ニュース

小野測器、横浜みなとみらいエリアの新社屋公開 新製品のローノイズマイクロホンもお披露目

2024年4月25日 開催

みなとみらいの新本社を報道陣に公開

 小野測器は4月25日、みなとみらいの新本社を報道陣に公開するとともに、新製品となるローノイズマイクロホン「MI-1282M10」を発表。同製品は2024年夏より販売を開始し、想定価格は70万円以下とアナウンスしている。

 同社はこれまで新横浜のオフィスに本社機能を持たせていたが、4月22日より横浜みなとみらいエリアの横浜コネクトスクエア(神奈川県横浜市西区みなとみらい)に移転。これに合わせ総務、財務、広報機能などがみなとみらいに移動したほか、新横浜の旧本社ビルにあったショールーム機能は横浜テクニカルセンター(神奈川県横浜市緑区白山)に移管している。

 新本社を作るにあたっては若手社員の意見を取り入れ、「笑顔」をテーマに多様な働き方への対応や、その日の気分・業務内容に合わせたワークスペースなど自由に選べる環境を整備。フロアを壁で仕切らず1つの部屋とすることで、社員同士のリアル交流・コミュニケーションの最大化を図っている。また、ボードルームと応接室のパーティションには、小野測器の計測技術が採用される高い吸音率と薄型化を両立したという吸音材「iwasemi RC-α」(ピクシーダストテクノロジーズ製)を施工しているのも特徴として挙げられている。

若手社員の意見を積極的に取り入れたという新社屋。フロアの色で仕事するエリア、休憩エリアを分けるとともに、見晴らしのよい作業スペース、作業を集中的に行なうスペース、テレカンブースなどを用意
こちらは役員会議などを行なう部屋。壁に貼られるのが吸音材「iwasemi RC-α」

 新社屋公開に合わせあいさつを行なった小野測器 代表取締役社長の大越祐史氏は、創業70年を迎えた今期から新たに策定した経営理念「未知を拓き、未来を創る」を主軸としてさまざまなことに挑戦していきたいと語るとともに、「当社が持続的な成長を続けていくためには人材確保、そして若い世代が働きやすい職場を作ることが急務だと考えております。新本社のフロアをデザインするにあたり若い世代の意見も取り入れ、従来のような部署ごとの島をなくし、壁で仕切らないことで部署の垣根を越えて、従業員同士のコミュニケーションが活発になることを狙っています」と紹介。

 また、「当社は創業以来、自動車産業をサポートし続けてまいりましたが、100年に一度の変革期を迎えている自動車産業の発展に今後も貢献するためには、従前どおりのアプローチではない挑戦や飛躍が必要だと考えています」と述べ、モータースポーツで現在活躍する若手レーシングドライバーのサポートを現在検討していると語るとともに、2023年に開始したEVのベンチマーキングレポート販売が好評を博しているとし、「計測していく過程で新たな製品の種というのが実際に生まれています。自ら計測を行なうとその限界に悩むこともあります。そういう思いが新たなチャレンジを生んだり新製品を生む力となっています。このようなビジネスを今後好循環で回していきたいと思います」と今後の抱負について語った。

株式会社小野測器 代表取締役社長の大越祐史氏

 今回の新社屋公開とともに、国内初の1/2インチバックエレクトレット型ローノイズマイクロホンロホン「MI-1282M10」の発表も行なった。

 より快適な音環境を目指して家電や自動車室内などの静音化が進む中で、微小音の測定ニーズは増加傾向にあるといい、新製品となるローノイズマイクロホンは静音化を目的とした開発、また静音化された製品の品質管理といった分野などで役立つもの。どのマイクロホンも自己雑音レベルと呼ばれるマイク自身のノイズがあるそうだが、このノイズが低いほど小さな音を測ることができる。ローノイズマイクロホンは通常の計測用マイクロホンと比べて自己雑音レベルが非常に小さな製品のため、今まで難しかった小さな音を測ることが可能という。

 自動車の分野でいうと、近年は電動化や車体の遮音性能の向上などで車内の静粛性が高まってきている。また、内燃機関を搭載しない自動車では、今までエンジンによってマスキングされていた自動車部品が発する小さな音が目立つようになり、乗車している人にとって気になる要素になっている。こうした小さな音を測定できるのが今回のローノイズマイクロホンとなる。

 具体的には自己雑音レベル(A特性)4.5dB(Typ.)を実現し、通常の計測用マイクロホンでは測定が難しいとされる10dB台の微小音測定を可能にした。また、正確な測定値を得るために必要不可欠な、MI-1282M10対応の音響校正器「SC-2600」(クラス1、公称音圧レベル:94dB、公称周波数:1kHz)を同時にリリースしている。

国内初の1/2インチバックエレクトレット型ローノイズマイクロホン「MI-1282M10」
「MI-1282M10」の説明を行なった株式会社小野測器 計測商品グループの円城寺彩香氏
ローノイズマイクロホンとは?
音の大きさについて。新製品は10dB台の微小音測定を可能にしている
MI-1282M10
従来品と新製品の自己雑音レベルについて