ニュース
シャープ、鴻海(ホンハイ)のEVをベースにしたEVコンセプトカーを夏以降公開へ
2025年6月17日 20:37
- 2025年6月17日 発表
シャープは6月17日、事業戦略説明会を開き、EVコンセプト「LDK+」の取り組みについて言及した。シャープ 専務執行役員 CTOの種谷元隆氏は、「鴻海が開発したEVである『Model A』をベースに、LDK+を開発していくことを決定した。家電メーカーであるシャープならではの新たなEVの開発を推進していく」と、市場投入に向けて意欲をみせた。
また、「夏が過ぎて、少し静しくなった時期には、Model Aをベースにしたコンセプトカーを披露することができる」と予告。「これまでに公開したものよりも、現実に近づけ、販売を意識したものになっている」とも語った。
シャープは、2024年9月に開催した「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」において、EVのコンセプトモデルである「LDK+」を展示し、数年後を目標にEV市場に参入することを明らかにしていた。
今回の説明では、市場参入については「数年後」というこれまでの方針を維持しながらも、「鋭意、開発を進めている」とし、「昨年からの新たな進展では、ベースにするクルマをModel Aに決定したことがあげられる。また、LDK+を実現する上で、シャープが持つ家電の技術や空気清浄の技術、CE-LLMを活用した快適なインターフェースの実装を目指すことになる。空間を自由に使ってもらえるクルマを実現する」と位置付けた。
Model Aをベースとした理由については、「サイズ感を重視した。大型ではなく、中型を少し大きくした程度を狙っている。LDK+のコンセプトを実現する上では、室内空間が重要であり、Model Aは、車高が高いことも適している。そこで第1弾としてはModel Aを選んだ」としたほか、「家電メーカーが作るEVは、高級ラインではなく、手頃な価格であり、気軽に使ってもらえるラインを目指すことになる」とも述べた。
家電技術の応用としては、タッチ操作や音声操作による「自然なUI」、空質改善やコミュニケーションなどの「豊富な機能」、インターネットへの接続や、AIに利便性を高めたAIoT、および太陽光発電や蓄電池などとつながるシャープ独自のEeeコネクトによる「機器連携」の3点をポイントにあげたほか、シャープ独自のエッジAI技術であるCE-LLMによって、誰でも使えるような環境を実現することを目指すという。
「LDK+では、様々なシーンで利用できるようにカスタマイズが可能になっている。また、非常時には生活をサポートすることもできる。さらに、CE-LLMで実現した周りの状況を理解して答えることができる環境プロンプトの技術を反映し、これをLDK+に実装することになる。クルマに乗る際に、その人の、その日の状況や、働くスタイル、生活環境を理解することで、人がいちいち設定をすることなく、人に寄り添うことができるようにする。シャープが持つハードウェア、テクノロジーだけでなく、データとの親和性に強みが発揮できる」とコメント。「市場の声を聞きながら、シャープのEVを作っていく。新たな世界観を持った家電メーカーが作るEVを、世の中に問いかけたい」と抱負を述べた。
シャープでは、現在、バッテリーEVの市場構成比が15%程度と見ているが、2030年には30%、2035年には50%にまで拡大すると予測。「長期的には、需要の中心はバッテリーEVに進んでいくことになるだろう」とした上で、「運転する楽しみだけでなく、それ以外にも顧客ニーズが広がっていくことになる。クルマのなかでの利便性や快適性、過ごす時間の有効活用へと価値観は変わっていくと予測している。既存のニーズだけでなく、新たなニーズに応えることができるのが、シャープのLDK+であり、車庫に止まっているときには、新しい部屋として利用したり、出先では仕事をしたり、休憩ができる空間として、リラクゼーションを提供する。クルマの新たな使い勝手を提案することが可能になる」とコメント。「コンセプトの実現には、空間が重要になる。Space as a Serviceといった提案も進めていく」とした。
また、「シャープが付加価値を出せる領域で差別化をしていく。人が暮らす、働く、動くという世界において、シャープの事業と連続性を持った提案をしていく。そこに、シャープがEVをやる価値がある。シャープが設計し、シャープならではの価値が提供できる車室空間を作り、自ら作ったEVを、シャープが販売していくことになる」と語った。





