「CEATEC 2022」が10月18日に開幕した。現在のCEATECは“Society 5.0 総合展”として、開催趣旨に「あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い」とあるように、電子部品や家電だけではない展示となっている。自動車関連では車載電子部品のほか、クルマ本体を展示したソニーなど、非常に幅広い展示が行なわれる。入場料は無料だが、入場者はオンラインでの事前登録が必要となる。
幕張に帰ってきたCEATEC
新型コロナウイルスの影響で2020年と2021年はオンラインのみでの開催となり、今年は3年ぶりのリアルの展示場を使った開催であるとともに、オンラインで行なわれる講演や一部オンラインのみの出展企業もいるハイブリッド開催となっている。
メタバース展示を集めた「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」ゾーンも設定 リアル会場は2019年以前と同じく千葉県千葉市美浜区の幕張メッセとなり、ホール数は2019年の7から5へと減っているものの、初出展も多くあるほか、「デジタル田園都市」による共創をテーマにした展示や、メタバースのコーナー、学生向け展示が充実するなど、より変化したものとなっている。
自動車関連は部品からソリューションまで多数
自動車関連では、ソニーが試作EVでSUVタイプの「VISION-S 02」を展示したほか、もともと電子部品の展示会だったこともあり、車載の電子部品を数多く展示。
ソニーのブースでは中央に「VISION-S 02」を展示。入場規制がかかるほどの人気 今回は特に、電子部品メーカーでは、最近問題になった幼児置き去りを防止するセンサーの展示が目立った。そのほかでは、一般家庭用のV2H(Vehicle to Home)システムや、社会全体のCO2削減を目指すソリューションなどの展示もあった。
子供置き去り防止の室内センサーの展示が多く見られた今回のCEATEC。これは村田製作所 アルプスアルパインも室内センサーを展示。パルス式レーダーを採用し、他方式との差をアピール 三菱電機は同社製品を多数搭載したモックを展示。そこにも子供置き去りのセンサーが搭載される V2Hシステムではシャープが、V2Hレディの太陽光発電と蓄電のシステムを展示した。太陽光発電システムのパワーコンディショナーと蓄電池まではすでに発売となっているが、V2Hのためにクルマと接続するEVコンバータについては予告として「2023年~2024年発売予定」とのみ示されたのみで、実際の発売時期についても細かいスケジュールはまだ公表してない。シャープではEVコンバータの発売はまだだが、製品はEVコンバータ対応へと切り替えており、後からの追加導入がしやすいようになっている。
V2Hへの発展で注目を集めるシャープの太陽光発電システム EV用コンバータの発売は2023年~2024年ともう少し先のようだ シャープではそのほか、太陽光パネルとして自動車のルーフなどに装備しやすいものや、将来的に窓ガラスに装着するタイプなども展示。さらに、車内空間のための車載用プラズマクラスターシステムも展示している。
家庭用V2Hシステム市場でほぼ独占状態となっているニチコンは、V2Hのみの「EVパワー・ステーション」よりも一歩進んだ新しい「トライブリッド蓄電システム」を展示した。太陽光発電と蓄電、そしてEVとの連携なども可能なシステムとなっている。
現在の家庭用V2Hシステムでほぼ市場を独占しているニチコンでは、新しいトライブリッド蓄電システムを展示。単なるV2Hシステムよりも高価だが、組み合わせが豊富だという そのほかにもニチコンは、EVなどから電気を供給するアダプター「パワー・ムーバー」を発売しているが、従来からある合計出力4500Wタイプのほか、最近登場の3000Wタイプも同時に展示。筐体が小型になっていて価格も抑えられていることが特徴となる。
EVなどから電気を供給するアダプター「パワー・ムーバー」は新たに合計出力3000Wの安価なタイプ(左)を登場させた アルプスアルパインは、アルパインのカーオーディオと、スイッチなどの部品を紹介。アルプス電気の部品では文字を空中に浮かせて表示し、さらに浮かせた文字にタッチすることで反応する「ステルス空中インターフェース」などを展示している。
アルプスアルパインといえばカーオーディオのアルパイン。最上位になるAlpineF#1Statusのデモカーを展示 弟分となるAlpine Statusも展示。専門店でのインストール不要で単品購入もできるラインアップ ドライバーのインターフェースを多く手掛けるが、文字を空中に浮かせて“タッチ”ができる「ステルス空中インターフェース」を展示。写真では分かりづらいが、空間でタッチができることを展示で確認できる さらに、各部品メーカーなどが自動車関連の製品を展示しているほか、ドライブレコーダーのBlackVueは、LTEで接続し、リアルタイムにドライブレーダー映像を公開できるなどの機能を紹介している。
TDKでもドライバーのインターフェースになる部品を展示。この展示にはタッチするとあたかもタッチした場所がスイッチになるかのような感触を実現するユニットが組み込まれていて、左右の平面スピーカーはそのユニットの応用品となる こちらは窓ガラスを透明か不透明かを電子的に切り替えられる。ガラスサンルーフなどに利用する アイコンのところを押すとあたかもスイッチを押し込んだかのようなクリック感がある。実際には、スイッチのアイコンは硬い表面となっている ラリージャパン2022のスポンサーでもあるフォーラムエイトは各種シミュレーションを展示し、ブースでは実際に操作することができる BLACKVUEはドライブレコーダーを展示。LTEで接続し、画像を公開設定したユーザーの画像をリアルタイムで見ることができる これはベトナムにいるユーザーのリアルタイムなドライブレコーダー画像。駐車中だが、画像を公開していることで防犯効果もありそう 京セラの空中ディスプレイのデモ。実際に浮いていることを自分の目で確認できる 京セラでは光ファイバーで電力と信号を同時に送るシステムを初展示。現在は効率がまだよくないが、光ファイバー1本で電力と信号を送ることができれば、車内の配線の軽量化が可能だという 交通ソリューション展示や、パートナーを求める展示も
そのほか、自動車関連ではソリューション展示も豊富。ロンドンの交通シミュレーションを手掛ける富士通は、CO2削減と交通利便性について、ロードプライシングを設定した場合の行動特性やCO2削減の状況のシミュレーションを展示。単にCO2排出の少ないクルマを使うのではなく、都市全体の利便性とのバランスを考えたCO2削減を検討できる。
富士通では交通ソリューションとしてロンドンのCO2削減シミュレーションを展示。ロードプライシングなどの設定でどう変化するかをシミュレーションした 高速道路のNEXCO東日本とNEXCO中日本が出展。どちらも高速道路の情報化や維持管理について紹介。NEXCO東日本では、今後の高速道路の進化ポイントを挙げ、連携してくれるパートナーを募集する展示になっている。
NEXCO東日本は今回がCEATECでのリアル展示初出展となる。展示して連携パートナーを募集している NEXCO中日本も展示を展開した。道路維持管理の「インフラ司令」を紹介 インフラとクルマの連携の展示も複数あった。三菱電機ではインフラ連携でレベル2の自動運転のクルマが、限られたエリアではレベル4の運用ができるシステムを映像で紹介。例えば工場内だけ自動運転することで、構内ではドライバーの熟練を不要とするなどの効果が期待できる