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トヨタのヘリテージ活動「TOYOTA CLASSIC」とは? レストアから人材育成、クルマ文化に触れる場づくりまで幅広く展開

2025年4月11日~13日 開催
トヨタのヘリテージ活動「TOYOTA CLASSIC」の説明を行なったトヨタ博物館館長の榊原康裕氏

 トヨタ自動車は4月11日、千葉県の幕張メッセで開催されている「オートモビルカウンシル2025」にて、過去のクルマを所蔵して展示を行なう「トヨタ博物館」や、レストアを通じて技能とノウハウの伝承を行なう「グローバル生産推進センター」など、トヨタのクルマヘリテージ活動「TOYOTA CLASSIC」に関する展示を実施。取り組みについてトヨタ博物館館長の榊原康裕氏が説明を実施した。

 トヨタがオートモビルカウンシルに出展するのは第1回の2016年からで、2018年以降はトヨタ博物館としてクルマ文化の醸成を狙いとして出展。2024年は展示目的や体制を改め、トヨタ社内の各部署で進行中の旧車レストアやヘリテージパーツの供給といった活動を「トヨタクルマ文化研究所」として出展してきた。

 そして2025年からは、こうしたレストア活動やヘリテージパーツ供給活動に加え、クルマ文化に触れる場づくり、レストアを通した人材育成などトヨタグループ全体で進めていくヘリテージ活動をTOYOTA CLASSICとして発展させていくとしている。

TOYOTA CLASSICの目指す姿
トヨタ博物館館長の榊原康裕氏

最高速300km/h、 0-400m加速13秒台をターゲットにした「4500GT」

 今回トヨタ博物館からは、オートモビルカウンシルのテーマである「Classic Meets Modern Future」に合わせ、 1989年フランクフルトモーターショーでデビューし、同年東京モーターショーにも出展した、「スープラ」などのスポーツカーづくりの礎となったコンセプトモデル「4500GT」を展示。

4500GT
ボディサイズは4365×1830×1210mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2490mm、車重は1450kg
タイヤはダンロップの「DENLOC SP SPORT D40 M2」で、サイズはフロントが235/45ZR17、リアが255/40ZR17
コクピット。シートベルトはシート一体型となっている

 開発当時の目標性能は、最高速300km/h、 0-400m加速13秒台とされ、エンジンは総アルミ製のV型8気筒4.5リッター、ベルト駆動DOHC 4カム/40バルブ(1気筒当り吸気3、排気2の計5バルブ仕様)で、最高出力300PS/6600rpm、最大トルク390Nmを発生。トランスミッションには6速MTを組み合わせていた。

 FR(フロントエンジン、リア駆動)レイアウトで300km/hを達成するため、スーパーコンピュータを用いた空力シミュレーションによる揚力を減らした車体形状となる車両後端を垂直に断ち切った砲弾型(コーダトロンカ)形状スタイルを採用。

 スパッツやアンダーボディカバー装着による揚力低減や、可動式エアインテークやブレーキ冷却ホイール、構造用接着剤による軽量高剛性ボディなど、空力と冷却を両立する技術を採用したほか、軽量化のためのカーボンファイバー製ボンネット上面は、マット塗装としてドライバーのまぶしさ軽減など、現代につながる技術を多数搭載。また、今では普通搭載されているような、アクティブリアホイールステアリング、ランフラットタイヤ、空気圧警告システムといった技術も採用されていた。

当時の資料
透視図

技術とノウハウを伝承するためのレストアで復元した「セリカリフトバック」

 グローバル生産推進センターでは、技能とノウハウの伝承を目的に、技能の応用力を発揮し、経験のないことにどこまで対応できるかチャレンジする場として、2022年より年間1台のペースでレストア作業を開始。2022年にパブリカ、2023年にクラウン、2024年にセリカリフトバックと、これまでに3台のレストアを完了。ただレストアするだけではなく 部品形状、工法などから先人の志を感じ取り“モノづくりの心”を理解するとともに、トヨタのDNAの継承、技能伝承につなげているという。

 今回展示されたのは、モータースポーツを通して世界で活躍した初代「セリカリフトバック1600GT」で、2024年に各工場から人選された約30名がレストアに取り組んだという。

 説明していた榊原館長も思わず、「正直、ここまでキレイなセリカリフトバックは見たことがないです!」と驚いていた。

セリカリフトバック1600GT
ボディサイズは4215×1620×1280mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2425mm、車重は995kg
装着タイヤは横浜ゴムの「ADVAN HF TYPE-D」で、サイズは前後とも185/70R13
搭載するエンジンは直列4気筒1.6リッターで最高出力は156PS/6400rpm
アンダーカバーは、簡易な型を製作し、板金技術と組み合わせて複雑な形状を再現したという
マフラーも鉄パイプの中に砂を入れて、熱しながら曲げるといった当時と同じ工法を使ったという
サイレンサー内部も完全に再現している
サイレンサーの刻印も当時と同じ型をつくってプレスしているという
シートの刻印は、真鍮で制作した型を高周波ウェルダーで加熱して押し付けて刻印するといった当時の手法で行なっている
ピストンやコンロッドを再利用したテーブルや、足まわりパーツを再利用したチェアなど、オリジナルアイテムも展示してある

AUTOMOBILE COUNCIL 2025開催概要

開催日時:2025年4月11日~13日
会場:幕張メッセ
テーマ:CLASSIC MEETS MODERN & FUTURE