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BMW、日本オリジナルの「X7錦ラウンジ」期間限定展示中 コンセプトモデルの製品化の可能性は?
2025年2月17日 09:15
- 2025年2月10日~3月上旬 展示
ビー・エム・ダブリューは麻布台ヒルズのブランドストア「FREUDE by BMW(フロイデ・バイ・ビーエムダブリュー)」において、日本オリジナルのコンセプトモデル「X7 錦ラウンジ」の展示を3月上旬まで行なっている。
BMWでは「BMWと日本の名匠プロジェクト」と題した特別限定車の開発を2020年より開始しており、第1弾としてインテリアトリムに漆芸家 岡田柴峰氏による漆塗り蒔絵螺鈿細工の専用インテリアトリムなどを装備した「8シリーズ グラン クーペ京都エディション」(2020年8月発売の3台限定モデル)、第2弾として日本を代表する鍛金家にして重要無形文化財保持者(人間国宝)である奥山峰石氏が銀板への加飾(センターコンソール、ドアトリム)を施した「7シリーズ ピュア・メタル・エディション」(2021年1月発売の2台限定モデル)、第3弾として西陣技術の最高峰である「五色重ね」や「引箔技法」などを室内に取り入れた「X7西陣エディション」(2021年9月発売の3台限定モデル)が用意された。
「X7 錦ラウンジ」では「X7西陣エディション」から時間がうつろい、夜のとばりが下りた世界を表現。「X7西陣エディション」が金を基調としたはでやかなものだったのに対し、「X7 錦ラウンジ」は青や紫、赤を用い、京都伝統工芸の技によって星空の広がりを芸術的に表現したものになっている。
ちなみに社名に“錦”が使われるのは、“錦”が色とりどりの糸で織られた絹織物だけでなく、自然の彩りや「心の錦」「錦心」といった心の美しさを表す単語であり、なおかつ“錦”の語源は「二色」であることから「夜のとばりがおりて輝く星」と「二つの美しい色できらめく世界」がコンセプトモデルの持つラウンジ空間のイメージと合致することに由来しているという。
その「X7 錦ラウンジ」の室内空間は、1936年にちりめん製造販売業を開始したkuska fabric、京都・西陣で箔屋としての歴史を重ねてきた村田商店の直営工房・意匠部として平成元年に創業し、西陣織の特徴の1つである引箔の製造を行なっている楽芸工房、1843年に京都で創業した織物メーカーである川島織物セルコンの3社が協力して作り上げた。
センターコンソールはkuska fabricと楽芸工房が担当し、宇宙空間の果てしない広がりを丹後織と箔装飾で表現。「星がきらめくやすらぎの空間」をコンセプトに、機械を使用しないで手織りのジャガード織りにこだわるとともに、4mm、3mm、2mmとレザーの太さを変えることによって平面的ではなく繊細で立体的な仕上がりとし、その上に施された箔装飾によって星がきらめく世界観を表現。
トリム、シフトスイッチ、iDriveコントローラーまわりは楽芸工房が仕上げ、広大な宇宙空間と煌めく星々を箔泊装飾で表現。漆を接着剤として利用する技術を用い、漆を使う量を繊細に操ることで貼り付ける箔の輝き、色味を変化させ、繊細な輝きを演出したという。
また、川島織物セルコンが仕上げたフロアマットについては、優しく包み込み、光り輝く安らぎの夜空を1本の糸を部分的に染め分ける染色方法である絣染めを用いて表現。デザインテーマは宇宙で、星の煌めきを表現するためにシルバー系の糸ではなくあえて扱いが難しいとされる絣(かすり)を用いた。また、宇宙を表現するため絣糸、紫、紺、黒の4色の中から選んだ5本を撚り合わせた7種類の撚糸を使用している。
一方、エクステリアについてはX7で設定のない2トーンカラーを用いて特別感を演出。BMWブルーの中でももっとも柔らかな色調となるBMW Individualカラーのベルベット・ブルーをメインカラーとし、ボディ上半身は宇宙に輝く星雲の煌めきを表現するBMW Individualカラーのスペース・シルバーを採用した。ベルベット・ブルーとスペース・シルバーの境はストライプにするというこだわりを見せている。この塗装(および内装のカスタマイズ)はドイツ本国の工場で行なわれるのではなく日本の整備点検工場で実施したといい、販売しない車両を日本法人独自のデザインで塗装したというのは過去に例を見ない取り組みだという。
すでにお気付きの方もいるだろうが、「BMWと日本の名匠プロジェクト」第1弾~第3弾まではプロダクトモデルだったが、今回の「X7 錦ラウンジ」はコンセプトモデルという位置付け。しかしその仕上がりは精巧で、今後BMWではオプションで設定するのではないかと想像する。そもそもこの一連の取り組みは日本の伝統的な技法を後世に残していくという意義深いもので、そのためには製品としてリリースしないと残していくことはできない。いつ、どのような形でリリースされるかは不明だが、今後の製品化に期待したいところ。
なお、FREUDE by BMWでは「X7 錦ラウンジ」の製作に協力した楽芸工房、kuska fabricのワークショップを開催し、箔や織物の装飾体験ができる。詳細および申し込みについては公式サイトをご確認いただきたい。
楽芸工房ワークショップ
日時:2月23日(日)
内容:箔装飾体験
会場:「FREUDE by BMW」2階アトリエ
定員:8名(13時~14時30分:4名、16時~17時30分:4名)
kuska fabricワークショップ
日時:3月1日(土)、2日(日)
内容:ネクタイやアクセサリーへの織物の装飾体験
会場:「FREUDE by BMW」2階アトリエ
定員:16名(11時30分~12時30分:2名、13時30分~14時30分:2名、15時30分~16時30分:2名、17時30分~18時30分:2名)