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スバル、「レヴォーグ レイバック」に搭載するアイサイトXやS耐参戦「BRZ CNF Concept」用CN燃料など最新技術を解説

2024年5月22日~24日 開催

入場無料(事前登録制)

スバルブースに展示されているレヴォーグ レイバック。最新のアイサイトX搭載車

 自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」が5月22日、神奈川県のパシフィコ横浜・展示ホールで開幕した。会期は5月24日まで。事前登録が必要だが入場は無料。

 出展しているスバルブースでは、「レヴォーグ レイバック」を中心に置き、車両に搭載するアイサイトXの安心安全機能を紹介する展示と、カーボンニュートラル燃料を使用する「BRZ CNF Concept(スーパー耐久参戦車両)」でのエンジンに関する展示およびBRZ CNF Conceptで使用しているリサイクルカーボンについての展示を行なっている。

 展示されているレヴォーグ レイバックに搭載されるアイサイトXは、現在のスバルが持っている最新のADAS技術のをすべて取り入れたもので、従来のステレオカメラに加えて広角の単眼カメラを追加。これは歩行者や自転車の巻き込み事故といったものに対応するためのもの。ちなみにアイサイトは2009年から実装されていて、現在ハードウエアは第4世代となる。

アイサイトXのシステム展示。アイサイトは2009年から実装されていて現在ハードウエアは第4世代となっている。なお、販売店にあるアイサイトのデモボードにはクルマの写真が貼ってあるが、あれを真っ白なボードにすると反応しない。その理由は、真っ白なボードのような輪郭がはっきりしないものまで障害物として検知する設定だと、ブレーキの誤作動が想定されるので、過剰な設定にはできないと言うことだった

 アイサイトには全車速追従式のクルーズコントロールやレーンチェンジアシストの機能もあるが、これらについての高性能の中には「上手い運転」が含まれている。例えば追尾式のクルーズコントロールでは、前車に追いつくとブレーキを掛けるが、そのときは当然ブレーキランプが点灯する。しかし、走行中に何度もブレーキを掛けて速度を落とす運転はあまり上手いとは言えないし、後続車に走りにくさを感じさせてしまうこともある。

 そこでアイサイトXは、ガクガクした走りにならないよう、人間が運転するような速度調整(アクセルやブレーキ操作)も可能とし、クルーズコントロールを使ったときの運転の質感はかなり高いものになっていると言う。

レーンチェンジアシストについてスバルの技術者は、「われわれが言うのもなんですが、相当上手いレーンチェンジをします」と表現。ラリードライバーの新井敏弘選手やレーシングドライバーの山内英輝選手からもレーンチェンジアシストはとくに高評価をもらっているとのこと

BRZ CNF Conceptで使用しているカーボンニュートラル燃料

 カーボンニュートラル燃料とは、製造時にCO2を原料とすることで「炭素循環(カーボンニュートラル)」を実現可能とする燃料のことで、従来のガソリンに置き換わる燃料として期待されているもの。

 スーパー耐久シリーズのST-Qクラスで戦うBRZ CNF Conceptで使用しているカーボンニュートラル燃料は、石油に由来する材料が含まれていないことに加え、オクタン価は市販のハイオクガソリン相当と言うレベルを実現している。ただし配合される素材により通常のガソリンに比べて揮発性が低下したものになっている。

 とはいえ、その差分は小さく、例えば点火時期をカーボンニュートラル燃料専用にセッティングするといった必要はなくて、ECU内データを大きく変えるようなことも不要。ECUがもともと持っている学習機能でカバーできる範囲だと言う。

 また、混合気の吹き抜けによるエンジンオイルの燃料希釈については、揮発性がよくないこともあり燃料希釈が起きやすい面もあるが、その点も大きな問題ではなく、エンジンオイルに含まれる添加剤の内容を変えることで対策できていると言う。

BRZ CNF Conceptに使われるカーボンニュートラル燃料の解説

 カーボンニュートラル燃料を現在のガソリンに変わる燃料として使えるようにすることで、ガソリンが使用できなくなったとしても、いま走っているクルマがそのまま乗れるだけに、技術の進化を大いに期待したいところだが、それとは別にカーボンニュートラル燃料のあわせたエンジンを新設計することで、現在のガソリンエンジンよりもハイパフォーマンスなエンジンを作れる可能性もあるそうだ。

 従来のエンジンが生き残れることも大事だが、新しい燃料にあわせたエンジンと言うのも見てみたい。スバルがBRZ CNF Conceptで取り組むカーボンニュートラル燃料開発には今後も注目である。

レースで使用したエンジンに組まれていたピストン、ピストンピン、コンロッド、クランクメタルなども展示されていたが、たしかに焼き付きや異常燃焼の痕は見られなかった

 最後に紹介するのは再生カーボンシートについて。航空機には高品質なプリプレグ(カーボンシート)が使われているが、その製造工程では端材が出る。そこでスバルはその端材から炭素繊維素材を固めている樹脂のみ焼き飛ばすことで、新品同様の炭素繊維素材を取りだしている。

 こうすることで炭素繊維素材を新たに作るよりも、製造時に使うエネルギーは約10分の1となるので、製造時に発生するCO2を大きく削減できると言う。

スーパー耐久レースの2023年度参戦車両のボンネットを展示再生カーボンシートを使用して作ったもので、アンダーカバーも同様とのこと
再生カーボンの利用を解説するパネル