの2セルから3セルに増やし、インバーターの構造や制御内容を変更したことなどから、1充電で航続可能な走行距離はJC08モードで400kmから570km、WLTCモードでは322kmから458kmと従来から約40%アップ。さらにモーターの最高出力は110kWから160kW、最大トルクは320Nmから340Nmに向上して、より力強い走りも楽しめるようになっている。価格は416万2320円~472万9320円。

 このほか、リーフ e+の車両解説は関連記事の「日産、62kWhのバッテリー搭載で航続距離を570kmに向上させた『リーフ e+』」、モータージャーナリスト 橋本洋平氏による試乗インプレッションは関連記事の「62kWhのバッテリーで得たものは航続距離だけじゃない! 明らかに向上した日産『リーフ e+』の加速性能」をそれぞれ参照していただきたい。

リーフ e+ G(ラディアント レッド(PM)/スーパーブラック 2トーン)
リーフ e+では車高が5mm高まり、走行用バッテリーの張り出しで最低地上高が15mm低下していることからフロントバンパー下側の形状を変更。ブルー塗装のリップスポイラーも追加された
フロントノーズに設定された充電リッド内では、左側にあるチャデモ形式の急速充電ポートのリッドに「e+」のロゴマークが入る
最低地上高が15mm低下する走行用バッテリーの張り出し。バッテリー自体は40kWh版から高さ(厚さ)が40mm増えており、車高と最低地上高を除く20mm分は、フロアにマウントする構造などを改良し、40kWh版よりもクリアランスを狭くして吸収している
タイヤサイズは215/50 R17。アルミホイールのセンターキャップがシルバーからブラックに変更された
リーフ e+車両概要(4分5秒)

大容量バッテリーを備えるリーフ e+でV2Hをさらに拡大

ダニエレ・スキラッチ副社長

 リーフ e+の発表会では、最初に日産自動車 副社長 ダニエレ・スキラッチ氏がプレゼンテーションを実施。

 リーフ e+についてスキラッチ副社長は「モア リーフ。リーフより多くのものを提供する存在」と表現。1933年の創業以来、日産は革新を伝統に、技術によってお客さまにより安全で楽しく、便利なドライビング体験を提供してきたとスキラッチ副社長は語り、「他がやらないことをやる」という会社のDNAによってイノベーションを提供し続け、このイノベーションの伝統を「ニッサン インテリジェント モビリティ」を通じ、ブランドビジョンである「人々をよりよい世界にご案内する」を表現したいとコメント。

 このほかにもスキラッチ副社長はニッサン インテリジェント モビリティについて解説し、初代リーフから本格的にスタートした日産のEVの歩みなどについて紹介した。

「ニッサン インテリジェント モビリティ」「ニッサン インテリジェント パワー」「ニッサン インテリジェント インテグレーション」の3つが「ニッサン インテリジェント モビリティ」の柱
これまでにリーフは約50か国で38万台以上が販売され、トータルで50億kmを超える走行によって耐久性や品質、信頼性などを証明しているとスキラッチ副社長はアピール
中期計画「Nissan M.O.V.E.to 2022」では、グローバルで8種類のEVを発売していく予定
スキラッチ副社長のプレゼンテーション中に、ステージ上に置かれたリーフ e+がアンベールされた

 スキラッチ副社長は「リーフの航続距離は日常の使用ではすでに十二分」としつつ、より大容量のバッテリーを搭載するリーフ e+では、1回の充電でより長い距離を走行できるメリットがあると説明。また、日産ではEVのバッテリーをただ移動手段として使うのではなく、世界にあるエネルギー課題の解決に向けた手伝いをしていると述べ、2018年11月に日産グローバル本社で公開したコンセプトデモンストレーション「Nissan Energy Home(ニッサン エナジー ホーム)」について説明。ソーラーパネルで発電した再生可能な電気をEVのバッテリーに蓄えて活用する「Vehicle-to-Home(V2H)システム」のイメージを解説するデモンストレーションも実施した。

「Vehicle-to-Home(V2H)システム」について解説するデモンストレーションを実施
「日産ミスフェアレディ」の手により、V2Hシステムのパワーコントロールシステムとリーフ e+を接続
電気の流れをフロアや壁面などに設置したブルーのイルミネーションで表現
家の屋根に設置した太陽光パネルで発電した電気をリーフに充電し、状況に応じて家庭内で使うさまざまな家電製品に電力供給するイメージを紹介。洗濯機やドライヤー、IHクッキングヒーターといった大きな電力を必要とする家電製品を複数利用しても問題が起きないことをアピール
Nissan Energy Share解説ムービー(2分7秒)

 最後にスキラッチ副社長は「Nissan Energyと日産の電気自動車を使って、日産は電気自動車がご提案する新たなスタンダードを確立し、人々をよりよい世界にご案内する新たな可能性を拓いております。そしてこれは、本日ご紹介した日産 リーフ e+でご提供できるのです。リーフ e+が『モア リーフ』であることがお分かりいただけたかと思います。そしてNissan Energyでドライビングを動かすだけでなく、皆さんの生活を動かすパワーを得られるのです。これこそがリーフ e+の利点です」と語り、プレゼンテーションを締めくくった。

星野朝子専務執行役員

 このほかにも発表会では、日産自動車 専務執行役員 星野朝子氏から、2018年5月にスタートした日産の新しい取り組み「ブルー・スイッチ」の活動内容について紹介。

“日本電動化アクション”と位置付けられたブルー・スイッチの取り組みでは、具体的な活動として2018年9月に東京都 練馬区と「災害時における電力供給に関する協定」を締結。「災害発生時のEV無償貸与」「EV用急速充電スタンドの優先利用」などが取り決められ、練馬区所有の安全・安心パトロールカーにリーフ7台が導入されているという。

 このほかにも走行中にCO2を排出しないEVにより、日本各地で環境を守る活動を続けていることが星野専務から紹介された。

「ブルー・スイッチ」の活動報告
リーフ e+発表会 中継録画(49分29秒)
会場となった日産グローバル本社ギャラリー内には、これまでにリーフで使われてきたe-パワートレーンのモーターやバッテリーなどを展示。左は初代リーフ、右は2代目リーフ
リーフ e+のe-パワートレーンでは、インバーターの変更に加え、コイルの巻き方なども一部変更されている
リーフ e+で採用されている62kWh版の走行用バッテリー
バッテリーの大容量化に伴いバッテリーケースもサイズアップ。40kWh版(左)と比べて62kWh版(右)は側面の高さが増えてより強固な構造になり、ボディのねじり剛性が8%アップしている
リーフの派生モデルなども車両展示。こちらは2018年11月に世界初公開された「リーフ NISMO RC」
2018年7月に発売された「リーフ NISMO」(403万2720円)
リーフ e+の発売と同時に「リーフ」でも改良を実施。「踏み間違い衝突防止アシスト」「LEDヘッドライト」が全車で標準装備となる。価格は324万3240円~399万9240円