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アルファ ロメオ、新型「ジュニア」発表会 「新時代の“アルフィスタ”のために作った挑戦的なモデル」と黒川進一事業部長

2025年6月24日 発売
420万円~556万円
アルファ ロメオの新型コンパクトSUV「ジュニア」の発表会が実施された

アルファ ロメオが誕生した115年前と同じ日付けに日本で発表

 6月24日に創業115年を迎えたアルファ ロメオ(Stellantisジャパン)は、新型コンパクトSUV「Junior(ジュニア)」の日本導入に関する発表会を都内で実施した。

 新型ジュニアは、オペラ歌手2人の大迫力の生歌に出迎えられて、BEV(バッテリEV)モデルの「エレットリカ」が実際に走りながら華々しくステージに登場。アルファ ロメオのブランド初となるBEVの誕生を祝うかのような演出だった。

2人のオペラ歌手の生歌に出迎えられて新型ジュニアが登場
【アルファ ロメオ】新型「ジュニア」アンベール(3分8秒)

 続いて、Stellantisジャパン代表取締役社長の成田仁氏が登壇。成田氏は2025年1月に就任してから半年がたったことに触れつつ、「幼少のころからいつも自動車で出かけていた自分が、自動車業界でキャリアをスタートするのは必然でした」と振り返った。また、これまでさまざまな自動車メーカーやバイクメーカーでキャリアを積んできたが、日本全体の市場を任されたのは今回が初めてとなり、「時には大きなプレッシャーも感じますが、クルマ好きには最高の会社です」と今の職場の楽しさを表現した。

Stellantisジャパン株式会社 代表取締役社長 成田仁氏

 続けて、本国のStellantisは15のブランドを束ねているが、Stellantisジャパンは商用車を含めて8つのブランドを国内に展開していて、各ブランドがそれぞれのルーツを持つ国で培われた文化や歴史、人々のライフスタイルを体現したモデルを取りそろえていると言及。

「8つのブランドは日本市場ではメインストリームではないかもしれないですが、刺さる人には刺さる! 単なる移動の道具ではなく、また高額車のような地位を表現するようなステータスブランドでもない、ユーザーの人生やライフスタイル、生き様に寄り添い、それを表現するような“ステートメントブランド”として製品を提供し続けていきたい」と力強く語った。

創業当時のアルファ ロメオ(イタリア・ミラノ)
アルファ ロメオは、サーキットでの数々の栄光と、さまざまなモデルを世に出してきた

 1910年にミラノで誕生した“アルファ ロメオ”について成田氏は、「イタリアが世界に誇るレーシングスピリットにあふれたブランドで、エンツォ・フェラーリ氏をはじめ、多くのレーサーたちと歩みを進め、数々のレースシーンで名をはせてきました。サーキットの栄光に裏付けられたスポーツマインド、磨かれた走りの技術、あふれる情熱でさまざまなモデルを世に出してきました」と語ると、ブランド設立115周年の記念動画を流した。

Alfa Romeo | 115th Anniversary(1分8秒)

 現在アルファ ロメオのラインアップは、スポーツセダンの「ジュリア」、レーシングスピリットあふれるSUVの「ステルヴィオ」、ミドルサイズSUVの「トナーレ」の3種で、トナーレはPHEV(プラグインハイブリッド)も設定するなど電動化も推進しているが、かつては「ジュリエッタ」や「ミト」といった人気のコンパクトカーがあったこともあり成田氏は、「ユーザーからコンパクトカーの復活を望む声を多くいただいています」と明かした。

現在のアルファ ロメオのラインアップ

 続けて、「このジュニアは、期待と歴史に裏付けられたスポーティなデザインや最新のテクノロジーを引き継いだコンパクトSUVとして自信を持って投入します。コンパクトサイズであっても大きなパッションに満ちあふれた1台です。ぜひ、試乗していただき、まごうことなきアルファ ロメオの情熱を体感していただきたい」とあいさつを締めくくった。

待望の「ジュニア」を提供できると紹介したStellantisジャパン株式会社 代表取締役社長の成田仁氏

サント・フィチリCEOからのビデオメッセージも公開

 今回来日が叶わなかった、アルファ ロメオ ブランドのCEOであるサント・フィチリ氏は、日本でジュニアを正式発表できる日が、115年前にアルファ ロメオが誕生した6月24日と同じであることが、この上ない歓びと表現。また、「ジュニアは単なる新車ではなく、パフォーマンス、デザイン、テクノロジーをコンパクトで効率的なパッケージに結合させた、アルファ ロメオが未来への大胆な一歩を踏み出した証となるモデルである」とコメント。

ビデオメッセージを送ったアルファ ロメオ ブランドのCEOであるサント・フィチリ氏

 続けて、「すでにジュニアは世界で4万台を超える受注があるほか、うち15%がBEV(バッテリ電気自動車)モデルであり、大きな成功を収めています」と強調。深い価値観を持つブランドを受け入れてきた日本は、インドをはじめアジア太平洋地域でのアルファ ロメオの販売の50%以上もあり、「今後の成功の中心的な役割を担っていく」と期待を語った。

 またアルファ ロメオは、サーキットで誕生した生ける伝説であり、第1回のF1世界選手権、ル・マン24時間耐久レース、ミッレリミア(過去にイタリアで開催されていた公道自動車レース)など、「数々のレースで勝利を収めてきた」と言及。さまざまなモデルが世代を超えてスタイルと革新性を定義してきて、未来へと受け継がれていることをアピールした。

 続けて、テニスプレイヤーのジャスミン・パオリーニ選手や、ヨットレースの最高峰アメリカズカップに挑戦するチーム「ルナ・ロッサ」とパートナーシップを組むことで、強い意志とエレガンスを示しつつ、挑戦と個性への情熱を表現していると説明。また、アルファ ロメオは情熱、個性、そしてまぎれもないアイデンティティを持って、常に世界を先導していくと抱負を述べた。

【アルファ ロメオ】ブランドCEOサント・フィチリ氏からのビデオメッセージ(3分35秒)

アルファ ロメオ黒川事業部長が新型「ジュニア」のポイントを解説

 続いてStellantisジャパン アルファ ロメオ事業部 事業部長の黒川進一氏は、新型ジュニアについて開口一番、「見ただけで心がざわつくような感覚はありませんか?」と会場にいた報道陣に質問。そして、「お伝えしたいのは、この胸の高鳴りと、ステアリングを握りアクセルを踏んだ時の高揚です」と強調。また、新型ジュニアのキャッチコピー「胸よ、さわげ」にも触れ、これが新時代のアルファ ロメオを象徴するジュニアからのメッセージであると説明した。

Stellantisジャパン株式会社 アルファ ロメオ事業部 事業部長 黒川進一氏

 そして新型ジュニアの魅力は、「唯一無二のスタリング」「官能的な走りの悦び」「アルファ ロメオのDNA」の3つであると言及。胸がざわつく理由について黒川氏は、「アルファ ロメオしか作り出せない官能的で魅力的なデザインにある」と明言しつつ、「ジュニアを所有することが感性を刺激し、特別な日常を手に入れられる」と語った。

 続けて黒川氏は、「アルファ ロメオの神髄は走りにあり、スペックの数字だけではなく、ドライバーとクルマが一体となる感覚。ジュニアは日常の移動を五感に訴えてくれるエモーショナルな時間へと変えてくれます。効率や合理性を追い求めたクルマとはまったく違う次元の存在です」と改めて強調した。

 また、アルファ ロメオが人の心を揺さぶるクルマを作り続けられる理由については、「アルファロメオの歴史とDNAにある」と説明しつつ、“ジュニア”という名称についても、かつて若者たちを熱狂させた伝説へのオマージュでもあると紹介。

 ただし、美しさへの執念、速さへの渇望、職人たちの情熱を継承しつつも新型ジュニアは、次世代の「アルフィスタ(アルファ ロメオのファン)」のために作られた新たなアイコンでもあり、次世代へ向けたアルファ ロメオの挑戦の始まりであるという。

車名のジュニアは「GT 1300ジュニア」に由来し、DNAをしっかりと継承している
次世代のアルフィスタは「30代~40代を中心とした世代」を想定しているとのこと

 パワートレーンは2つあり、1つはハイブリッド仕様の「イブリダ」で、従来のハイブリッドとは異なり、発進時や街中での低速走行では滑らかにBEVのように振る舞うものの、ひとたびアクセルを踏み込めば、電気モーターがエンジンを瞬時にアシストして力強い加速を生み出すなど、燃費のために妥協したシステムではなく、アルファ ロメオの走りのコンセプトをモーターの力でさらに研ぎ澄ますための新しい選択肢であるという。

新型ジュニアは、ハイブリッドとBEVの2つのパワートレーンを用意。2024年の国産EVの販売は全体の2~3%とまだまだ低いが、輸入車に関しては全体の10%と年々割合が高くなっているという

 もう1つは、未来的な静粛性とアルファ ロメオならではのダイナミックな走りを両立したBEVの「エレットリカ」で、アルファ ロメオの走りの哲学を電動化時代に合わせて再定義。フル充電で494kmと十分な航続距離を確保し、ストレスのないロングドライブを可能にし、「新しい時代の人馬一体を体験させてくれる未来のアルファ ロメオそのもの」と黒川氏は熱く語った。

新型ジュニアの価格一覧

 価格は、ハイブリッド仕様のエントリーモデル「イブリダ Core(コア)」が420万円~。上位グレードの「イブリダ Premium(プレミアム)」が468万円~。また、日本限定200台となるローンチエディション「イブリダ Speciale(スペチアーレ)」は、アルカンターラ内装やサベルト製アルカンターラシート、前席6Wayパワーシート、電動開閉式サンルーフなど充実の装備仕様で533万円~となる。

黒川氏によると、「価格についてはとにかく多くの人に乗ってほしいとの思いから、本国と半年近く折衝して、高価で少台数ではなく、安価で多台数を販売することで、トータルで同じ分の利益を生み出せる金額帯にできた」とのこと

 最後に黒川氏は、コンパクトなボディサイズや収納力の高さに触れ、「日本の都市部でも意のままに操れるボディサイズで、ラゲッジスペース容量もクラストップレベルの400Lを超え、日常の買い物から旅行までサポートできます」と締めくくった。

来日したボブ・ロムケス氏がデザインのポイントを紹介

【アルファ ロメオ】新型「ジュニア」イメージ動画(44秒)

 最後にアルファ ロメオのチーフエクステリア AR デザイナーを務めるボブ・ロムケス氏が登壇。ロムケス氏はイメージ映像を見ながら、自分もテストコースで新型ジュニアのステアリングを握る機会があったと語り、「とても楽しかったし、走りやすかった」と感想をコメント。

アルファ ロメオのチーフエクステリア AR デザイナー ボブ・ロムケス氏。欧州モデルのナンバープレートは中央下部にあるが、日本などではオフセットされ左右非対称の仕上がりとなってしまうが、ロムスケ氏は「そのスタイルも気に入っている」とコメントしていた

 またロムケス氏は、「アルファ ロメオのデザインのインスピレーションの源をよく聞かれますが、それは『情熱』『イタリア』『スポーツ精神』であると同時に、美しい過去のデザインも愛していて、歴史や伝統も大事である」と解説。また新型ジュニアは、「感情的であり直感的でもあるデザインで、喜びや生活、スピード、美しさを表現しているもので、若々しく機敏で楽しさにあふれている1台」と紹介した。

 ヘッドライトは強い性格と決意を示していて、中央のアルファ ロメオの主役ともいえるスクデット(逆三角形の部分)は、ブランド初のBEVモデルとなることから、新たな時代への移行を告げるデザインを用意。三角形のサイズが大きくなりビスチオーネ(ブランドを象徴する蛇)を描いた“プログレッソ”と、メッシュに筆記体でalfa Romeoと文字の並んだ“レジェンダ”の2種類を設定している。サイドビューは直線や平らな面がなく、彫刻のように作り光と影が織りなす曲面の美しさで躍動感を表現している。

新型「ジュニア」のデザインスケッチ
スクデット(逆三角形の部分)は、ビスチオーネ(ブランドを象徴する蛇)を描いた“プログレッソ”と、メッシュに筆記体で「alfa Romeo」と文字の並ぶスクデットは“レジェンダ”の2種類

 ホイールの丸いデザインは電話のダイヤルからインスピレーションを得たものとなり、そのほかにもCピラーにビスチオーネをうっすらと描き入れ、印象深くしているという。リアは歴代モデルにも採用されている、バッサリと切り落としたような伝統のデザイン「コーダ・トロンカ」を継承。美しさと空力性能を融合させた。

 インテリアは、スポーティでエレガントで快適さを追求。レーシングカーのようなフィット感を得られるほか、アルファ ロメオのレースの歴史に刻まれる伝統の四つ葉のクローバーをモチーフにしたエアコン送風口やスポーティなシートもお気に入りという。

 最後にロムケス氏は、「2021年の夏に社長から、コンパクトでスポーティなデザインの1台を作ってほしいと要請を受け、どんな人にも似合う、誰でも楽しくなるデザインを融合させることにチャレンジしました。気に入ってもらえると嬉しいです」と締めくくった。

ロムケス氏は、「EVへの移行期間をできる限りスピーディにしなければならかったし、もっともコンパクトなボディでありながらも、そこには伝統や遊び心、大胆な表現も入れたかった」と語っていた

ちょっと写真で見る新型「ジュニア」

新型「ジュニア」撮影車両はBEVモデルの「エレットリカ」
ボディサイズは4195×1780×1585mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2560mm、最小回転半径は5.3m
フロントビュー
リアビュー
車重はBEVモデルのエレットリカが1580kg、ハイブリッドモデルのイブリダが1330kg(スペチアーレは1340kg)、
Cピラーにもビスチオーネ(ブランドを象徴する蛇)が描かれている
エレットリカの駆動モーターは最高出力115kW(156PS)、最大トルク270Nmを発生。54kWの大容量リチウムイオンバッテリを搭載し、最大494km(WLTP)の航続距離を実現した
ハイブリッドモデル「イブリダ」のパワートレーンは、直列3気筒1.2リッターターボエンジン(最高出力100kW/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpm)に、最高出力16kW/4264rpm、最大トルク51Nm/750-2499rpmのモーターを内蔵した新開発の電子制御式6速デュアルクラッチトランスミッション(eDCT)、48Vバッテリからなるマイルドハイブリッド仕様。システム全体の最高出力は145PS、最大トルク230Nm
タイヤはグッドイヤーの「エフィシェントグリップ パフォーマンス2」サイズは前後とも215/55R18。ハイブリッドのエントリーモデルであるイブリダCOREのみ前後215/60R17となる
3眼ヘッドライト
3眼テールランプ
BEVモデル「エレットリカ」のリア下まわり
BEVモデル「エレットリカ」は普通充電と急速充電(CHAdeMO)を左後方に完備。ハイブリッドモデル「イブリダ」は給油口となる
新型「ジュニア」の内装。撮影車両はハイブリッドモデルのイブリダ(プレミアム)
プレミアムグレードのシートは、イブリダ、エレットリカともにファブリック/テクノレザーシートを採用
ラゲッジスペースは415Lを確保。後席は6:4の可倒式を採用している
ステアリングギア比は、スポーツモデルに匹敵するクイックなハンドリング性能を実現する14:1を採用
ペダルまわり
走行モードはスポーティな走りを実現するDynamic、普段づかいに最適なNatural、電費や燃費を最大限効率化したAdvanced Efficiencyの3つを用意
中央にはConnectシステムとなる「10.25インチ タッチスクリーンナビゲーション」を搭載
ハイブリッドモデル「イブリダ」のメーターにはエンジンを搭載したジュニアが、BEVの「エレットリカ」のメーターにはモーターのみのジュニアが描かれている
7月12日~21日の期間には、新型「ジュニア」デビューフェアが開催される