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日本精工、「低フリクションハブユニット軸受」を開発 フリクションを従来比で40%低減
2024年9月19日 07:00
- 2024年9月18日 発表
シール技術に着目し、新技術を開発
日本精工(NSK)は9月18日、軸受の低フリクションと耐泥水性を両立する新技術により、従来比40%の大幅なフリクション低減を実現し、自動車の航続距離延長に貢献する「低フリクションハブユニット軸受」を開発したと発表した。
ハブユニット軸受は、タイヤのホイール部分に取り付けられ、走行中に泥水をかぶるなど過酷な環境下にさらされるため、高い耐泥水性が求められるパーツ。また近年、脱炭素や燃料コスト高騰などの社会的背景から、低フリクション化のニーズが高まっているという。
そこでNSKは2020年に新しいグリースを開発し、フリクションを低減した「電動車向け低フリクションハブユニット軸受」を発表。今回はシール技術に着目し、従来品に対して耐泥水性を維持しつつ、さらなる低フリクションと耐泥水性を両立する3つのシール新技術の開発に成功した。
NSKは今回開発した「低フリクションハブユニット軸受」で、電動車向けを中心にグローバルで2026年に200億円の売り上げを目指すとしている。
新技術「シール形状の開発」
NSKのトライボロジーと解析技術を活用し、適切なシール形状を作り出すことで、耐泥水性を維持しつつフリクション低減を実現。開発品のシールは、低フリクションと耐泥水性の両立においてトップクラスの性能を誇るという。
新技術「シールグリースの開発」
NSKのトライボロジーを活用し、シールグリースの基油(グリースの主成分で潤滑の役割を担う)の粘度を下げることで、フリクション低減を実現。開発品のシールは、グリースの油膜を形成する補強剤として、世界で初めてポリマーをシールグリースに採用している。
そのほかにも、リップ数を3枚から1枚に削減することでフリクションを低減させるとともに、リップの先端を折り曲げることで、リップとスリンガーの接触幅を低減。NSKの解析技術によって、排水性が高いU字スリンガーを新たに開発した。