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日産、ド派手な「エクストレイル クローラー コンセプト」など東京オートサロン2024出展車を先行公開

2023年12月25日 公開

東京オートサロン2024出展車を事前公開(写真はX-TRAIL CRAWLER CONCEPT)

 日産自動車は、「東京オートサロン2024」(幕張メッセ:2024年1月12日~1月14日開催)に出展するコンセプトカー4台を公開した。

 公開されたのは、エクストレイルをベースにした「X-TRAIL CRAWLER CONCEPT(エクストレイル クローラー コンセプト)」、キャラバンをベースにした「Disaster Support Mobil-Hub(ディザスター サポート モービル ハブ)」、ルークスをベースにセレクトショップブランドのBEAMSと企画した「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT(ルークス ビームス カスタマイズド コンセプト」、そしてマーチの中古車をベースにした「MARCH patissier CONCEPT(マーチ パティシエ コンセプト)というラインアップだ。

 出展車両については12月18日に発表していたが、その中でもX-TRAIL CRAWLER CONCEPTは詳細を公に見せない写真が使われるなど謎めいたモデルとなっており、ド派手なマットピンク系のボディカラーにオフロードテイストとタフギア感を高めたコンセプトカーが披露された。

エクストレイルをベースにした「X-TRAIL CRAWLER CONCEPT(エクストレイル クローラー コンセプト)
キャラバンをベースにした「Disaster Support Mobil-Hub(ディザスター サポート モービル ハブ)」
マーチの中古車をベースにした「MARCH patissier CONCEPT(マーチ パティシエ コンセプト)
セレクトショップブランドのBEAMSと企画した「ROOX BEAMS CUSTOMIZED CONCEPT(ルークス ビームス カスタマイズド コンセプト」

エクストレイル クローラー コンセプト

 東京オートサロン2024の日産ブースに出展されるコンセプトカーを順番に紹介していこう。まずはエクストレイルがベースの「エクストレイル クローラー コンセプト」。

 これは極限の環境でも走破していくエクストリームオフロードの分野と、タフなギアとして続いてきたエクストレイルのDNAを掛け合わせることで、新しいクルマができるのではないか? という発想から作られた車両。

大幅に高められた車高が特徴
オーバーフェンダーは専用品
フロントビュー。ボンネット先端にはガーニッシュが追加されている。これによりV字形状のフロントグリルのイメージがよりはっきりするデザインとなった。バンパーは専用品
リアバンパーも専用品

 見るからにタフそうなクルマに仕上がっているが、ポイントは大きく分けて3点ある。まず外装では傾斜がきつく険しい地形を走破するロッククロールの世界を表現。荒削りでありつつ力強さを感じさせるものとした。

 そして内装ではエクストレイルが追求してきた道具感をラゲッジルームで表現した。具体的には物を積むのに適したハードな床材や大きなものも固定できるベルトにフック、そしてサイドに取り付けられたさまざまなギヤを装備できるメッシュパネルなどを装備している。

 3点目はボディカラー。エクストレイル クローラー コンセプトは「普通じゃないよね」と思わせることを狙ってマットピンク系の色味とした。さらにグラフィックにマットなグリーンを入れることで、ピンク系ながらギラギラした感じを受けないものとしている。なお、このカラーやデザインは最近流行のモーターフィルム(カラーシートによるラッピング)を使っている。

険しい道を走るロッククローリングの世界を表現するため高められた車高が特徴
ルーフにはルーフラックとルーフボックスを装備。ラックの前部にはLEDライトを付けている
専用17インチアルミホイール。タイヤはMAXXISのMT772 RAZR MT
オーバーフェンダーも専用。タイヤに被せるのではなく、ひさしのように上向きのカバーにすることで車高をより高く見せている
マットなピンクとグリーンは透明なフィルムにCMYKで調色した色をフィルム用のインクジェットプリンターで吹き付けているもの。デザイナーのイメージ通りの色味に合わせるのに何度も出力したという
今回は走行を予定していないがサスペンションは専用品に交換。全長調整式の直巻スプリングを使うタイプのダンパーキットが付く
リアはダンパーとスプリングが別体構造。スプリングを自由長の長いものにし、さらにアッパーシートを車高調整できるアジャスタータイプに換えている
ラゲッジルームはタフなイメージで作られる。センターにスペアタイヤを固定。タイヤを固定するベルトが付くスライド式の固定ポイントは、海外向け車種に設定される純正アクセサリー
サイドには小物が固定できるメッシュパネルが付く
反対側にもメッシュパネルが付く

ディザスター サポート モービル ハブ

ディザスター サポート モービル ハブ

 こちらはキャラバン プレミアGXがベースでボディカラーはミッドナイトブラック(参考出品)。

 緊急時や災害時に活動の拠点になる機能を持たせた作りとしていて、大きな特徴は日産が2023年9月に発売した「ポータブルバッテリーfrom LEAF」(17万500円)を合計17台搭載しているところ。さらにルーフには大きなソーラーパネルも搭載しているので、停電していたり電気が取れない場所にいたりしても活動できるようになっている。

 このディザスター サポート モービル ハブの想定した利用法としては、車両を自治体や消防団が管理して、いざという時にすぐに避難所に急行。初動対応として必要な働きをしつつ、混乱が続く中でも市民の生活を支えるための“移動する役場”としても使用できるというもの。かなり現実味のある設定だが、それもそのはず、製作にあたっては防災アドバイザーに監修を依頼したという。

キャラバン プレミアGXがベースのディザスター サポート モービル ハブ。装備を展開した状態
左面はサポートエリア。反対側には防災本部として使えるスペースがある
ルーフにはソーラーパネルが付く
後方から見た状態。テールゲートのウィンドウには掲示板的に情報を表示するモニターが装備される
左面サポートエリア。引き出し式のブロックには「ポータブルバッテリーfrom LEAF」が複数収納。その上にはスマートフォンの充電ボックスがある。手前には可動式のギャレーを配置
「ポータブルバッテリーfrom LEAF」が並ぶ引き出し式の棚
アンテナも展開している
こちらはコンロ
シンク。コンロとシンクは別体でそれぞれで移動ができる
サポートエリアにはオーニングも展開できる
スライドドアには災害時に確認したい各種情報を表示するモニターが組み込まれている
テールゲートは上に開くのではなく、ルーフに追加されたレールで後方にスライドする。そして作ったスペースにはプライバシーが守られる防音個室を設けた。素材には軽量遮音材(音響メタマテリアル)を使用
2列目シートがあったあたりまでをケガ人、病人も受け入れできる多機能ルームとしていた
右側のスライドドアを開けると防災本部として使うオフィススペースになっている
ショー用に作ったクルマだが、引き出し式の箇所はすべて実際に稼動するので、収納するとこのようになる
テールゲート側も同様に収納できる。ギャレーもしまってある
スチールホイールを黒に塗装。走破性を高めるため、タイヤは横浜ゴムのSUV・ピックアップトラック用マッドテレーンタイヤ「GEOLANDAR M/T G003」を履く
フロントバンパーからリアバンパーまでのサイド部は傷が付きにくいだけでなく、頑丈さも得られるプロテクション塗装としている

 なお、この車両のキーアイテムになっている「ポータブルバッテリーfrom LEAF」とは、リーフに使用されていたバッテリをリサイクルした製品。リチウムイオン電池(マンガン系)で容量は633Wh(42.2Ah/15V)。充電時間はACアダプター使用時は約9.5時間。そして大きな特徴はクルマに使うバッテリだけに幅広い温度域で使用できるところがある。動作温度範囲は-20℃~60℃(ただしバッテリ温度が60℃を超えた場合は停止)だ。さらに放電しにくいという特性もある。

マーチ パティシエ コンセプト

パティシエである高橋初姫氏のクルマの使い方をベースにデザインし、世界観を表現するためのアイテムを盛り込んだマーチ パティシエ コンセプト。高橋氏は東京のミシュラン一つ星レストランで修業後、地元である徳島県阿南市へ戻り「UZUKI sweets shop」を出店している

 東京オートサロン2023で提案した、日産車の中古車をベースとして「個性を持ち、夢を追う若者のライフスタイルに寄りそうクルマ」を作るプロジェクトによるコンセプトカー。こちらでは若い世代でも手を出しやすい中古車をより身近に感じてもらうため、若い世代のライフスタイルパートナーなるようなカスタムを手に入れやすい中古車に施すという内容。第1弾はキューブがベースの「CUBE Refreshed & Retro Concept」で話題の1台になったという。

 今回の取り組みでは2016年式のK13型マーチの中古車をベースとして選んでいる。そしてカスタムのテーマは「パティシエ」とし、実在する若手パティシエールの高橋初姫氏をストーリーの主人公に据えて、高橋氏のパティシエールとしての活動を支えるクルマというテーマで仕上げたものだ。

デザインに盛り込まれているウッド模様などは高橋氏のこだわりが詰まった店舗「UZUKI sweets shop」に影響を受けたもの
すでに生産終了になっているマーチだが、扱いやすい車体サイズや燃費のよさなどから中古車では人気
古くなったクルマではヘッドライトのレンズにも黄ばみや曇りがでるが、これがクルマのイメージをわるくさせる。そのためヘッドライトを新品に変えていて、それだけでも見栄えはグッとよくなる
細かい部分にゴールドのアクセントが入れられる。これも高橋氏のお店で使われているデザインから影響を受けたもの
リアドアのウィンドウにはめ込み式の黒板を装備。ここにメニューなどをチョークで描く
ルーフラックも装備。木を取り入れることでボディに入れてある木目のデザインとあわせている
ホイールカバーにもゴールドが使われる
リアのホイールカバーはフロントと反転した色使い
インテリアにも手が入り、すべてのシートに専用シートカバーが付けられる。また、ステアリングやスイッチ類など運転時に触れる部位は新品パーツに変えている
ドアトリムもシートカバーと同じ柄のファブリックが張られる
ダッシュボードも加飾が入り、クルマの世界観が統一される
マルシェへの出店やデリバリーをするためのクルマ。ラゲッジルームが商品を並べる場となっている
冷蔵庫は前後にスライドする
手前まで引き出した状態。冷蔵庫の木目や留め具をゴールドにするなど小物もテーマにあわせてデザイン
このクルマにも「ポータブルバッテリーfrom LEAF」が使われる
テールゲートの内張も木目調になっていた

ルークス ビームス カスタマイズド コンセプト

ルークス ビームス カスタマイズド コンセプト

 最後に紹介するのはセレクトショップブランドのビームスがカスタムを監修したコンセプトカー。ベースはルークスのX ターボ。専用ボディカラー(参考出品)で内装色はグレージュ。エクステリアには参考出品のデカール(ヘッドライト、バンパー、ボディサイド、リアバンパー)を追加し、足まわりは純正14インチアルミホイール(専用カラー/参考出品)を組み合わせている。

 こちらのモデルではアドバイザーとしてビームスのカリスマディレクター 加藤忠幸氏を迎えているのが大きなポイント。そして加藤氏の監修のもと、カスタマイズの内容はさまざまなシーンにマッチする素材である「デニム」を大胆にあしらったインテリアを軸に、エクステリアにもデニムを連想させるデザインを盛り込んだものになっている。

 ちなみに使用するデニムはビームスで販売しているセルビッチデニムとしているが、このクルマではおもしろい試みを実践していた。それが本来の使い方では裏地となる面をシートの表皮などに使ったことだ。

 デニム調のシートカバーはどこかで見た記憶があるが、デニム調のカラーはそれなりに濃い青なので、生地から受ける質感はカジュアルだが、どこか暗い感じになりがちだった。それに対してデニムの裏地を表に使うと明るいイメージになり、それでいてデニム生地ならでは質感もあってシンプルながらファッション性の高いデザインになっていた。また、縫製にも凝っているのでデニムらしいタフさも感じられるものだ。

ボディカラーはデニムのインディゴと都会的なイメージのライトグレーを採用
エンブレム類はメッキから明るいグレーに変更
ヘッドライト上部にアイライン的なデカールが追加される
リアビュー。バンパーはインディゴカラーとなる
フロントバンパーにもラインデカールが入っていて、エンドの処理が左右で異なっている。こちらは右側
こちらは左側。NISSANとBEAMSの名前が入る
ミラーカバーはデニム調のインディゴカラー、塗装面もつるつるではなくざらついた手触りのある仕上げ
ピラーやルーフもミラーと同じ仕上げ
アクセントとしてインディゴカラーやビームスのロゴが入る
純正ディーラーオプションとして販売されているレトロ調ながら新しいデザインのスチールホイール風アルミホイールがベース
インディゴカラーとビームスのブランドカラーであるオレンジを差し色を使用している
シート生地はセルビッチデニムを裏返して使ったもの
実物のデニムを置いてみた
シートには裏地にある「耳」の部分も付いている
ジーンズなのでサイドにポケットもある
リアシートも同様の作り
タグも付いている
ステアリングの樹脂部分にインディゴをイメージした藍色の塗装が。右側部分にはオレンジのビームスロゴも入る
フロアマットもインディゴカラー
リアのフロアマット

 以上が日産が東京オートサロン2024に展示するコンセプトカー。このほかには日本初開催となるフォーミュラE「Tokyo E-Prix」に参戦するGen3マシン「NISSAN e-4ORCE 04」や、NISMOのロードカーも展示される。また、日産モータースポーツ&カスタマイズからは「AUTECH」ブランドの車両を2台展示する。