ニュース

哀川翔さん率いるFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES、日本とタイのD1ドライバーがタッグを組み「アジアクロスカントリーラリー2024」参戦

2024年8月11日~17日(現地時間) 開催

アジアクロスカントリーラリー2024に参戦するFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESのランドクルーザープラド

 俳優 哀川翔さんが総監督を務めるFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESは、8月11日~17日(現地時間)にタイで開催される「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2024」に参戦する。

 ドライバーは2019年よりこのチームのドライバーを務めるD1ドライバーの川畑正人選手。コ・ドライバーは2024年からタイのD1ドライバーであるデイチャポン・トオイチャロン選手が務める。日本、タイ両国のD1ドライバーがタッグを組み、タイ南部のスラーターニーから、映画「戦場にかける橋」の舞台ともなったカンチャナブリーまでの約2100kmを走る。

FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES 哀川翔総監督
ドライバーを務めるのはドリフトの世界で数々の勝利を収めてきた川畑正人選手
2024年仕様のAXCR出場マシン。V6 4.0リッターガソリンモデル「ランドクルーザープラド」(2014年式)のタイヤはTOYO TIRE「オープンカントリーM/T」をチョイス

 FLEX SHOW AIKAWA RacingのAXCR初挑戦は2011年。哀川翔さん自身がステアリングを握っての挑戦だった。その後、タレントのヒロミさんが参戦するなど話題の多いチームで、その華やかさに加え2013年からは参戦マシンの製作から現地でのサービスを千葉県にある自動車整備の専門学校、中央自動車大学校(CTS)が担当していることがこのチームの大きな特徴として挙げられる。FLEX SHOW AIKAWA Racingの挑戦は、自動車整備士を目指す学生の育成プログラムとしても10年もの長きにわたり機能している。

 2024年の参戦マシンであるランドクルーザープラドも2014年大会から使用されているもので、ラリー終了後、先輩方の作り上げたマシンを後輩が配線1本1本まで完全にバラす。過酷なラリーで傷んだ部分を丁寧に検証し、必要箇所の修復をして、次の参戦に向けアップデートしながら組み上げる。日常の使用では考えられないような負荷がかかる競技車はまさに生きた教材そのものだ。

川畑選手の初出場は2019年。果敢に攻めるもトップには届かずクラス2位

 このタスキのように受け継がれたマシンは2024年の大会に向け、タイへの船積みを間近に控えた6月25日にオートランド千葉にてシェイクダウンが行なわれ、その模様は報道関係者にも公開された。学生たちが組み上げたマシンは川畑選手がステアリングを握り、助手席の哀川翔選手とともにコースに飛び出す。

 例年であればここから細かいセッティングを詰めて本戦に向かうが、今年はちょっと違う雰囲気。ピットインした川畑選手はなかなか厳しい表情を見せる。マシンの挙動にかなり不安を感じたようだ。現場でのセッティング変更の作業も繰り返したものの、いい方向へは向かわない。実は2019年大会の後、新型コロナウイルスのためFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESの活動はAXCRから国内のXCRスプリントカップへの活動に変更していたため、過酷な東南アジアを戦うマシンのノウハウというタスキがうまくつながらなかったのだ。加えて、軽量なピックアップトラックでの参戦が多いAXCRで重量級のプラドで戦うための軽量化、そして足まわりの大幅な改造。これら全ての要素のバランスをとり川畑選手が安心して踏めるマシンに仕上げる作業は学生たちには少々ハードルが高かったようだ。

報道関係者に公開されたテストでセッティング変更を行なう中央自動車大学校(CTS)の学生たち

 と言っても、FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESの今年の目標は2019年に届かなかったクラス優勝。ギリギリまでテストを繰り返し、おおむね方向性は決まる。結局、新たな仕様のスプリングを新規に製作することになる。このあたりはサポート企業やパーツメーカーのプロフェッショナルの出番。もちろん船便の出航には間に合わず、現地で再び組み上げることとなった。

 ラリーに帯同する学生の多くは海外が初めてだが、入国初日から旅行気分を味わう余裕は全くなさそうだ。これぞ本物の現場での生きた授業! というのは簡単だが、本当に大変そう。自動車整備資格の最高峰、一級整備士を目指すCTSの4年生21名(うちプラドを担当したのは10名)が組み上げたマシンは、現地に帯同する6名の学生に託される。国内で応援する同級生の想いも背負うのだ。

今大会でCTSが送り出すマシンは今回紹介するプラドのほか、ジムニーが1台。2台のラリーカーを21名の学生が製作し、うち6名の学生が先生とともに現地に帯同する

 近年、CTSのようにモータースポーツ活動を授業の一環として取り入れている専門学校は少なくない。また学生たちの主な就職先であるディーラーがレース活動を行なう機会も増えてきた。日常の使用では考えられないような高い負荷をクルマに強いるモータースポーツの世界では、想定外のトラブルを乗り越えなければならないことも少なくない。そんなメカニックとしてもハードな経験をした学生が自動車業界に飛び込んでくることは一般的な自動車ユーザーにとってもメリットは大きいかもしれない。2024年はチームの母体となるFLEXのメカニックもCTSの学生と連携をとってAXCRに臨むこととなっている。

 ちなみに、これまでこのCTSのラリー活動を経験した学生は卒業後、ディーラーなどでのメカニックをはじめさまざまな分野で活躍しているので、ディーラーはもちろんS耐や86/BRZのワンメイクレースなどでも見かける。

 AXCRのスタートは8月11日。メカニックの卵の戦いはもうすぐはじまる!