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2014 SUPER GT第5戦「FUJI GT 300km RACE」GT500クラス決勝リポート

豪雨のレースを制し18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが今季初優勝

2014年8月10日決勝開催

 8月10日、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で2014 AUTOBACS SUPER GT 第5戦「FUJI GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。豪雨で2度セーフティーカーが導入される悪天候の中、GT500クラスは18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)が他を圧倒するラップタイムで終始独走し今期初優勝を飾った。シーズン前半に不調だったホンダが表彰台に2台入り復活ののろしを上げた。

優勝した18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)

 SUGO、富士、鈴鹿と灼熱の3連戦が予想されたが、前戦のSUGOに続き今回も雨のレースとなった。台風11号が西日本を通過し、決勝の行われた日曜日は朝からときおり豪雨に見舞われた。幸いスタート時点では小雨となり、セーフティーカー先導で定刻どおりにレースはスタートした。

セーフティーカー先導でレースは始まった

 2周のセーフティーカーランを終え、3周目からバトルが始まった。最初の1コーナーはポールポジションの17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(金石年弘)がトップをキープ。予選2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)、予選3位の8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮)が続いた。

 ジャンプアップを狙った予選4位の100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史)が1コーナーでオーバーラン。後続の18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴)、39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(オリバー・ジャービス)と競り合うも5位に順位を落とし、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが4位へ浮上した。

17号車がトップをキープ、23号車が続き8号車を100号車が抜きに掛かるがこの後オーバーラン
100号車がコースに戻ると18号車、39号車と競り合いに

 スタート直後の路面コンディションで速さを見せたのはミシュランタイヤ勢。2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはトップの17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの背後に迫り、5周目のヘアピン、ダンロップと攻め立て13コーナーでインに飛び込みトップに立った。その後方でも同じ13コーナーで18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが8号車 ARTA NSX CONCEPT-GTのインに飛び込み3位にポジションアップした。

23号車が17号車を抜きトップに浮上。18号車も3位にポジションアップ

 この時点でトップの座は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに奪われたもの、2位から5位までホンダ勢が並びNSX CONCEPT-GTの復活を印象づける展開となった。18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは続く6周目の最終コーナーで17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTを抜き2に浮上。雨が強くなった8周目には23号車 MOTUL AUTECH GT-Rも抜き去りレース序盤でトップまで登りつめた。直後に大粒の雨が叩きつけるように降りだし10周目にセーフティーカーが導入された。天候の回復を待って周回を続けたが豪雨がおさまることはなく17周目に赤旗が振られレースは中断した。

18号車が17号車を抜き2位に浮上
18号車が23号車を抜きトップへ
雨が降り出し18号車が23号車を引き離す
豪雨が降り出した
セーフティーカー先導となるが天候が回復せず赤旗中断となった

 約30分後、天候が回復したためセーフティーカー先導でレースは再開。2周のセーフティーカーランを終え20周目からバトルが再開された。18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはリスタート後も快走を見せ、2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとの差を25周目には6秒、30周目には12秒と開き独走態勢を築いた。

セーフティーカー先導でレースは再開
リスタート後も18号車がトップをキープ
23号車以下の後続を引き離す18号車

 決勝レースは66周なので22周を終えるとルーティーンのピットイン、ドライバー交代が可能となる。22周目に1号車 ZENT CERUMO RC F(平手晃平)、24周目には32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐)が早めのピットインを選択した。

 レースの折返しをむかえ上位勢は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが33周目、17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが35周目、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが36周目にピットインを行った。

 アウトラップを終えた18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(フレデリック・マコヴィッキィ)は事実上の2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)に11秒のマージンをキープ。40周目にはその差を14秒、45周目には19秒と突き放しチェッカーを目指した。

 23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに次ぐ事実上の3位は32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(ベルトラン・バゲット)。リスタートでは9位、その後順位を落とし一時は周回遅れの最後尾まで後退したが、ピットイン後はトップの18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTを上回るラップタイムで順位を上げてきた。

 32号車 Epson NSX CONCEPT-GTの快走をデータで見てみよう。まずはトップの18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTと各車のギャップをリスタートした20周から18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTがピットインを終えたところまで。

18号車とのギャップ

 リスタート後、23号車 MOTUL AUTECH GT-R(赤線)と17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大、紺点線)はジリジリと差が広がっている。32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(青線)にいたっては毎周3~4秒も差が広がる状況だった。24周目にピットインしベルトラン・バゲットにドライバー交代すると状況は一変。わずかだがトップとの差を縮める快走を見せた。

 トップよりハイペースで走る32号車 Epson NSX CONCEPT-GTは2位、3位との差を確実に縮め35周目にピットインした17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがコースに復帰するとポジションを逆転、事実上の3位にジャンプアップした。

 ラップタイムの推移も見てみよう。リスタート後の32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(青線)のラップタイムは1分45~46秒程度だが、ピットイン後は1分41~43秒となる。18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(グレー線)と拮抗、時に上回るタイムで走行している。23号車 MOTUL AUTECH GT-R(赤線)と17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(紺点線)はリスタートからピットインまで徐々にラップタイムが落ちていった。

各車のラップタイム

 全車ピットインが終了した45周目の順位は18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTがトップ。19秒差の2位に23号車 MOTUL AUTECH GT-R。トップから29秒差の3位に32号車 Epson NSX CONCEPT-GT。37秒差の4位に17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GTとなった。

レース後半は独走態勢
2位の23号車も単独走行
3位に浮上した32号車も単独走行
4位に後退した17号車。後方に100号車、46号車が続く

 後方では2周遅れで最後尾を走る1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路)は44周目にスリックタイヤに交換するギャンブルに出た。雨は止みレコードラインが乾き始め52周目に1分40秒330のファーステストラップをたたき出す。さらに54周目にこのレースのファーステストラップとなる1分39秒125とコースコンディションはレインタイヤよりスリックタイヤが上回るチェンジオーバーをむかえた。

 これに反応し55周目に10位の39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(石浦宏明)と12位の6号車 ENEOS SUSTINA RC F(国本雄資)がスリックタイヤに交換、残り10周でギャンブルに出た。

 しかし、残り9周で大粒の雨が落ち始めサーキットは豪雨に見舞われた。残り8周、コースは危険な状態となりセーフティーカーが導入された。これで上位陣の数十秒のギャップはなくなり雨が止みレースが再開されれば残り数周のスプリントバトルとなる。

 雨はその後も降り続き、セーフティーカー先導のまま66周のチェッカーをむかえた。終始レースをリードした18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが今期初優勝。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとミシュランタイヤが1-2フィニッシュ。3位はダンロップタイヤを履く32号車 Epson NSX CONCEPT-GTが入り、表彰台の1位、3位にNSX CONCEPT-GTが入る結果となった。

残り8周でセーフティーカーが導入。18号車、23号車、32号車、17号車の差が縮まるがこのままチェッカーとなった

 終わってみれば難しいコンディションながらリタイヤするマシンはなく全車チェッカー。シーズン前半に不調だったホンダNSX CONCEPT-GT勢は5台全てが10位以内に入りポイントを獲得した。

優勝した18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3位は32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット)

GT500クラスの結果

1位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)
2位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3位 32号車 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット)
4位 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘)
5位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
6位 46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝)
7位 100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀)
8位 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
9位 37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)
10位 8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮)

 全8戦で行われるSUPER GTシリーズも後半に突入。ドライバーズラインキングはこのレースで9位となった37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)がトップをキープした。

GT500クラスのランキング

1位 37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ) 51
2位 12号車 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ) 47
3位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ) 42
4位 1号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平) 35
5位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴) 34
6位 6号車 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資) 34
7位 46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝) 25
8位 17号車 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘) 24
9位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(フレデリック・マコヴィッキィ) 23
10位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F(ジェームス・ロシター) 22

 SUPER GT 第6戦は、8月30日~31日に鈴鹿サーキットでシリーズ最長の1000kmレースが行われる。

(奥川浩彦)