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アルピーヌ、F1ドライバーのエステバン・オコン選手がカートコースを「A110 R チュリニ」で走行 日本グランプリに向けてトークショー実施
2024年4月4日 06:15
- 2024年4月3日 開催
4月5日~7日に開催される「2024 FIA F1世界選手権シリーズ MSC CRUISES 日本グランプリレース」(F1日本グランプリ)を目前に控えた4月2日、アルピーヌ・ジャポンによる「アルピーヌ F1 チーム MEET THE DRIVER」が開催された。同イベントは2023年10月にオープンした「シティ・サーキット・東京ベイ」(東京都江東区)で開催され、アルピーヌ F1 チームのエステバン・オコン選手、リザーブドライバーのジャック・ドゥーハン選手によるトークショーのほか、カートやアルピーヌ「A110 R チュリニ」によるデモランが実施された。
2人のドライバーはド派手な黄色のアルピーヌ「A110 S」で会場入り。予定時刻より少々遅れていたため、到着後早々にジャック・ドゥーハン選手によるカートタイムアタックが実施された。レーシングスーツに着替えた同選手は、コースや電動カートのパフォーマンスを確かめるようにゆっくりとコースイン。慣熟走行では34秒台でラップを重ねていたが、シメの計測ラップでは32秒710をマーク。これは直前に行なわれたメディア関係者によるタイムアタックを上まわるもので、トップレベルのドライバーらしい貫禄を見せつける格好となった。走行後、「非常にいいサーキットだと思いました。すごくクールだと思います。ちょっとトリッキーでなかなか一筋縄ではいかないという感じなんですけれど、まだずっと走っていたいなと思いました。ぜひ、また走る機会があったらいいなと思いました」と語り、短い時間ながらも楽しんだ様子だった。
その後、屋内に場所を移しトークショーが行なわれた。
──F1日本グランプリが今年から4月開催に変わりました。年間でいろいろとコンディションを考えながらレースのプランニングを立てていると思うのですけれども、変わってしまって何か影響はありますか。
エステバン・オコン選手:これまでもっと秋の後ろの方でレースがあったわけなんですけれども、去年は非常に暑かったんですよね。ということで、レース全体を通じてタイヤを温存するのが非常に苦労したところがあったのですが、今年はもう少し涼しくなるかなと。週末に雨が降るかもしれないとも言われていて、ウェットのところで2022年に優勝していることもありますし、クルマもさらに変わって競争力を付けてきていると思うので頑張りたいと思います。
──コンディション的に日本の春はオコン選手にとってはよい?
オコン選手:そうですね。この季節にF1で東京に来るっていうのが初めてなので、ピンクと白のきれいなサクラの花がいっぱいあちこちで咲いていて「春に来るとこんなんだったんだ」と、本当に素晴らしい1週間を過ごさせていただいています。
──(先日F1が開催された)オーストラリアといえばドゥーハン選手のホームカントリーですけれども、そのオーストラリアのグランプリでは、(父親の)ミックさんとのデモンストレーションがかなり大きな話題にもなりました。一緒にこのサーキットで走ったというところ、いかがでしょうか。
ジャック・ドゥーハン選手:はい、本当に素晴らしい経験をしたと思います。子供のころに家の近所の小さなトラックで父とよくゴーカートで走っていて、それ以来ですね。(デモンストレーションを行なった)ベネトンのフォーミュラーカーはエンストンで開発されたものに乗ったわけなんですけれども、父とこの母国でこんな素晴らしいマシンに乗せてもらえて本当に素晴らしいと思います。
──(このときは)デモンストレーションだったので、すごくゆっくり安定して走ったと思うのですが、お父さんと競争してみたいと思いませんでしたか?
ドゥーハン選手:はい。ただ、父はバイクで私はクルマだったので、万が一クルマがバイクにぶつかったらマズいですし、ましてそれに乗っているのが父親ということで、とにかくしっかりいいデモンストレーションを見せようということを徹底して、安定したスピードを終始キープしました。私がほとんどのラップで前を走っていたのですが、あれだけチャンピオンを重ねた、勝利を重ねた人の前を走るというのは、ちょっと身が引き締まるような思いでした。一緒にしっかり最後までやり切ってうまくいったと思いますし、観客の方にも伝わったのかなと思っています。
──2人にプライベートなクルマのお話を聞いていきたいと思うのですが、普段A110に乗っていらっしゃるんですか? それともほかのクルマなのかそれぞれ答えていただきたいなと。
ドゥーハン選手:そうですね、(A110は)もう本当に素晴らしいクルマだと思います。非常に軽くて、機敏で、素晴らしいハンドリングだと思います。ただ、私は大体いわゆる公道で乗っていてサーキット走行をする機会がないので、いつかサーキットのようなたくさん飛ばせる環境で思いっきり乗ってみたいと思います。
オコン選手:本当にいろいろなA110のバージョンに乗らせていただいて、標準車からプレミアム、そして「A110 S エンストン」「A110 R チュリニ」のプロトタイプも乗らせてさせていただいて本当にラッキーだと思っています。(A110は)エンジンが1.8リッター4気筒ということで小さくても非常にパワーがあります。車重も最近は2tぐらいある重いクルマが多い中で、1000kgいわゆる1t程度なのでタイヤの減りもブレーキパッドの減りも、もう段違いに違ってくるんですよね。本当に素晴らしい。
──インタビューで以前ドリフトが好きと聞いているのですが、ドリフトが好きになったきっかけであったりとか、しかも筑波サーキットでドリフトをしてみたいという思いがあるそうで、それは本当ですか。なぜなのかお聞かせください。
オコン選手:実はゴーカートのサーキット以外で私がいわゆるレーシングコースを知ったのが、筑波サーキットだったのです。5歳のときです。“グランツーリスモ3”で友達と遊んでいて、友達と一緒に本当に楽しい時間を過ごしたということがあって。残念ながら本物の筑波には足を運ぶ機会がまだないんですけれども、いつかその筑波でドリフトをするという夢を叶えたいなと思っています。
──(ドゥーハン選手に)SNSでご自身のドリームカーとして日産「スカイラインGT-R(R34)」を挙げていらっしゃったかと思うのですけれども、なぜこれが好きなのか、好きなポイントとかを教えてください。
ドゥーハン選手:6~7歳ぐらいだったと思うのですが、映画「ワイルドスピード」を見て、本当にそのクルマに憧れてきました。GT-R(R34)にはいろんなバージョンがありますけれども、全部好きです。本当にラッキーなことに、昨晩実は乗る機会があって、ロサンゼルスでもオーストラリアでも乗る機会をいただきました。サスペンションもいいし、そしてカーボンのよさがあちこちに出ている“V SPEC”がやっぱりすごくいいなと思ってます。そしてエンジンがパワフルで、またチューナーがそのエンジンの可能性を最大限に引き出せる、そういう余白というか可能性がある。そういうところも好きだし、日本に来て、東京に来て、触れられてうれしいと思っています。
──ご自身のドライビングスタイルやレース中のアプローチについて、どこが強みだと考えていますか?
オコン選手:新しい世代のマシンということで、今はまだそのマシンに合ったスタイルを探しているという感じだと思います。自分のスタイルというよりは速いだけではなくてタイヤやブレーキ、そしてエネルギーシステムなどもきちんと気を配りながらというところだと思いますけれども、結局このマシンで1番速く走れるスタイルが1番いいスタイルということで、そういうものを今週末は見つけていきたいと思います。ただ、やっぱりリードされてますけど、その差はどんどん縮まっているし、とにかく縮めて、そして追いついて、というふうに思ってます。パーフェクトな週末にしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
──今週末、鈴鹿での日本グランプリがやってきますけれども、オコン選手、“俺のレースのここを見てくれ”っていうところはありますか。
オコン選手:“私が”というよりは全体ということだと思うのですが、ファーストセクターですよね。やっぱりF1マシンがポテンシャルの最大限のところを出してくれる、そういう部分だと思うので。と言いながら、私は2016年からずっと乗っているので外からマシンが走っているところを見たことはないんですが。ただ、やっぱり乗っている身からしても、非常にアドレナリンがドバドバと出てくる、そういうところだと思います。インラップからずっとペースを上げて、鈴鹿だと第1コーナー、第2コーナー、そしてその先の第3、第4コーナーぐらいですかね。その辺のところを注目していただくと、エキサイティングなんじゃないかなと思います。
トークショー後はエステバン・オコン選手がA110 R チュリニに乗ってカートコースへ。このマシンは2023年12月4日にフランスで発表され、「東京オートサロン2024」で日本国内にも公開されたモデル。フロントボンネットやルーフなどがカーボン製となるカーボンパック、A110 R専用エアロキット、ラディカルシャシーなどを装備しており、価格は1550万円。数周の慣熟走行やビデオ撮影の後、アタックラップへ。同モデルは最高出力221kw(300PS)/6300rpm、最大トルク340Nm(34.6kgm)/2400rpmのスペックを誇り、最高速284km/h、0-100km/hはわずか4.0秒のハイパフォーマンスマシン。ただ、4255×1800×1240mm(全長×全幅×全高)のマシンに対してカートコースの幅は見るからに狭く、どう見てもタイムは望めそうもない感じ。が、そこは世界トップレベルのテクニックを持つF1ドライバー、最終的に大きくタイムを更新する30秒768をマークした。
エステバン・オコン選手は走行後、「記録が出たかどうかっていうのはもちろん分からなかったのですが、すごくクイックに行けたな、と思いました。ゴーカートのトラックなので非常ナローなんですけれど、本当にタイトなコーナーがたくさんあって、でもA110 R チュリニは非常によくやってくれたなと思いました。ロードカーでこれまでの性能が出るってすごいと思いました。きっと、大きなレーシングコースで乗ったら、本当にすごくいいんじゃないかって。常にロックしているような状態でコーナーを曲がる感じだったのですが、もう最後はとにかく飛ばしました」とコメント。
その様子をコースサイドで見ていたジャック・ドゥーハン選手は「これで大黒サービスエリアに行きたいです(笑)。アルピーヌの人間としては、このA110が記録を破ったということでうれしいと思っています。私もエステバンも公道を走るロードカーで素晴らしいカートサーキットを走ることができて、本当にいい経験ができました。ありがとうございます」と感想を述べた。