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高速道路の大型トラック速度規制90km/hに引き上げへ 警察庁が有識者検討会の提言公開

2023年12月22日 発表

 警察庁は12月22日、法定速度が現行80km/hとされている大型貨物自動車等を中心として、高速道路における最高速度の在り方について検討した「高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会」の提言内容を公開した。

 有識者検討会の設置は、「物流2024年問題」への対策のため、政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」が取りまとめられ、その施策の1つとして「高速道路のトラック速度規制の引上げ」が盛り込まれたことから。

 高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する提言は、交通事故分析、交通実態調査、ヒアリング調査、アンケート調査等を実施した結果を踏まえ、高速道路における車種別の最高速度の在り方について取りまとめられた。提言の概要は以下のとおり。

高速道路における車種別の最高速度の在り方

 大型貨物自動車等の最高速度については、現行の速度抑制装置を存置した上で、法定速度を90km/hに引き上げたとしても、交通の安全に大きな影響をもたらすとは考えられない。一方で、これより高い速度への引上げは、車両の安全性能が担保されていないこと等を踏まえれば、現時点では不適切。

 今回の引上げの影響を見極めた上で、更なる社会的要請があり、新たな車両開発等の状況変化が生じた際には、将来的に引上げを検討する可能性は排除されない。なお、現在の規制速度80km/hの路線について法定速度とすることの可否も要検討。

 トレーラの最高速度については、車両構造上の特性や交通事故件数等を踏まえれば、現時点では、最高速度の引上げの結論には至らず。今後の技術の進展等を踏まえ、将来的に引き上げる可能性も念頭に、交通事故発生状況の分析等を行うことは一定の意義がある。

 速度の見直しと併せて、キープレフト等の周知徹底、交通違反取締りなど道路交通の整序化のための方策、ドライバーへの過度なプレッシャーの抑制等、適切な運行管理のための方策、安全装置の普及促進など車両の安全性能の更なる向上のための方策がなされるべき。