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トヨタ株主総会、豊田章男会長の取締役選任の賛成率は96.72%と高いものに
2025年6月13日 23:23
- 2025年6月13日 開催
トヨタ自動車 第121回株主総会
6月13日、トヨタ自動車本社で第121回株主総会が開催された。この株主総会には第1号議案から第6号議案まで6本の議案が出され、いずれも賛成多数で決議された。
この株主総会が注目されていたのは、前年の第120回株主総会第1号議案 取締役選任の件において、豊田章男氏の賛成が71.93%となっていたため。ほかの取締役は90%近く、もしくは90%以上だったが、豊田章男氏のみ71.93%となっていた。
この年、トヨタ自動車はグループの認証問題などが発生。豊田章男氏はトヨタグループの代表として会見を行ない、グループの新しい道筋を示すなど信頼問題に取り組んできた。近年、不祥事などが起きた際に代表が会見を行なわないことなどはあるが、豊田章男氏は大規模な会見を行なうことで責任を自身に集中させ、問題点が隠されることのないように配慮。認証問題への対応を行なってきた。
その姿勢は、自身がモリゾウ選手としてもっといいクルマづくりに挑む際に発する「壊してくれてありがとう」という言葉に現われており、実際にGRヤリスの開発を行なうスタッフからは、「この言葉によって技術者は問題点を隠さなくなった」「走って、壊して、直す」ができるようになったなどの話を聞くことがある。
豊田章男氏の賛成は96.72%
前回の株主総会は、トヨタグループ代表として責任を取る会見から3か月という時間だったが、その後グループは調査・対策を行ない、国土交通省など関係省庁に報告を実施。省庁が承認する形で新型車の発売などを再開している。
豊田章男会長自身も、現場をまわり、現場と対話し、問題に対する意識改革を実施。その一方ではモリゾウ選手として、トヨタのクルマを単なるコモディティの輸送製品ではなく、特別な移動体験をもたらす価値ある商品へ磨き上げていく過程を行動で示していた。
分かりやすい部分では、WRC(世界ラリー選手権)におけるヒョンデとの激闘であり、WEC(世界耐久選手権)におけるフェラーリやポルシェとの戦いになるだろう。
そして、2025年のCESでは自身が5年前に宣言したモビリティカンパニーへの変革を具体化したウーブンシティの発表を行ない、先日発表されたRAV4では、次世代車の価値であるSDV(ソフトウェアデファインドビークル)に対して「交通事故ゼロを目指すもの」との方向付けを明確にした。
そのような1年を経て開催された第121回株主総会では、第2号議案で「取締役(監査等委員である取締役を除く)6名選任の件」が提出された。
結果は下記のようになった。
豊田章男 賛成 96.72% 可決
佐藤恒治 賛成 97.97% 可決
中嶋裕樹 賛成 98.33% 可決
宮崎洋一 賛成 97.73% 可決
岡本薫明 賛成 98.47% 可決
藤沢久美 賛成 98.50% 可決
いずれの取締役もトヨタのステークホルダーである株主から極めて高い支持を得た結果になった。
実際、SNSなどではトヨタの株主総会出席者による「豊田章男会長からシールをもらった」「ツーショットを撮った」などの投稿も相次いでおり、多くの株主から高い支持を得ていたのが伝わってきた。
現在は、世界三大レースの1つであるル・マン24時間レースがフランスで開催されており、トヨタは2連敗を喫しているフェラーリや、ポルシェ、キャディラックといった世界的ブランドと戦っていくことになる。
その翌週にはドイツでニュルブルクリンク24時間レースが開催され、そこには豊田章男氏自身もモリゾウ選手として、市販パワートレーンを搭載したGRヤリス DAT(8速AT)で戦っていく。
そこには、「幸せの量産」である量産メーカーのトヨタではあるが、コモディティにはならない、ただのクルマ屋では終わらない(終われない)という強い意思を感じる。クルマ好きに高い支持を得ている豊田章男氏ではあるが、トヨタの株主からもしっかりとした支持を得たことで、トヨタグループのリーダーとしてトヨタのクルマをさらに高みに引き上げていくだろう。
また、トヨタではないが、本人が自動車会議所会長就任で語ったように「クルマをニッポンの文化に!」という部分の取り組みにも注目したい。




