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エネオス、西日本JRバス、日野が「万博シャトルバス」公開 水素と二酸化炭素から製造した合成燃料を営業車両に国内初採用

2025年3月27日 開催
水素と二酸化炭素から製造した合成燃料を使用する「万博シャトルバス」

 ENEOS、西日本JRバス、日野自動車は3月27日、水素と二酸化炭素から製造した合成燃料を使用する「万博シャトルバス」を公開した。大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)が開催される2025年4月13日~10月13日の期間、大阪駅〜大阪・関西万博会場で運行される。

 合成燃料を使用した「万博シャトルバス」は、大阪駅〜大阪・関西万博会場を1日10便運行され、水素と二酸化炭素から一貫製造した合成燃料を営業車両の運行に使用することは、国内初としている。

 ENEOS、西日本JRバス、日野自動車の3社の役割としては、ENEOSは、2024年9月にENEOSの中央技術研究所内に完成した実証プラントで製造した合成燃料を万博シャトルバスに提供。西日本JRバスは、大阪駅(うめきたグリーンプレイスバス駐車場)から大阪・関西万博会場まで直通の万博シャトルバスを運行。日野自動車は万博シャトルバス運行に向けて、合成燃料と車両やエンジンの適合性を確認し、運行をサポートする。

 万博シャトルバスの運行を実現することで、大阪・関西万博来場者に、合成燃料が普及する未来を感じてもらい、大阪・関西万博が掲げる「EXPO2025 グリーンビジョン」の達成に貢献することを目指すという。

合成燃料を使用した万博シャトルバスお披露目式を開催

ENEOSのイメージキャラクター「エネゴリくん」、西日本JRバスの「にしばくん。」と一緒にフォトセッション

 同日、ENEOS代表取締役社長 山口敦治氏、西日本ジェイアールバス代表取締役社長 北野眞氏、日野自動車CTO 脇村誠氏らが出席する「合成燃料を使用した万博シャトルバスお披露目式」が開催され、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 燃料供給基盤整備課 課長 永井岳彦氏、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事 飯村亜紀子氏らも来賓として出席した。

ENEOS株式会社 代表取締役社長 山口敦治氏

 ENEOSの山口社長は「大阪関西万博ではEXPO2025グリーンビジョンが掲げられており、カーボニュートラルの実現を目指した様々な取り組みが推進されています。私どもENEOSグループにおいても、再生可能エネルギー、水素、バイオ燃料、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2を分離・回収し、地中などに貯留する技術)などを活用しながら、2050年のカーボンニュートラル社会の実現を目指しております」。

「このような中、大阪関西万博のビジョンに共鳴し、ENEOSの合成燃料を用いた万博シャトルバスの運行を、西日本JRバスさま、日野自動車さまとともに実現する運びとなりました。合成燃料は、水素と二酸化炭素を原料とした地球に優しい未来の燃料です。今回シャトルバスに用いる合成燃料は、国のご支援をいただきながら、昨年9月に横浜の弊社中央技術研究所に完成した実証プラントで製造したものです。国内初の日本で製造された合成燃料で走行する万博シャトルバスにぜひご乗車いただき、合成燃料が普及する未来をいち早く体感いただけましたら幸いです」。

 続けて「カーボンニュートラル社会は、一企業の力だけでは実現できません。私どもENEOSグループは、今回の万博シャトルバスの運行のように、国や企業の皆さまと手を携えながら、次世代エネルギーの取り組みを進めてまいります」と話した。

ENEOS株式会社 執行理事 中央技術研究所長 佐藤康司氏

 ENEOS 執行理事 中央技術研究所長 佐藤康司氏からは、合成燃料について説明があり、合成燃料は、水素とCO2の合成反応により製造される液体燃料で、ガソリン、ジェット燃料、軽油、重油といった多種多様な成分に調整できるという。また、サービスステーションや輸送用のローリーといった、既存のインフラを生かせ、車両も既存のバス車両を改造することなく、そのまま活用できるといったメリットも持つ。さらに、化石燃料と異なる水素とCO2といったピュアな原料から製造されるので、従来の化石燃料に含まれている硫黄化合物、窒素化合物、重金属といったものが含まれない環境に優しい燃料であることが強調された。

合成燃料についての説明
ENEOSによる合成燃料製造実証プラント
大阪・関西万博でのシャトルバス走行は、水素と二酸化炭素から一貫製造した合成燃料を営業車両の運行に使用することは国内初という
化石燃料と合成燃料のサンプル
経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部 燃料供給基盤整備課 課長 永井岳彦氏
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事 飯村亜紀子氏
日野自動車株式会社 CTO 脇村誠氏
2025年日本国際博覧会協会 持続可能性局長 永見靖氏

 2025年日本国際博覧会協会 持続可能性局長 永見靖氏からは「大阪、関西万博の開幕まであと17日となりました。これまで大変多くの方々にご支援、ご協力賜りましたことを改めて御礼申し上げます。私どもは、“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマとしつつ、持続可能な万博運営の実現を目指し、先進的な技術やシステムを取り入れ、カーボンニュートラルが達成された社会を来場者に体験いただきたいと思っております」。

「今回、シャトルバスの燃料として使われる合成燃料は、まさにこの理念を体現したものです。石油からではなく、二酸化炭素と水素から作られた新しい燃料。この新しい燃料でシャトルバスを運行することで、温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出量を削減できます。来場者の皆さまには、ぜひ会場へのアクセスにご利用いただき、この取り組みを体験していただければと思っております。また、この取り組みが万博を契機に日本全体で世界に広がっていき、持続可能性の課題に対しての1つの答えとなることを期待しております」と、今回の取組に対する期待感が語られた。

万博期間内のシャトルバス運行情報

 大阪・関西万博の開催期間中、大阪駅「うめきたグリーンプレイスバス駐車場」から万博会場である夢洲までを運行予定のシャトルバスの運賃は、片道大人2000円(小人は半額)。運行便数は1日19便で、そのうち10便には合成燃料が使用される計画。

大阪駅「うめきたグリーンプレイスバス駐車場」
車内では合成燃料への取り組みを紹介する映像が流されていた
ENEOSのイメージキャラクター「エネゴリくん」と、西日本JRバスの「にしばくん。」がラッピングバスとして登場する