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ホンダ、建て替え前の「ホンダ青山ビル」内部を公開

2025年2月5日 開催

建築史家/大阪公立大学教授の倉方俊輔氏とともに「ホンダ青山ビル」を巡る建築ツアーを開催

 本田技研工業は2月5日、建築史家で大阪公立大学教授の倉方俊輔氏とともに「ホンダ青山ビル」を巡る建築ツアーを報道関係者向けに開催し、建て替え前のホンダ青山ビル内部を公開した。

 初代本社ビル「八重洲ビル」に続いて、1985年に2代目の自社ビル本社として東京 南青山に建設された「ホンダ青山ビル」は建て替えることが決定。同ビル1階にあるHondaウエルカムプラザ青山は2025年3月31日で休館し、ホンダ青山ビル内での業務は2025年5月で終了となる。

 建築ツアーでは、建築史家の倉方氏から、創業者の本田宗一郎氏の想いが込められたホンダ青山ビルについて解説。建物の設計思想としては、ホンダのクルマづくりにおける基本思想「M・M思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum)」と共通して、人のいるオフィススペースを最大化すべくエレベーターや階段を集約して配置していることが紹介された。

35tのタンクを2つ並べ、70tの水を貯蔵する「ヒバの大樽」
地下3階のヒバの大樽に貯蔵された水は「宗一郎の水」としてホンダウエルカムプラザ青山で提供される
災害時に必要なものを備蓄する防災備蓄庫

 また、「宗一郎の水」として70tの水を貯蔵する地下3階のヒバの大樽や災害備蓄庫、ビルの外観にはバルコニーを設置してガラスが飛散しないようにといった、災害時や万が一の時を想定したホンダの安全思想を反映したことなど、建築を通してビルに込められたホンダフィロソフィーが紹介された。

最上階の16階に設えた「応接室」

 また、最上階16階の応接室も公開された。権威主義的なものを排する本田宗一郎氏の意向を反映してか、応接室の内装についても質素をよしとする設えで仕上げられていた。そのほかにも、初代本社ビルの八重洲ビルから移転する際の立地に関しても、原宿や渋谷、若者文化に近い場所が選定の理由にあったことなどが紹介された。

大会議室に掛けられた額縁、何も書いていないように見えるが実は美術作品

 今後、ホンダ青山ビルの移転・建て替えスケジュールは、移転先での業務開始は2025年春、解体、新築工事は2025年度~2030年度、新たなビルでの業務開始は2030年度を予定している。

 なお、ホンダでは一般向けに“Honda 青山本社ビル 建築ツアー”を2025年2月23日に開催。事前応募制となり、2月9日23時59分までの応募期間の応募者の中から抽選で計75名が招待される。

 また、ホンダウエルカムプラザ青山では閉館までの3月31日まで、ホンダ青山本社ビル クロージングイベントを開催。建築された1985年から現在までに話題となった製品やイベントなどのホンダウエルカムプラザ青山でゆかりのある展示を計画している。

1990年の初代「NSX」
2000年の初代「ASIMO」と2002年の「FCX」
1989年 NSR500の展示は2月6日まで
最新のホンダ製品も展示されている
道路からオフセットされビル前に広いスペースを確保
災害時には炊き出しなどに使えるようスペースが確保された