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ミシュラン、「プライマシー5」発表会 耐摩耗性30%、ウェットブレーキ性能2.4%、転がり抵抗7%向上
2025年2月1日 00:00
- 2025年3月1日 順次発売
- オープンプライス
日本ミシュランタイヤは、新たなプレミアムコンフォートタイヤ「PRIMACY 5(プライマシー ファイブ)」の発売に先駆け、都内で商品発表会を実施した。設定サイズは16インチ~20インチの全42サイズ。価格はオープンプライスで、3月1日から順次発売となる。
日本ミシュランタイヤ代表取締役社長の須藤元氏は、「ドライバーが求める要求、安全性を高めるより高度な装備、気候変動への対応など、自動車産業では大きな変化が起きています。タイヤ市場も同様に自動車の重量増加や環境への影響の低減など、大きな変化が求められています」とトレンドを説明。
そこでミシュランでは、タイヤのLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)により環境への負荷低減を目指し、例えば原材料を採るときに森林破壊をしていないか、タイヤが摩耗したときの粉塵がどのような影響を及ぼしているのかなど、全16の項目を包括的に確認しながら、環境への負荷を評価しているという。
タイヤのLCAは、「設計&原材料」「製造」「物流」「使用」「廃棄物や資源の収集と価値化」と大きく5つに分別でき、実は環境負荷の80%はクルマを運転しているとき、つまり“使用”で発生していて、「この傾向はバッテリEV(電気自動車)でも同様という研究結果も最近でてきた」と須藤社長。
続けて、「CO2や粉塵を削減しつつ、寿命をより長く、安心して使えるタイヤは、バッテリEVだけでなくすべての車両に該当するため、タイヤはあらゆる種類の車両に対応するようにデザイン・設計される必要があるとミシュランは考えています」と言及。
そして最後に新製品となるプレミアムコンフォートタイヤ「プライマシー5」のアンベールを行なった。
プレミアムコンフォートタイヤ「プライマシー5」の特徴
続いて日本ミシュランタイヤ B2Cマーケティング部 ブランド戦略マネージャーの神取孝司氏が登壇。
神取氏によるとミシュランタイヤのラインアップは、走りを楽しむ「パイロットスポーツ」、くつろぎを味わう「プライマシー」、安心感が増す「エナジー」、天候を問わず走れる「クロスクライメイト」と大きく4つのシリーズがあり、新製品のプライマシー5は「濡れた路面での安心感が長く続く、環境にも配慮したプレミアムコンフォートタイヤとなり、ターゲットユーザーは、自分が責任感のある人だと思わせてくれる。そんな信頼のおける製品を求める人」と説明。
これまでのセダン向け「プライマシー4+」と、SUV向け「プライマシーSUV+」を統合したことについて神取氏は、「SUVオーナーのニーズはプライマシーシリーズがターゲットとしているユーザーニーズに近いこと、サイズごとにSUVの高い荷重に必要な設計が可能なこと、加えて製品ラインアップを絞ることでユーザーに商品選択のしやすさを提供できると同時に、販売店の在庫効率向上が図れるという、3つの観点から判断している」と説明。そのため、「プライマシー5は、コンパクトカー、セダン、ミニバン、SUVと幅広い車種に対応できる」と言及した。
続けてプライマシー5の性能については、「JATMAのウェットラベリング『a』を獲得しているほか、耐摩耗性はプライマシー4+と比較して約30%向上、摩耗した状態でのウェットブレーキング性能も約2.4%向上するなど、安心感が長く続きます」とアピール。また静粛性はプライマシー4+と同等と快適な乗り心地は継続して確保しつつ、転がり抵抗は約7%向上し、ラベリング『AA』の取得サイズも増加している。
採用技術に関して神取氏は、「濡れた路面でのグリップ性能と転がり抵抗、耐摩耗性をプライマシー4+やプライマシーSUV+よりも、さらに高い次元でバランスさせることに成功したのが、新世代合成ゴムのファンクショナルエラストマー 3.0で、プライマシー5の鍵となっている技術です」と解説。
最後に研究開発本部のシニアインダストリアルデザイナーである清井友広氏が、タイヤのサイドウォールに深みのある上質な黒さとベルベットのような高級感のある手触りを実現した「プレミアムタッチ」について解説。プライマシー4+やプライマシーSUV+よりも広範囲にプレミアムタッチを採用したことで、より高品質な見た目のサイドウォールへと進化しているとした。
モータージャーナリスト今井優杏氏を招いてトークショーを実施
発表会の後はモータージャーナリストの今井優杏氏をゲストに招き、日本ミシュランタイヤ マーケティング部の梶恵子氏と、タイヤ評価エキスパートドライバーの野本修氏を交えてトークショーを実施。
プライマシーシリーズの歴史を振り返りつつ、梶氏は「ミシュランはまだまだフランスのメーカーだから欧州の新車に多く装着されていると思われがちですが、実はプライマシーシリーズからクラウンなど国産車での新車装着も増え始めているんですよ」と紹介。
その理由を今井氏に聞かれると、「乗り心地やハンドリングはすでに評価されていましたが、日本のユーザーはとても静粛性、NVH(Noise・騒音/Vibration・振動/Harshness・衝撃)を気にするんですね。ミシュランは当時からトータルパフォーマンス重視で、静粛性だけを伸ばすような製品開発をしていなかったんです」と回答。そのため、静粛性もパフォーマンスのターゲットに加えた製品としてプライマシーシリーズの開発が始まったという。
野本氏によると「プライマシーの開発初期に携わっており、2000年代後半に群馬の太田にある開発設備にノイズを研究する最新設備を導入し、クラウンに新車装着されることを目標に開発を始めた結果、プライマシーLCがクラウンに装着されました。ある意味プライマシーのNVH性能は、日本の自動車メーカーに育ててもらったとも言えますね」と当時を振り返った。
続けて今井さんは、低燃費が特徴のeプライマシーや、ウェット性能が特徴のプライマシー4+に乗った感想を、「柔らかさと、転がり感とグリップのレベルがものすごく高い。どのタイヤを選んでもミシュランらしい味がある。さらにウェットにも強いし、コンフォートも兼ね備えている」とコメント。その剛性と柔らかさを両立させている秘密について野本氏は、「すべては話せませんが、タイヤ内部の剛性のバランス取りが肝になっています」と説明した。
また新製品のプライマシー5について今井さんは、「少しパイロットスポーツシリーズに寄ったかなと思うくらい、とてもしゃっきりとしたハンドリングに感じました。ハンドルの入力に対して、スッと素直に動いてくれる。でも凸凹道でも優しく伝えてくれる。レーンチェンジでも、スパーンとハンドルを切っても自然に戻るのでビックリでした。静粛性についても、競合製品もいろいろ試してみたのですが、本当に静かで驚きました」と感想を述べていた。