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UDトラックス、新型「クオン GW 6×4」重量物輸送を担う顧客の声で13年ぶり復活 最大530PSの13リッターエンジン搭載など
2023年4月5日 12:03
- 2023年4月4日 発表
UDトラックスは4月4日、新型トラクター「クオン GW 6×4」を発表、発売した。同日開催された発表会に登壇した、UDトラックス 代表取締役社長 丸山浩二氏は「クオンGW 6×4 トラクター発売停止後も、お客さまからずっと復活を要望されてきました。今回、満を持して13年ぶりに復活いたします。トラクターに求められる、基本性能、走る、曲がる、止まる、そしてつなぐ、この4つの領域で、UDトラックスの持てる技術の全てを投入しました。エンジン、トランスミッション、ブレーキシステム、そして操舵システムで大きな進化を遂げました」と新型モデルを紹介した。
新型クオン GW 6×4は、セミトレーラー、ローリー、海コン、車載車を主要用途とし、第5輪荷重11.2t〜20.0tに対応する重量物輸送用トラクター。エンジンは直列6気筒 13リッターの「GH13」を採用し、最高出力と最高トルクは、連結車両総重量(GCW)54.8t〜86.0tにあわせて、530PS/2601Nm、490PS/2448Nm、470PS/2346Nm、の3タイプを設定。駆動方式は6×4、トランスミッションは12段電子制御式トランスミッション「ESCOT-VII」を採用する。また、ブレーキタイプはディスクブレーキを採用、補助ブレーキとして、1485Nmを発生するエンジンブレーキに加えて、ブレーキトルク3250Nmを発生する大容量流体式リターダーを設定して、強力な制動力を備えた。
発表会であいさつをした丸山氏は「皆さま、ご承知の通り、今物流業界は大変厳しい環境下であります。貨物の個数は増加し、輸送ニーズが多様化する一方で、ドライバーの不足が深刻化しています。加えて、時間外労働時間の上限規制が適用される、いわゆる2024年問題、これにも直面しています。今、お客さまは大変な危機感をお持ちでいらっしゃいます。こうした深刻な物流課題に対して、私たちUDトラックスが何ができるんだろう、どう貢献できるだろうと常々考えております。私たちがご提供するソリューションの根底にあるのは、ドライバーのことを常に考え“その1歩先を行く”べく、具体的には重量物を運ぶプロのドライバーの疲労を少しでも減らしてあげたい。そのためにより、安全で運転しやすいトラックをご提供してまいります」との思いを話した。
そういった背景をもとに投入される、新型クオン GW 6×4について、丸山氏は「大型車、とりわけトラクターはUDトラックスのアイデンティティそのものです。商品力、アフターサービスにおいて、お客さまから絶大なご支持をいただき、その結果、トラクターではダントツのシェアを取らせていただいております。このGW 6×4は開発段階におきまして、昨年から一部のお客さまに先行で試作車に乗っていただきました。重量物を運ぶトラックでありながら、その運転のしやすさに大変なご好評をいただきました。ですから、今日、私たちは皆さまに自信を持ってご披露いたします」と仕上がりに自信を示した。
また、13年前に廃止となった背景について、丸山氏は「13年前に、われわれがボルボ(傘下)時代に、1度、商品のポートフォリオをすべて見直した時に、残念ながらこのGWは辞めたんですけれども、お客さま、特に重量物を運ぶお客さまからはですね、UDのGWが、やっぱり力もある、それから走行安定性もあるなどということで、根強い要望がありまして、私も営業をやっていたんですけれども、“早く復活してくれ”という強い要望がございまして、今回、復活したという形になります。やはり、重量物を運ばれるお客さまから、このGWは高い評価をいただいていると認識しております」と説明した。
開発部門シニアプロジェクトマネジャーの松永浩史氏からは、「走る」「曲がる」「止まる」「つなぐ」といった新型クオン GW 6×4の4つの主な特徴について説明があり、13リットルエンジンの圧倒的パワーとトルク、省燃費性を兼ね備えた走り、ESCOTとUDアクティブステアリングによる高い運転性、そしてディスクブレーキとトップクラスの補助ブレーキとの組み合わせによる制動力などで、人にも積荷にも優しいトラックを実現させたことが強調された。
同発表会では、2024年4月1日からドライバーの時間外労働時間の上限が960時間に制限される、いわゆる2024年問題の影響について、交通コメンテーターの西村直人氏、ジャーナリストの橋本愛喜氏、NX総合研究所の大島弘明氏を招いたトークセッションが展開され、同トークセッションに参加した開発部門シニアプロジェクトマネジャーの松永浩史氏からは、トラックメーカーとしてできることについて「今日もこのトークでキーワードが明確になったと思います。それは、誰でも運転できるトラックをドライバーファーストで開発し、人材の多様化に貢献していこうと考えます。まずは、さらなる進化を求めて、各種機能のバージョンアップを図っていきたいと考えます」との考えが述べられた。