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パイオニア、従来比3倍以上の処理能力を持つ新型「サイバーナビ」発表会

カロッツェリアは1986年の誕生から今年で30周年

2016年5月10日 発表

パイオニアが発表した新型「サイバーナビ」。写真は車種別専用の10V型モデル

 パイオニアは5月10日、カロッツェリア カーナビのフラグシップとなる「サイバーナビ」の新製品発表会を東京 秋葉原の「ベルサール秋葉原」において実施した。

パイオニアが発表した新型「サイバーナビ」。写真は8V型モデル

 カロッツェリアブランドは2016年で誕生30周年を迎えることもあり、新型「サイバーナビ」は、ハードウェアをはじめOS、マップ、インターフェースなどすべてを一新。「最先端テクノロジーとネットワーク連携により、先進のカーライフを実現すること」を目指して開発された。

パイオニア株式会社 常務執行役員 大舘諭氏

 発表会ではまず、パイオニア 常務執行役員 大舘諭氏が登壇。カロッツェリアは1986年に誕生して以来、国内市販カーエレクトロニクス市場において常に高いシェアを誇っていることを示しながら、「多くのお客さまから信頼されるトップブランドとして今年で30周年を迎えた」と前置きした。

 サイバーナビはカロッツェリアをけん引し「1990年の誕生以来、弊社の持つ高い技術開発力とユニークな発想をもとに常に先進価値を提供し、カーナビの歴史を切り開いてまいりました」と述べるとともに、「スマートループ」「ARスカウターモード」「ミュージッククルーズチャンネル」といった独自機能を紹介した。

1990年に発表した世界初の市販GPSカーナビゲーション「AVIC-1」
カロッツェリアは今年で30周年
1999年にサイバーナビが誕生
サイバーナビの歴史
サイバーナビの独自機能「スマートループ」
サイバーナビの独自機能「ARスカウターモード」
サイバーナビの独自機能「ミュージッククルーズチャンネル」

 そして、今回の新商品は「これまでのすべてをつぎ込み、まったく次元の異なる進化を遂げた」とし、「弊社独自の運転支援技術によりドライバーに迫りくるリスクを注意喚起する安心安全機能を搭載して、市販カーエレ商品としてはこれまでに例のない新価値を加えました。これぞサイバーナビ、これぞカーナビという驚きと感動をきっと皆さまに感じていただけるものと自負しております」と強調した。

パイオニア株式会社 市販企画部 マルチメディア企画1課 堀之内光氏

 続いてパイオニア 市販企画部 マルチメディア企画1課 堀之内光氏が商品概要とユーザーインターフェース、ナビゲーション機能について説明を行なった。

 まず、ユーザーインターフェースについては「単に高速なだけでなく、なめらかで使っていて心地がよい操作性を追及した」といい、「ネットワークから取得した情報を違和感なく溶け込ませる」ことで、これまでのサイバーナビにはない、まったく新しいユーザーインターフェースが完成したと説明。そのために「CPU、メモリ、ストレージと言ったハードウェアまわりだけでなく、OSも含めて当社独自の技術で刷新した」という。

2016年モデルは史上最強のサイバーナビ
新サイバーナビの特長
最先端プラットフォーム
新デバイス採用
すべての能力を一新
インターフェース&デザイン

 そのほか新しいデバイスとして、従来製品に比べて圧倒的に美しい描写を可能にした「高精細ワイドXGAモニタ&静電容量タッチパネル」、スマートフォンのテザリングを使用した通信、また専用スマートフォンアプリを介したバージョンアップ機能に使用する「Wi-Fiモジュール」、スマートコマンダーなどで使用し低消費電力規格にも対応する「Bluetooth Smart」を紹介。

 堀之内氏は「ナビ能力、AV能力、安全能力のすべてにおいて大きな進化を果たしています。プレゼンしている私もワクワクするような魅力にあふれた機能がいっぱいです」と話した。

 また、インターフェース&デザインは「洗練されたデザインと操作感」を目指したと説明。まず外観については「クルマの雰囲気との調和、操作部を引き寄せるのではなく手を伸ばして操作する、じっと見続けにくい、やり直しがしにくい、などたくさん配慮することがある。大切なのは使いやすさと分かりやすさ、使い心地のよさのバランス。ハードウェアとソフトウェアでコンセプトを共有し、同じ方向を向いたモノづくりに取り組んだ」とした。

 ハードキーについては新採用の「HOME」キーを中心としたキー配置、美しく押しやすいキートップの採用など、クルマに装着した際の一体感を意識。外観のシルバーと淡い青の組み合わせにより、パキッとしながらも線の細い緻密な表現で未来感のあるデザインにしたという。

 画面上での操作については「小気味よく指についていく感じ」を重視したといい。「HOMEは左右にフリック、リストを上下方向にフリック、ドラッグなどトレンドを外さず、そして従来からのナビ操作に慣れているお客様にも満足していただく、そんなバランスにデザインするのに苦労した」と述べた。

 サイバーナビでは従来からネットワークを駆使した情報提供を行なっていたが、これまでは必要な時に必要な情報を引き出す「PULL型」だったが、新たにクルマまわりの環境の変化を分析し、ナビ側から情報提供することであたかもドライバーの行動を先読みしたかのように振る舞う「PUSH型」の情報提供機能「ライブインフォ」を採用。ライブインフォはルート前方で発生した交通規制情報、あるいは目的地の天気情報など複数のカテゴリーで提供され、サーバーが進化するに伴い、ドライブに役立つ様々な情報を提供できるようになるとした。

 リモート操作用として主にドライバー向けの「スマートコマンダー」、同乗者向けにはスマートフォンアプリ「リアスマートコマンダー」の2種類を用意。これまでは後席からの操作が困難だった状況でも簡単に地図やAVの操作が可能であるとともに、「いずれもBluetooth Smartに対応しているため車室内のどこからでも操作可能」とメリットを挙げた。

洗練されたデザインと操作部
ネットワークを駆使した情報提供
スマートコマンダー&リアスマートコマンダーアプリ
新効果音

 ナビゲーションに関しては「(次の節目となる)40周年では今回の新サイバーナビの真価がクローズアップされるかもしれないと、意気込みも新たに開発した」という。地図表示はフォーマットや描画エンジンを含めてイチから見直すとともに、時代にあった明るく見やすい地図としながらも色覚バリアフリーにも配慮したと説明。「スケールごとに印象が変わらないように色合いを工夫」「夜の画面でも道路を見やすく」「地図の回転を滑らかにする」など、「なめらかに品質高く動いて見えることに重点を置いている」とした。

 操作に関しても「ポイントスクロールやフリックスクロールはもちろん、ピンチイン・アウト、ダブルタップ、2点タップなどによるスケール変更に対応」と、静電式タッチパネルの採用によりさまざまな操作を実現しているという。

 サイバーナビと言えば自車位置精度の高さがウリとなるが、今回は更なる精度向上を求めて自車位置を測位するための専用チップ「レグルス」を新規開発。GPS、グロナス、みちびきだけでなく、GPS信号を補正する「SBAS」にも対応しており、これらの情報を「統合してレグルスで演算することで自車位置精度が向上している」という。また、サイバーナビ初となる「6軸3Dハイブリッドセンサー」も採用しており、多数の衛星からの情報、高精度のマップマッチングによる地図表示を加えた複合技術により高い精度を実現。「高度な自車位置測位技術は今後の自動運転にも必要不可欠ですので、立ち止まらず更なる向上を目指します」とアピールした。

 ルート探索はこの秋以降から実施予定となっているサーバー型に言及。リアルタイム性、多様性、大容量ストレージ、高度な処理能力を持ったサーバー型とすることで、その時々で最適なルート探索を提案。「サイバーナビを使うと早く着くだけでなく、効率も考慮し選択の幅ができる。そうした進化を継続して受けられるのがサーバー型の真骨頂」であるとした。

ナビゲーション
地図表示
地図操作
自車位置精度
ルート探索
パイオニア株式会社 市販企画部 マルチメディア企画1課 橋本岳樹氏

 オーディオ&ビジュアルの説明では、パイオニア 市販企画部 マルチメディア企画1課 橋本岳樹氏が登壇。新しいサイバーナビは「カロッツェリアxで培ってきたノウハウをもとにすべてを徹底的に見直し驚くほどの高音質」であるとし、「サイバーナビ史上最高音質を実現した」と強調。

 その要素となるのが「構造及び回路構成」と「こだわりの高音質パーツ」。まず、構造面ではナビゲーション基盤とオーディオ基盤を独立して構成したことを挙げた。その理由について「ナビゲーションにはSoC系やデジタル映像系、HDMIをはじめとする外部デジタルインターフェース、システムマイコンに至るまでオーディオに影響を及ぼすものが多い」とし、それらを「ナビゲーション基盤にコンパクトに配置することで最適な回路配置を実現」。また、「すべての回路の電源を強化するとともに徹底したノイズ低減にこだわった」と説明した。

 高音質パーツの筆頭として挙げたのが、今回フルカスタムで開発した「DSP」だ。DSPは「高度な処理を行なう反面、アナログオーディオ部のノイズ源にもなる」ため、「ICをフルカスタムし低ジッタ化。IC内部や電源回路のチューニングによりアナログオーディオ部の音質改善を実現した」と説明。また、「カロッツェリアxから踏襲したサウンドマスタークロック回路を継続搭載」し、精緻な音場表現と高い質感を実現したほか、フルカスタムのオーディオ用アルミ電解コンデンサ、新開発のトロイダルコイルなど最高音質を実現するために多くの部品を新規採用。加えて「カロッツェリアxから受け継いできたノウハウの注入で驚くほどの高音質を実現した」と述べた。

サイバーナビ史上最高音質を実現したというオーディオ&ヴィジュアルのプレゼンテーション
徹底した高音質設計

 また、ミュージッククルーズチャンネルについては、新たに「日時、目的地、自車位置、高速道などクルマの状況に応じて、ドライブシーンにあったレコメンドチャンネルを提案し、よりドライブしたくなる仕様に進化している」といい、「前席ではミュージッククルーズチャンネル、後部座席ではDVDを楽しむなど別々の映像コンテンツを楽しむリアセパレートモードを搭載。同乗者全員が楽しめるカーエンターテインメントを実現している」とした。

ミュージッククルーズチャンネル
同乗者も楽しめるリアエンタテインメント
パイオニア株式会社 市販企画部 マルチメディア企画1課 内田有喜氏

 最後にパイオニア 市販企画部 マルチメディア企画1課 内田有喜氏が登壇。画像認識技術を活用したドライブサポート機能を説明した。

 サイバーナビでは2010年から画像認識機能を活用しているが、新型では新たに「マルチドライブアシストユニット(MAユニット)」を用意することで、大きく進化したという。従来から搭載していたARスカウターでは、新たに車間距離と車間時間を推定。ターゲットスコープのサイズや色を車間距離に応じて変化させるほか、さらに距離が近づくと音と画面表示で警告を行なう「前方車両接近警告」を採用。そのほか新たに「右折時のつられ発進検知」を搭載したほか、「レーンキープサポート」の対応を一般道まで拡大。従来からの「赤信号検知」「前方車両発進検知」なども引き続き搭載しているとした。

 ドライブレコーダーと通信テクノロジーを合わせた新機能として「ライブカーセキュリティ」を紹介。衝撃および音圧、電圧の3つのセンサーで自車へのリスクを感知して、前方カメラと車室内カメラでその状況を動画と静止画で撮影。そうした状況を通信モジュールによりメール送信できる機能だと説明した。

 ラインアップは7V型と8V型のほか、9月に専用フィッティングを使用して装着する10V型メインユニットを発売。このモデルでは「クルマをいかに先進的および高品位にカスタマイズするか」をコンセプトに、「ExcelLuminaHDパネル」「静電センサーキー」「テクスチャグラデーション」を採用。華やかかつ魅力的なデザインとしているという。同時にオーディオ面でもエキスパートチューニングチームを構成し、最適な音作りを数カ月かけて実施。「純正スピーカー」「推奨スピーカー」「運転席重視」「全席重視」とシーンに応じて音を選ぶことができるとした。また、10V型モデルのみ「パラメトリックイコライザー」「フロンタルイメージコントロール」を搭載しており、より細かなチューニングに対応していると説明した。

サイバーナビで実現するドライブサポート機能
新開発の「マルチドライブアシストユニット(MAユニット)」によりカーライフをサポート
MAユニットなどにより実現するドライブサポート機能
ライブカーセキュリティ機能の紹介
ドライブレコーダー機能
車種専用メインユニットを展開
デザインへのこだわり
高音質エキスパートチューニングデータを搭載した
新型「サイバーナビ」のラインアップ

(安田 剛)