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TGR、WRCチャレンジプログラム2期生の小暮選手と山本選手が「GRヤリス・ラリー2」でラリー・スウェーデン見事完走

2024年2月19日 発表

大ジャンプする山本・サルミネン組のGRヤリス・ラリー2

 TGR(TOYOTA GAZOO Racing)は2月19日、WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる選手と山本雄紀選手が、2024年シーズンの第2戦として、2月15日~18日にかけてスウェーデン北部で開催された、WRC(FIA世界ラリー選手権)第2戦「ラリー・スウェーデン」のWRC2カテゴリーに「GR Yaris Rally2」で初参戦し、山本選手は10位、小暮選手は20位で完走したと発表した。

 2人が参加している「WRCチャレンジプログラム」は、TGRの目指す“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”と“持続可能なモータースポーツ業界”を実現するために欠かせないドライバーを育成する活動の1つで、世界最高峰のラリー競技であるWRCで活躍できる日本人ラリードライバーを発掘・育成するため、2015年にスタートした企画。

 WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮選手と山本選手は、2月上旬にフィンランドで開催された国内イベント「アークティック・ラップランド・ラリー」で、初めての4輪駆動車両となる「GR Yaris Rally2」をドライブ。続けて今シーズンの2戦目となるラリー・スウェーデンにも「GR Yaris Rally2」で参戦した。2人は2023年にもラリー・スウェーデンに出場しているが、当時のマシンはFF(前輪駆動)のRally 4車両だったため、今回はパワーもスピードも異なり、大きなチャレンジだったという。

小暮・ルフティネン組のGRヤリス・ラリー2

 スウェーデン北部を中心としたステージは全て雪道で、ハイスピードなコーナーが連続。初日は大雪に見舞われ、路面はとても滑りやすいコンディション。WRC2カテゴリーのライバルと比べて雪道の経験値が少ない両選手は、トリッキーな路面に苦戦しながらも着実に経験を積んで、徐々に走行が安定。

 コ・ドライバーのマルコ・サルミネン選手とペアを組む山本選手は、金曜日をWRC2カテゴリー7位で走破。トピ・ルフティネン選手とペアを組む小暮選手は、雪壁でのスタックや2本のパンクなどで30分近くを失いながらも安定したペースで走行した。

 土曜日は天候は回復したものの、山本選手は夕方のステージでパンクしてしまい、サスペンションにもダメージを受けたことでスロー走行を余儀なくされ、WRC2カテゴリー10位に。小暮選手は午後のループの最後で再び雪壁に接触してスタック。デイリタイア(故障やダメージでその日リタイアすること。翌日のスタートまでに修理が間に合えば再スタートできる)となった。それでも小暮選手は最終日に再出走し、WRC2カテゴリー20位で完走。山本選手も全ステージを走り切り、WRC2カテゴリー10位でフィニッシュした。

 次戦は3月8日~9日にフィンランドで開催される、フィンランド・ラリー選手権第3戦「トゥーリ・ラリー」で、小暮選手と山本選手は、GR Yaris Rally2で3戦目のラリーに臨む。

山本雄紀選手

ドライバー小暮ひかる選手のコメント

 浮き沈みの激しい週末でしたが、全体的にはとてもいい経験になりました。フラストレーションを感じる場面もありましたが、ステージによってはいいスピードといいリズムで走ることができました。アークティック・ラップランド・ラリーと比べると、自分のペースが良くなっていることを感じましたし、ステージごとに常に改善していきました。ステージは全体的にとても高速でしたが、金曜日はトリッキーなコンディションになり、いい経験を積むことができました。ラリー終盤にかけては大きく順位を下げていたので、路面にはグラベル(砂利)が多く出ていて、タイヤに厳しいコンディションでした。それも含めていい勉強になりましたし、走りを楽しむこともできました。雪道での走行距離を稼ぐことができたので、次のラリーではさらにスピードを上げられるようになることを期待しています。

ドライバー山本雄紀選手のコメント

 難しい場面もありましたが、本当にいいラリーでした。コンディションは毎日大きく変化しましたが、それもいい経験でしたし、勉強になりました。金曜日は雪が多く降って多くの轍が刻まれるなど、本当にトリッキーでしたが、そのようなコンディションでもいいフィーリングを持ち続けることができました。土曜日の終盤は岩にぶつかってしまい、最後のステージはかなりゆっくり走らなければなりませんでした。しかし、日曜日はコンディションが非常に良く、自分のフィーリングもどんどん良くなっていきました。速いドライバーたちの走行ラインをフォローし、彼らとタイムを比較できたのもいい経験でした。本当にいい週末になりましたし、次のラリーでも学びを続ければ、もっといい走りができるようになるはずです。

インストラクターのユホ・ハンニネン氏のコメント

 ひかると雄紀にとって厳しい戦いになることは分かっていましたが、Rally2車両での参戦はまだ2回目で、コンディションもかなり厳しかったにもかかわらず、ポジティブな週末になりました。雄紀は全ステージを、ひかるはほぼ全てのステージを走ったので、多くの経験を積むことができましたし、ノーミスでクリーンな走りができたときのステージタイムは、かなり良かったと思います。特に金曜日のコンディションは誰にとっても厳しいものでしたが、このようなクルマで走った経験がなかったことを考えれば、彼らはよく乗り切ったと思います。その後も路面のグリップは頻繁に変化し、経験が少ないドライバーがドライビングを適応させるのは難しい状況でした。今回、彼らは確実に多くのことを学んだと思うので、次のフィンランドでのラリーは少しやさしく感じられることでしょう。

ラリー・スウェーデンの結果(WRC2カテゴリー)

1:Oliver Solberg/Elliott Edmondson組(Skoda Fabia RS Rally2) 2h38m09.1s
2:Sami Pajari/Enni Malkonen組(Toyota GR Yaris Rally2) +1m19.7s
3:Georg Linnamae/James Morgan組(Toyota GR Yaris Rally2) +1m22.2s
4:Roope Korhonen/Anssi Viinikka組(Toyota GR Yaris Rally2) +1m43.9s
5:Mikko Heikkila/Kristian Temonen (Toyota GR Yaris Rally2) +2m21.5s
6:Lauri Joona/Janni Hussi(Skoda Fabia RS Rally2) +2m58.6s

10:山本雄紀/マルコ・サルミネン組(Toyota GR Yaris Rally2) +9m37.1s
20:小暮ひかる/トピ・ルフティネン組(Toyota GR Yaris Rally2) +54m12.3s