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トヨタカスタマイジング&ディベロップメント、公正取引委員会の勧告について西脇社長が会見
2024年7月5日 20:42
- 2024年7月5日 発表
トヨタ カスタマイジング&ディベロップメントは7月5日、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の規定に違反する「不当な返品」と「金型等保管費用の未払い」の2件について、公正取引委員会から勧告を受けたことについて、同社代表取締役社長の西脇憲三氏が登壇する会見を開いた。
同件は、2023年5月に公正取引委員会からトヨタ カスタマイジング&ディベロップメントへ調査要請を受け、2023年7月から実地調査が開始。2024年4月に同社でも事実関係を確認、勧告にいたった。
「不当な返品」については、同社での品質検査および取引先への文書での品質検査の委託のいずれも実施しないまま、不具合品であることを理由に部品の返品を行なっていた、「金型等保管費用の未払い」については、同社が取引先に貸与している同社資産の金型等について、当該金型等を用いる製品の発注を⾧期間行なわないにも関わらず、取引先に無償で保管をさせていた行為があったことを認めた。
「不当な返品」の違反行為の対象となる取引先は65社で、対象取引先に対しては、返品分の下請代金相当額等である合計約5400万円をすでに支払ったとしている。
「金型等保管費用の未払い」の違反行為の対象となる取引先は49社(対象金型は664個)で、一部の対象金型等は廃棄の対応をすでに実施しており、また、対象取引先と補償のための協議もすでに開始。対象金型等の保管費用に相当する額については、公正取引委員会の確認を得た後、速やかに対象取引先に支払うとしている。
2つの事案について西脇氏は、「今日午前中に正式に勧告を受け、その結果を受け止め、あらためて会社としてやってはいけないことをやってしまったと、心から申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。この件を考えるにあたり、当社が間違いを犯してしまった一つの要因として、今やっている仕事に問題がない、今やってる仕事を疑う姿勢が会社の中に育まれていなかった。日々多くの仕事をこなさなければいけない、従業員の皆さんは、意図せずも前例踏襲するという仕事をせざるを得ず、自ら今の仕事を疑う、改善をするという余力がなかったのかもしれません。ここは、これから再発防止をしっかりお約束しましたし、私を含めて経営陣がしっかりと自立に向け、一度ゆっくり立ち止まり、多くのお支えいただいている取引先さまとのコミュニケーションを含め、会社の経営運営のあり方をしっかりと見直していきたいと思っています」との考えを述べた。
また、「今回勧告を受けた2事案のみならず、他に問題はないかという点を社内および取引さまとしっかり丁寧にコミュニケーションして総点検をしてまいります。あわせて社内の教育、われわれトップマネジメントの現場への寄り添い、ここをしっかりと努めてまいりたいと思っております」と述べた。
トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、「TRD」ブランドでモータースポーツ事業を展開するトヨタテクノクラフト株式会社、「MODELLISTA」ブランドで用品事業を展開する株式会社トヨタモデリスタインターナショナル、特装事業を展開する株式会社ジェータックスの3社が統合され、2018年に設立された。
質疑応答の中で、トヨタグループとして統一のルールはなかったのか?との質問について西脇氏は、「わが社は販売店向けのオプション、それから架装車両のように内外装部品を取り付けたり、そういう幅広い仕事をしておりまして、親会社のトヨタ自動車と同じような商品コードでやっているものに関しては、考え方は同じようになっております」と説明。
また、今回の事案にある取引先に金型を保管してもらうケースについて西脇氏は、「当社がその割合が多く、過去当社としてはですね、2018年に3つの会社を統合した会社になっておりまして、それぞれが違う仕事のやり方、帳票を用いながら仕事を進めておりました結果、その仕事を統一する過程で、1つのやり方に落とし込んでしまい、本来しっかりと法令順守する場合は、分けたやり方でそれぞれ正しくやらなければいけない」などと明かした。
今後の再発防止策については、西脇氏は「下請け法全般、それから取引先さまに関わるような法令に関しては、もちろんわれわれ自身が自発的にしっかりと責任を持って、再発防止を進める必要があると思っています。一方で、ガバナンスという観点では、親会社と一緒に必要に応じてサポートをいただきながら、われわれがしっかり実施できるように、という関係性でやっていこうと思います」との考えを示した。