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BMW、西陣の色彩芸術を取り入れた限定3台の「X7 西陣エディション」発表会
2021年9月22日 12:00
- 2021年9月21日 開催
- 1680万円
ビー・エム・ダブリューは、「BMWと日本の名匠プロジェクト」と題した特別限定車の開発を2020年より開始している。第1弾は2020年8月に発表された「8シリーズ グラン クーペ京都エディション」で、第2弾は同年12月に発売された「7シリーズ ピュア・メタル・エディション」である。
そして今回、スポーツ・アクティビティ・ビーグル(SUV)の最上級ラグジュアリーモデルである「X7 Drive40d Pure Excellence」をベースにした「X7 西陣エディション」が発売されることとなり、その発表会が東京 青山にあるBMW 青山スクエアで9月21日に開催された。
X7 西陣エディションは日本が世界に誇る西陣の色彩芸術をインテリアトリム、フロントセンターアームレストに採用しているのが特徴で、販売台数は3台。価格は1680万円で、9月22日よりインターネット上のみで販売の受け付けが行なわれる。
X7 西陣エディションの発表会は、東京都渋谷区青山にあるBMW 青山スクエアにて行なわれた。X7 西陣エディションの実車展示のほか、ビー・エム・ダブリュー担当者および今回のコラボレーション先である京都・西陣織の箔屋「楽芸工房」、老舗西陣織メーカー「加納幸」からも代表者が出席した。
発表会で最初に登壇したのはビー・エム・ダブリュー BMWブランド・マネジメント・ディビジョン本部長の遠藤克之輔氏。
遠藤氏からはまず、BMWにおけるプレミアムセグメントに対しての考えが語られた。それによると、プレミアムセグメントのモデルはコロナ禍の時代においても前年比約20%の成長が見られ、SUVの最上級モデルであるX7も同様の販売となっているとのこと。
こうしたクルマを選ぶユーザーに対して近年、BMWはユーザーが感じる満足度をより高めることに務めていて、その1つが「限定モデル」の発売であり、2021年もプレミアムセグメンでいくつかの限定車を発売したがどれも短期間で完売したそうだ。
そして「日本の名匠プロジェクト」の取り組みもその流れに沿うものであるが、単なる限定車というだけでなく、オーナーにこれまでにない価値感や満足度を提供するため、BMWがおよそ105年に渡って続けてきたものづくりへのこだわりとその技術が盛り込まれた先進モデルに、長い年月をかけて築き上げて来た日本の伝統的な技術や文化を融合させているのが特徴であるという。
初弾は8シリーズ グラン クーペをベースにした京都エディション、第2弾は7シリーズをベースにしたピュア・メタル・エディションが続き、そして今回発売されたのがX7をベースにした西陣エディション(西陣、西陣織は西陣織工業組合の登録商標)である。
続いて登壇したのはBMWブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マネージャーの御舘康成氏で、こちらからはX7 西陣エディションの商品概要を紹介された。
まず「日本の名匠プロジェクト」の解説だ。第1弾は2020年9月に発売された8シリーズ グラン クーペ京都エディション。これはBMWインディビデュアルのアズライトブラックを外装色としているが、この色は日本の古典的な絵画にも用いられているものということだ。そして内装では、インテリアトリムに漆芸家 岡田柴峰氏による漆塗り蒔絵螺鈿細工の専用インテリアトリムなどを装備した。
続く第2弾は「750Li xDrive PURE METAL EDITION」。こちらは日本を代表する鍛金家にして重要無形文化財保持者(人間国宝)である奥山峰石氏による銀板への加飾(センターコンソール、ドアトリム)が施されているものだった。また、外板色はBMWインディビデュアルだけに設定されている「ピュア・メタル・シルバー」が採用された。
そしてX7 西陣エディションだ。このモデルに使われる西陣織では金銀箔、顔料といった異なる素材を巧みに重ねることで立体感と奥行きを出していて、それをさらに織り込むことで見る角度や光の当たり方ごとに美しく表情を変える織物技術が採用されている。
こうした西陣織の特徴は大型のスカイルーフを持ち、外光をふんだんに取り込めるX7のインテリアとの相性がいいと考えた御舘氏は、西陣工芸者とのコラボレーションを企画したのだった。
製作にあたり御舘氏が掲げたコンセプトは「光のうつろい」というもの。ラグジュアリーなクルマの室内というと外の世界からは切り離すような閉鎖的な空間をイメージする人もいるだろうが、X7はそうではなく、昼の自然光、夜にはパノラマルーフに仕込まれる1万5000個の青白い電飾からの光、さらにダイヤモンドサウンドシステムのスピーカーに組み込まれた同様のLEDからの光など、それぞれの時間ごとに異なる光がさすという明るく開放的で個性的なラグジュアリーを提案するモデル。そんな室内に表情豊かな西陣のアイテムが追加することで、このクルマならではの優美な雰囲気が味わえるようになるということだ。
発表会の終盤では、このモデルの核となる西陣の技術を提供した技士が登壇した。まずはフロントセンターアームレストを手掛けた加納幸から代表取締役 加納大督氏とテキスタイルプロジェクトマネージャーの赤路博之氏が紹介された。
マイクを取った加納氏は、西陣織の解説に加えて「世界でも類をみない正確で精巧な織物である西陣織ですが、それを世界に向けてアピールすることは長らく行なってきませんでしたが、私たち加納幸は数年前よりその部分に力を入れてきました。そして今回、X7 西陣エディションでのコラボレーションが実現したことはとても嬉しいことです」と、今回の取り組みについての感想を語った
続いて紹介されたのは、インテリアトリムの制作を手掛けた楽芸工房 経済産業大臣指定 伝統的工芸品 西陣織 製糸部門 伝統工芸士の村田紘平氏だ。
村田氏によると西陣織りは工程が多く、帯で言うと20工程ほどあるという。村田氏はそのなかで金箔や銀箔などを用いた材料(糸)を作る工程を担当しているとのこと。そして、ご自身のことを「箔屋」と呼ぶ村田氏からは「ボクら箔屋は光の捉え方を重要視していますが、その部分は今回のプロジェクトで共通性を感じました。光によって表情が変わるのが箔の最大の魅力と思っていますが、今回使用した箔は焼き箔という落ち着いた発色をする独特な箔です。これは時間が経過する度に渋みが増していくところも魅力で、オーナーになる方が自分のライフスタイルに合わせてじっくり時間を掛けて自分の色に作り上げていただきたいという思いで使ったものです」と、作り手のこだわりが語られた。