ニュース

ダイハツ、インドネシアで新車両工場が稼働開始

2025年2月27日 発表
カラワン工場第2ライン

 ダイハツ工業は2月27日、インドネシア現地法人アストラ・ダイハツ・モーター(以下、ADM)が、カラワン車両工場 第2ラインの本格稼働を開始したと発表した。生産車種はダイハツブランドの「アイラ」/トヨタブランドの「アギア」「ウィーゴ」(2025年2月時点)で、2月27日に開所式が行なわれた。

 2013年に稼働を開始したカラワン車両工場は、トヨタグループの車両生産拠点として、これまでインドネシアをはじめ、世界各国のユーザーに累計約230万台の車両を生産。今回のリニューアルによって、カラワン車両工場は年間36万台規模の生産能力を有する、ダイハツグループの海外拠点として最大規模の車両生産工場となる。

 これまで、ダイハツでは稼働開始から27年経過したADMスンター車両工場 第1ラインの老朽化、および今後のカーボンニュートラルへの対応を見据え、カラワン車両工場 第2ラインへのリニューアルを2023年2月より行なってきた。

 新車両工場のコンセプトは、ダイハツのモノづくりの考え方である「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」をさらに進化させた「E-SSC」(“E”はEvolutionの略)。2022年にリファインした京都(大山崎)工場で採用した革新技術を中心に、環境面や生産効率面で最新の生産技術をボデー・塗装・組立の各工程で導入することで、競争力を高めるとともに、工場建屋屋根への太陽光パネル設置なども含め、年間約30%のCO2排出量を削減する。

 新工場の主な特長としては、これまでダイハツが進めてきた現地雇用、現地人材育成の成果ともいえる、ADM現地生産技術スタッフ主体による新工場立上げとなり、ダイハツ生産技術スタッフの支援は、カラワン車両工場 第1ライン建設時から60%減。

 建屋屋根へ3000kW分の太陽光パネル約5100枚の敷設、および各工程での新技術導入等により、スンター車両工場 第1ラインにおけるCO排出量比30%%削減を見込むとともに、将来的な電動車生産を見据えた新設備を導入。また、従業員とトラックを含む車両との動線を分離することにより、安全を担保しつつ部品物流を軸とした効率的な工場レイアウトとした。

 ダイハツは、今回培ったノウハウや技術を国内外の工場へさらに展開し、ダイハツグループの競争力強化と生産カーボンニュートラルへの取組みを加速させるとともに、インドネシアをはじめとした各地域のユーザーの生活に寄り添った良品廉価なクルマづくりを磨き上げることで、各地域の自動車産業の発展、および人材育成に貢献していくとしている。

カラワン工場第2ライン
カラワン工場全体
ボデー(溶接)工程は、スポット溶接用ロボットの導入数を増やすことで、自動化率を向上させ、品質向上と省人を両立。さらに、ロボットの集約配置や高速化、一台で複数の溶接が可能な最新のロボットを導入することで、ダイハツの工場において最小の工程数を実現
塗装工程は、京都(大山崎)工場で採用した環境、効率化技術を全面的に展開。段ボールフィルターを用いたドライブース化や、静電誘導を用いた塗着効率の高いマシンの採用などを実施。また、熱源工程を3階フロアに集約することで、効率的な熱マネジメントを実現
組立ラインの周囲4方向から部品を供給できるレイアウトを実現し、部品物流の効率化を実施。物流トラックの動線を確保するとともに、部品置き場とラインの近接化により、運搬距離を短縮。人間工学に基づいた「人にやさしい」作業工程を実現。京都(大山崎)工場と同様、重量のある大型部品は車両を停止状態で搭載する方法を採用することで、作業者の負荷軽減と品質向上を両立。部品受入れスペースの外壁を一部取り払う「ウォールレス」レイアウトにより、自然換気を行う ことで工場内の空気循環を改善。空調設備の利用率を低減することで、CO2排出量削減にも寄与。将来的な電動車生産を見据え、バッテリーなどの重量部品にも対応可能な搬送装置を導入する
新工場(カラワン車両工場第2ライン)概要
アストラ・ダイハツ・モーターの概要