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MINI、新型「MINI クーパー 3ドア」発表会 約10年ぶりの全面改良でバッテリEVもラインアップ

2024年3月1日 開催

396万円~531万円

新型「MINI クーパー 3ドア」を披露する「MINI DAY 2024」を開催

 ビー・エム・ダブリューは3月1日、約10年ぶりの全面改良となる新型「MINI クーパー 3ドア」を披露する「MINI DAY 2024」をBMW Group Tokyo Bay(東京都江東区青海)で開催した。新型MINI クーパー 3ドアは同日の発売となり、ガソリンモデルの「MINI クーパー C 3ドア」(396万円)と「MINI クーパー S 3ドア」(465万円)、日本におけるMINIの量産モデルとして初となるBEV(バッテリ電気自動車)の「MINI クーパー E 3ドア」(463万円)と「MINI クーパー SE 3ドア」(531万円)をラインアップする。なお、今回のモデルチェンジから名称変更が行なわれており、従来の「MINI 3ドア」から今回の「MINI クーパー 3ドア」と呼ばれるようになった。

 新型MINI クーパー 3ドアでは「カリスマティック・シンプリシティー」と呼ばれるデザイン言語が使われ、コンポーネントの数を減らすことでシンプルさを強調することとなった。また、素材からクロームパーツやレザーを排除し、代わりにリサイクルポリエステルやリサイクルアルミニウムを利用するなど、将来を見据えた新世代モデルであることを印象付けている。

会場では新型「MINI クーパー 3ドア」(左)とともに新型「MINI カントリーマン」(右)も展示された。それぞれにBEV、内燃機関モデルが用意される。概要について解説したのはビー・エム・ダブリュー株式会社 MINI営業部長の山口智之氏
従来の「MINI 3ドア」から今回の「MINI クーパー 3ドア」と名称が変更された
新型MINI クーパー 3ドアのモデルラインアップ
新型MINI クーパー 3ドアのBEVモデルについて
新型MINI クーパー 3ドアの価格
新型MINI カントリーマンのモデルラインアップ
新型MINI カントリーマンのBEVモデルについて
新型MINI カントリーマンの価格

 エクステリアではMINIのDNAを継承しつつ、新世代モデルであることを象徴するミニマルな新しいデザインに刷新。パワートレーンの違いや航続距離に影響するエアロダイナミクスを考慮し、デザイン細部に調整を施した。特にBEVモデルでは重要なものだけを残したクリーンなサーフェスが特徴的で、ボンネットスクープ、サイドスカットル、ホイールアーチの加飾、ロッドアンテナなどを廃止し、フラッシュドアハンドルやフィンアンテナを採用したのが特徴。エンジン搭載モデルではBEVとの差別化を図り、伝統のデザインコンセプトを踏襲しながらドアハンドルやアンテナの形状、ホイールアーチの加飾などは以前までのモデルの特徴を継承したという。

BEVのMINI クーパー SE 3ドアのボディサイズは3860×1755×1460mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2525mm。ボディの左側に急速充電用、右側に普通充電用のコネクターが差し込める

 インテリアではメーターパネルが廃止され、運転に必要な情報はヘッドアップディスプレイに映し出されることとなった。カーブを描くダッシュボードには布地を連想させる新しい素材を初採用しており、リサイクルポリエステルを使用したこの新素材は特別に開発された編み物を作るような製造プロセスによって手入れが簡単な構造とした。

 また、大型の円形センターディスプレイには直径240mmの高品質ガラスが使用され、最適化された高感度タッチ機能を装備。メインメニューでは各機能がウィジェットとして横並びに配置され、スワイプやタッチで操作を行なう。メーターパネルとしての機能をはじめ、AR機能付きナビゲーションシステム、メディア、電話、エアコンなど、すべての操作を一括して円形有機ELディスプレイで実施する。

 加えて新型MINI クーパー 3ドアでは「MINIエクスペリエンス・モード」と呼ばれる新機能を全車に標準装備した。これはダッシュボード上に最大7パターンの光のグラフィックを投影させることで、光のパターンとアンビエントイルミネーション、新たに作られたというMINIドライビング・サウンドによってインテリア全体の印象を変化させることが可能というもの。例えば「パーソナル・モード」では、お気に入りの画像をディスプレイの背景に設定でき、「ビビッド・モード」を設定すると流れている音楽のカバー・アートの色に合わせたライト・エフェクトが25色の中から自動で選定され、ダッシュボード上に投影させることができるという。

MINI クーパー SE 3ドアのインテリア
フロントフード下のレイアウト

 パワートレーンについては、MINI クーパー C 3ドアは新世代モジュール式の直列3気筒1.5リッターターボエンジンを搭載し、最高出力115kW/5000rpm、最大トルク230Nm/1500-4600rpmを発生。MINI クーパー S 3ドアは新世代モジュール式の直列4気筒2.0リッターターボエンジンを積み、最高出力150kW/5000rpm、最大トルク300Nm/1450-4500rpmを発生。ともに7速ダブルクラッチトランスミッションを組み合わせた。

 また、BEVのMINI クーパー E 3ドアは最高出力135kW、最大トルク290Nmを発生し、ボディ床下に収納されているリチウムイオンバッテリの容量は126.0Ah/40.7kWh。一充電での走行可能距離は305kmとした。MINI クーパー SE 3ドアは最高出力160kW、最大トルク330Nmを発生し、リチウムイオンバッテリの容量は136.0Ah/54.2kWh。一充電での走行可能距離は402kmとなっている。

 なお、一充電走行距離を含め記載の諸元値は全てヨーロッパにおける認可数値で、日本での認可値とは異なる場合があるとしている。

MINIは販売台数ランキングで8年連続トップ

 発表会ではビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長の長谷川正敏氏、MINI本部長のピーター・メダラ氏、MINI営業部長の山口智之氏が登壇するとともに、BMW AGのMINIデザイン部門責任者であるオリバー・ハイルマー氏が来日してデザインに関するプレゼンテーションを行なった。

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長の長谷川正敏氏

 はじめに登壇した長谷川社長は、日本には多くのMINIファンがおり、それは2023年までで35万台を超す販売台数が示していると語るとともに、JAIA(日本自動車輸入組合)が発表する販売台数ランキングでMINIが8年連続トップを走れたのはファンの応援いただいたからにほかならないと、感謝の意を述べた。

ビー・エム・ダブリュー株式会社 MINI本部長のピーター・メダラ氏

 また、メダラ氏は2023年の振り返りを行ない、JAIA発表の新車販売台数で1万7796台を記録したこと、特別仕様車/限定車を4モデルリリースしたこと、JAIA発表のモデル別販売台数でトップを獲ったことを報告し、「こうした実績を私たちは誇りに思っておりますが、ディーラーさまとの関係性があって初めて実現しております。合わせまして、最善のカスタマサービスを非常に忠誠心の高いMINIファンに提供することによって初めてできた実績だと思っております」と振り返った。

 メダラ氏は新型MINI クーパー 3ドアについても触れ、「エレクトリックゴーカート」「デジタルコミュニティ」「環境配慮」の3点を特徴として挙げ、新型ではMINIが1959年に誕生して以来、ずっと守ってきたゴーカートフィーリングを実現していること、2024年末までに90kW級の急速充電器を正規ディーラーに展開していくことなどを語った。

BMW AGのMINIデザイン部門責任者であるオリバー・ハイルマー氏

 一方でハイルマー氏は新型MINI クーパー 3ドアのデザインについて紹介を行なうとともに、「MINIエクスペリエンス・モード」についても触れ、重要な項目の1つにサウンドを挙げた。これについてオリバー・ハイルマー氏は、「皆さん、なぜサウンドなのかと思っていらっしゃるかもしれませんが、ホラームービーを音なしで見たことはありますか? これは決してインパクトがあるものではないですよね。いかにこのサウンドが大きな役割を果たすかということが分かるかと思います。人間というのは音に反応することが非常にでき、例えば目で見て何か反応するよりも、音を聞いて反応する方が人はできます。もちろん警告を発するための音でもあります。また、われわれは他ブランドと差別化を図りたいわけですが、その中で重要なのが感情です。包括的なエクスペリエンスを提供しながら、感情をサウンドという形でさらに深めることができます」などと語り、歩行者に向けたサウンドや、ドライバーに向けた刺激的なサウンド、落ち着きたいときに向けたサウンドなどが用意され、これらはサウンド専用のデザイナーによって作られたことが紹介された。

 ハイルマー氏は最後に「これこそが新世代のMINIです。全てが生まれ変わったわけですが、とはいえ懐かしさを感じることもできる。そのように仕上がっています」と述べ、プレゼンテーションを締めくくっている。