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アバルト初のバッテリEV「500e」発表会 エキゾーストノートが響き「こんな電気自動車いままでありましたか」と打越社長

2023年10月11日 開催

アバルト 500e

 アバルトは10月11日、新型EV(電気自動車)「500e」のオンライン発表会を開催した。

 500eは、アバルト初の100%EVで、10月28日に発売。価格はハッチバックが615万円、カブリオレが645万円。また、200台限定でローンチエディションの「500e Scorpionissima(スコーピオニッシマ)」が発売される。スコーピオニッシマの価格はハッチバックが630万円で販売台数が150台、カブリオレが660万円で販売台数が50台。

 ボディカラーは「アンチドーテホワイト」「ベノムブラック」「アドレナリンレッド」「アシッドグリーン」の4色を設定。スコーピオニッシマには、アシッドグリーンのほかに「ポイズンブルー」が専用色として設定される。

500eのラインアップと価格
500e スコーピオニッシマのラインアップと価格

 発表会では、ステランティスジャパン 代表取締役社長 打越晋氏が発表会会場ではなく、実際に500eをドライブしながら登場。EVにもかかわらず、アバルトのハイパフォーマンスエキゾーストシステム「レコードモンツァ」のエキゾーストノートを忠実に再現した「サウンドジェネレーター」によるエキゾーストノートを響かせながら「こんな電気自動車、いままでありましたかね! サウンドだけでなく、先ほどS字コーナーを抜けてきたのですが、パッケージが素晴らしいのでコーナーが楽しくて楽しくて。こんなに運転上手だったかな? と思うような、本当に楽しくてしょうがないクルマです」と500eの印象を語った。

500eでのドライブを楽しむStellantisジャパン株式会社 打越晋代表取締役社長

 続けて、アバルトプロダクトマネージャー 阿部琢磨氏が500eについて説明。「電動化したアバルトを作る唯一の理由は、最高のパフォーマンスを追求することです。これまで以上に本物のアバルトとして、特徴的なスタイルとスリリングなドライビング体験、高度なテクノロジーをアドレナリンに、アバルト 500eは持続可能性をパフォーマンスに変えるクルマです」と紹介した。

Stellantisジャパン株式会社 アバルトプロダクトマネージャー 阿部琢磨氏
500eのハイライト

 外観は、ホワイトのアクセントカラーを配したフロントバンパーとリップスポイラー、サイドスカート、全長に対して大径の18インチアルミホイールがスポーティなイメージを加え、新しいアバルトシグネチャーを備えたフルLEDフロントライトとチタンミラーキャップにより、コントラストのある引き締まったスタイリングを実現。

 サソリの爪にインスパイアされた18インチのダイヤモンドカットアルミホイールは、独特なスポーク形状がホイールの真円度を際立てつつ、車両側面から見たバランスを優れたものとしているという。また、同じくサソリの爪をモチーフとしたフロントバンパーと、空力的なサイドウイングで優れた強度と構造を作り上げているとした。加えて、フロントエアダムは機能的であるだけでなく、サソリの足をイメージした独特のデザインとなっている。

 500eのフロントグリルには、パフォーマンスと革新、楽しさと持続可能性の結合を表すブランドの象徴として、ダークチタングレーのアバルトレタリングを初採用。サイドエンブレムはアバルトブランドの変革を示すものとし、稲妻の放電によって描かれたかのような新しいデザインとなった。リアは、コンパクトながら踏ん張り感のあるリアフェンダーとLEDリアランプ、アクセントにもなっているリアディフューザーを装着。カブリオレでは、ブラックの幌にブラックのリアスポイラーを装備し、ハッチバックモデルではボディ同色のリアスポイラーとなる。

アバルト 500e

 インテリアは黒をベースとしながらブルーとイエローのダブルステッチ、クロームのドアシル、アルカンターラ素材を使用して質感が高められた。フルTFT7インチのインストルメントクラスターは高解像度ディスプレイにより、鮮明で滑らかなグラフィックスを表示し、エンターテイメントやセーフティ機能、ナビゲーションなどさまざまな情報を提供。

 スコーピオンの爪をイメージしたステアリングホイールには、古いラリーホイールをオマージュした3本スポークと鮮やかなブルーのトップマークを配置し、シックな中にもスポーティなイメージを取り入れた。シートはスコーピオンをイメージしたエンボス加工が施され、快適さと適度な横方向へのサポートを実現。ヘッドレスト一体型でシグネチャーロゴを配置し、アルカンターラ素材とともにブルーとイエローの印象的なダブルステッチで機能性とデザイン性を両立させている。加えて、運転支援機能として、衝突被害軽減ブレーキやレーンキーピングアシスト、トラフィックサインレコグディション、ブラインドスポットモニターなども採用されている。

アバルト 500eのインテリア

 動力性能について阿部氏は「キビキビとした市街地ドライブ、ワインディングロードでこれまでで最も応答性が高くエキサイティングなドライビング体験を提供します。アバルトユーザーが運転に慣れている普段の場所で、より洗練されたエキサイティングなパフォーマンスを体験できるようになります」とした。

 フィアット 500eのドライビングモジュール、バッテリモジュールをベースとしながら、低中速域での気持ちよいドライビングの実現にフォーカスした車両開発を実施。小型で軽量、レスポンスに優れた最高出力114kW(155PS)、最大トルク235Nmを発生するEDM(Electric drive module)を搭載し、薄型バッテリにより車両を大きくすることなく小型・軽量の車体を実現した。

EDM(Electric drive module)のスペック

 ボディは「595」「695」に対してトレッドを60mm拡幅するとともに、ホイールベースを24mm伸長することで、重量のあるバッテリを中心に配置し、前後重量配分を57:43としてクイックなハンドリングと安定性を両立。これにより、20-40km/h、40-60km/hの中間加速では、695より約1秒早いタイムを記録し、40km/h~60km/hの加速は1.5秒とガソリンエンジン車よりもはるかに速いとしている。

バッテリのスペック
トレッドとホイールベースを拡大
サウンドジェネレーターは車両後方内側に設置した耐水性の口径200mmのウーファーから発せられる

 また、マーケティングダイレクター ジェイミー・アン氏が500eについて「私たちが電動化を進めるのは、電動化こそが究極のパフォーマンスを実現する手段であったからです。アバルト 500eはかつてないほどにアバルトらしいクルマです。エレクトリックな刺激とともに新たなサソリが生まれました!」と紹介。

Stellantisジャパン株式会社 マーケティングダイレクター ジェイミー・アン氏

 日本には特に熱烈なアバルトファンが多いと言い、その理由について「私たちのお客さまが美しさや技術的な洗練さを評価しているだけでなく、アバルトブランドのパフォーマンススピリットについても理解してくださっているからです。カルロ・アバルトがブランドの名称とロゴを生み出し、サソリのように高性能かつ小型で俊敏なクルマの代名詞にしました。そのレガシーとストーリー、そしてブランドの理念が日本のお客さまの心に強い共鳴を与えているのです」と語った。

 さらに、ブランド全体では男性が多いものの、アバルトへの乗り替えは女性客が54%を占めるフィアットからが多いとして、500eでは女性客“スコーピオーネス”の増加を期待していると話し、「女性が路上での自己主張を強め、内なる自由を解き放つ思いとともに、女性オーナーのフィアットからアバルトへの乗り替えが増えることは間違いないでしょう。実は500eは初心者の女性ドライバーにも向いています。電動化により瞬発力と安定性が増し、路上での扱いやすさが向上しています。コンパクトなため取り回しが楽なのは言うまでもありません。市街地を走り回るには最高の1台だと思います!」と述べた。

 最後に、500eでのドライブを堪能した打越社長が発表会会場に現われ、「サウンドが気持ちよくて内蔵に響きわたって、遠回りしてしまいました」と話し、「音もそうなのですがパッケージングがすごいです。アバルトは非常に小さなモデルなのですが、そのコンパクトなボディにEVならではの低重心、それが相乗効果を生んでいると思うんですね。なのでステアリングの反応もクイックで、コーナーからの立ち上がりも気持ちよくてたまらなかったです。モーター駆動ですのでゼロスタートの加速も素晴らしいのですが、それにもまして中間加速が素晴らしい。開発チームがそこを意識してクルマを作り上げてきたというのがよく分かりました」と興奮気味に500eの感想を語った。

打越社長が500eに乗って発表会会場に登場

 続けてステランティスジャパンにおけるアバルトブランドの立ち位置について触れ「アバルトはニッチなお客さまをターゲットに販売を促進しながら、2019年以降その勢いを増し、2022年には2600台を超え、これにより日本はグローバルで母国イタリアを抜いて世界ナンバーワンの販売台数となりました」と全世界が驚くような状況であると話し、貴重となったMT車や限定車などのラインアップで顧客の期待に応え続けていることがアバルトが愛され続けている理由だと紹介。パフォーマンスを軸とした商品作りをしてきたアバルトが次のステップに上がるため、EVをラインアップに加えることでさらにとがったクルマの500eが生まれ、アバルトの多様性をさらに際立たせる存在になるとした。