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「CEATEC 2023」が開幕、次世代の車載部品やV2H機器など見どころ紹介
2023年10月16日 18:08
- 2023年10月17日~20日 開催
「CEATEC 2023」が10月17日に開幕する。会場は千葉市の幕張メッセで会期は20日まで。エレクトロニクスの展示がメインだが「Society 5.0」の実現を目指した総合展示会となり、自動車関係では車載のエレクトロニクス機器やパーツをはじめ、EVや自動運転車、さらにはV2Hまで多彩な展示が行なわれる。
CEATECは新型コロナウイルスの影響で、オンライン開催が続いていたが、2022年にリアル開催が復活。今回の2023年はリアル開催のコンファレンスが復活するなど、内容の充実を図っている。今回のキーワードは「次世代」としている。
会期は10月20日までで、開催時間は10時~17時。入場は無料だが、オンラインでの事前登録が必要となる。
開幕を前に報道向けに一部を事前公開
開幕を前に、16日にはプレスプレビューとして一部のブースの公開が行なわれた。その様子をお伝えする。
三菱電機では、5月から福井県永平寺町で実際に行なっている自動運転レベル4の移動サービス「ZEN drive」の実車を展示。ナンバープレートを取得し、遊歩道を歩行者や自転車と一緒に実際に走っている自動運転車を持ち込んだ。
走行路は自動運転車のほかに自動車は走っていないが、歩行者と自転車が走行しており、技術的な難易度は高いという。また、「ZEN drive」は添乗員などを乗せない無人運転を行なっている点や、有料で走行していることも特徴となる。「ZEN drive」は各社の技術を取り入れているが、三菱電機では制御装置や通信装置、センサーなど自動運転にかかわる技術を提供している。
また、京セラは、軽食や飲み物などを移動販売できる無人自動走行ロボットを展示した。公道走行可能なもので、北海道石狩市で実証実験を行なった車両となる。
東芝では、Cu2O(亜酸化銅)タンデム型太陽電池を展示した。透過型のCu2O太陽電池を一般的なシリコンの太陽電池を重ねて配置でき、現在の試算効率で30%アップ、理論効率で42.3%アップを狙えるというもの。
これにより、EVのルーフに3.33m 2 搭載した際、太陽光だけで外部充電なしの航続距離は、1日あたり現在の試算効率で最大39km、理論効率で最大55kmまで伸ばすことができ、近距離ユーザーは充電設備なしでEVが保有できるとしている。
シャープはCEATECには初展示となる「クリックディスプレイ」を展示した。これは、圧力センサーを使い、物理ボタンの操作性をディスプレイ上で実現したというもの。これまでの静電容量パネルの場合は指で押した圧力の反映が難しかったが、それを可能にする。例えばディスプレイの反応を指で押し込んだ場合に限定すれば、手さぐりで画面を触り、意図したところだけ反応させることが可能となる。
展示デモでは、シフトレバーを画面上に設定。手で触れたときには操作が反応せず、押し込んだときに変速するという動作をできるようにしていた。その際に、画面上に凹凸をつけて場所を触感で分かるようにすることもできるという。押し込んだ際にはクリック感を演出する画面振動もあり、まさに物理ボタンを押し込んでいるような感覚で操作できる。また、タッチと押し込みで別の動作をさせることもできる。
パナソニックはV2H機器と車載の製品を展示した。パナソニックのV2Hシステム「eneplat」は蓄電システムや太陽光パネルなどと組み合わせる製品で2月から受注を開始している。CHAdeMOの急速充電コネクターを接続して、V2Hに対応したBEVやPHEVなどと組み合わせる。なかなかV2Hシステムの現物を見る機会は少ないが、ケーブルの取りまわしなど実機に触れて試すことができる。
また、車載のパーツなどはデモ車体の各所に取り付けて展示。さまざまな部分でパナソニックの車載部品が用意されていることが分かるようになっている。
パナソニック インダストリーも車載の素材などを展示しているが、今回は透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」を展示した。透明のフィルムの中に配線幅2μmの配線を敷き、電気を通して透明のウィンドウに熱を持たすことができるという。
デモカーは霧を発生させフィルムの有無でガラスの曇り具合が分かるようになっており、その効果を確かめることができる。これは、EVなどエンジンの熱源を持たないクルマで効果的なデフォッガーを実現できるという。
展示されているものは、車載の部品だけではない。CEATECでは測定器や関連ソリューションも多く展示している。
アンリツはEVも関連するソリューションを展示。ブースに前面にはグループの高砂製作所の充放電対応のハイブリッド電源を展示し、バッテリをシミュレートするなどして電動車の開発に不可欠なバッテリとモーターの試験ができるようになっていた。
また、自動バレーパーキング(AVP)の評価システムも展示。駐車場のセキュリティや効率化などからAVPの普及が見込まれており、開発期間を短縮する評価システムをdSPACEとの協業で展示した。実際の駐車場における通信障害などさまざまな状況を再現するもので、5G通信機も用意してデモを行なっている。
なお、プレスプレビューには参加していないが、そのほかにも車載関連、車載部品メーカーなどが数多く出展している。