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ステランティス、アシュワニ・ムッパサニ インド・アジア太平洋地域担当COOによるグローバル戦略解説

2024年1月10日 開催

アシュワニ・ムッパサニ インド・アジア太平洋地域担当COO(最高執行責任者)

日本市場へは2024年に計7車種の新型車を導入

 Stellantisジャパンは1月10日、アシュワニ・ムッパサニ インド・アジア太平洋地域担当COO(最高執行責任者)による今後のグローバル戦略についてのラウンドテーブルを開催した。

 アシュワニCOOはインド生まれの米国人で、インドのマニパル工科大学で産業生産工学の学士号を、米ウィチタ州立大学で生産工学の修士号を取得。他社を経て2019年に旧FCAグループに入社し、アジア太平洋地域の調達・サプライチェーン総括責任者を担当。2022年7月から中国でジープ、アルファ ロメオ、DSなどのオペレーションを担当したのち、2023年11月に現職に就いている。

 アシュワニCOOは「みなさん明けましておめでとうございます」と日本語であいさつした後、「ステランティスには2030年までにはこうありたい、とする明確なビジョンがあり、その中で地域ごとの戦略がある」として話を始めた。

 最初にステランティスの100年以上ある歴史について説明し、現在抱えているブランド数は14あり、クラシックなモデルが有名なアルファ ロメオに始まり、ジープ、プジョーなどまさにレジェンド級のものが多数あるとした。またステランティス自体は非常に多様性に富んだ企業で、その国籍は170に及び、世界の130の市場でオペレーションしていて、30か国で製造を行なっており、その多様性が強さに結びついているとした。

ステランティスのブランド一覧
グローバルでの事業展開

 2030年までのビジョンは「ディア フォワード」と呼ばれていて、まずCO2の排出量は50%の削減を目指し、BEVの販売については欧州で100%、米国で50%の割合に、またすべての地域でCO2ニュートラルに向けた成長を続けるビジネスを行ない、これらによる売り上げは実際の業績の25%以上につながるとした。

2030年までのビジョン「ディア フォアード」

 さらに電動化プラットフォームを簡素化する「ステラブレイン」と呼ぶ戦略を行ない、14もあるブランドのそれをわずか4つに統合。内容としてはシティビークル用の「ステラスモール」、プレミアムカー用の「ステラミディアム」、4WDやアメリカンマッスルカー用の「ステララージ」、大型SUVやトラック用の「ステラフレーム」というものだ。さらにステラスマートコックピットやステラオートドライブなどの開発を行ない、合計で300億ユーロを投資する予定という。

ステランティスのプラットフォームは全4種に統合されている。電動化に向けて、ステラブレイン、ステラスマートコクピット、ステラオートドライブといった開発も行なわれている

 アシュワニCOOが担当するインド・アジアパシフィック地域については、人口は世界の40%に当たる28億人で、そのGDPは中国に匹敵するレベルになっているとのこと。北米や欧州に比べて年齢層が若く、毎年可処分所得が必ず上がっている、さらにクルマを持っていない人が多い、ということで市場の成長が著しく、ここに集中的にプレゼンスを強化する予定だという。本部はマレーシアのクアラルンプールにあり、製造工場も建設。またインドには車体とパワートレインの製造工場が2か所あり、中東、アフリカ、欧州に向けて輸出も行なっているとのこと。この地域の社員は4500人ほどで、地理的な複雑さもあってそれぞれが大きく異なるという面もあり、それが逆に仕事の面白さにつながっていると分析している。

インド・アジアパシフィック地域の事業展開
インド・アジアパシフィック地域における今後の可能性
インド・アジアパシフィック地域のディア フォアード 2030

 現在のマーケットシェア0.9%程度を2030年までに5%まで伸ばしていくことを目標とし、このために今後の4~5年で75の車種を投入する予定で、その半数近くがBEVになるという。そしてステランティスの特徴としては、それぞれのブランドが明確に差別化されているという点。例えばアルファ ロメオはスポーティでセクシーでイタリアンであること、ジープはセブンスロットルグリル、プジョーはひと目見てプジョーと分かるデザインといったユニークさがあり、そこは絶対にキープしていくとした。そしてカスタマーの満足度を第1とし、どの角度から見てもステランティスを買ってよかった、またステランティスのクルマを買いたいと思ってもらえる、そこが最重要項目で、単純に数だけを追い求めることはしないとした。

 日本に目を向けると、市場としてはこれまでも重要な地位を築いてきており、世界でも3~4位。台数でも利益でも今後も非常にエキサイティングな場所であるとした。日本向けの新型車は、2024年だけでもジープとプジョーが各2車種、アルファ ロメオ、フィアット、シトロエンが各1車種で合計7車種をローンチしていく予定と明言。さらにそれぞれのブランドを1か所に集めたブランドハウスという構想があり、現在は最適なロケーションを策定中だという。

アシュワニ・ムッパサニ氏

 そして、2023年のインポートマーケット全体としては為替の影響で約10%の落ち込みを見せたものの、ステランティス自体のリテールの数は2022年に比べて上がっているという事実があり、今年の新機種の投入や新形態の販売店を構築することでさらに成長したいとし、新たなビジョンと顧客やディーラーとの信頼関係によって前に進んでいけるはずだと自信を示した。