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トヨタ、WRCで100勝達成 オリバー・ソルベルグ選手がWRC初優勝

2025年7月21日 発表
エリオット・エドモンドソン、オリバー・ソルベルグ組

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は7月20日(現地時間)、WRC(2025年FIA世界ラリー選手権)第8戦「ラリー・エストニア」でGR YARIS Rally1 99号車のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組が優勝。トヨタとして、通算100回目となるWRC優勝を達成した。

 優勝したオリバー・ソルベルグ選手は、今シーズン「GR Yaris Rally2」でWRC2に参戦しているが、TGRの若手ドライバーにトップカテゴリー挑戦のチャンスを提供するという取り組みにより、今回初めて「GR YARIS Rally1」で出場する機会を獲得、WRC初勝利を飾った。

 オリバー・ソルベルグ選手は「最高に素晴らしい週末でした。何年も夢見てきたことですし、この瞬間のために努力を続けてきたので、圧倒的な喜びを感じています。トヨタがこの機会を与えてくれたこと、この素晴らしいクルマで自分の力を証明し、楽しむチャンスを与えてくれたことに心から感謝します。また、乗りやすいクルマに仕上げてくれた、テストチームのスタッフにも感謝します。子供の頃からのヒーローであり、父と共に憧れの対象だったユハと共に表彰台に立ち、勝利を祝うことができるとは思いませんでした。この週末、自分を冷静に保ち、適切な指示を与えてくれたユハのサポートに感謝しています。人生最良の時間を過ごすことができました。ありがとうございます!」とコメント。

 チーム代表代行のユハ・カンクネン氏は「この週末のオリバーの戦いは本当に信じられないようなものでした。ステアリングを握っている彼以上に、見守っている自分の方が緊張していたかもしれません。経験豊富なドライバーたちを相手に、彼は非常にクリーンな走りを披露してくれました。彼らのようなドライバーが後方から激しくプレッシャーをかけてくる状況では、誰だって少しはプレッシャーを感じるものですが、オリバーは非常に上手く自分をコントロールしました。このような機会を提供し、彼がそれをうまく活かしたのを見ることができたこと、そしてそれがトヨタにとって100回目のWRC優勝になったことも、私たちにとって大きな喜びです。また、カッレがパワーステージで優勝できたのも良かったと思います。そして今、我々は次なるラリー・フィンランドに集中し、ホームラリーで力強い走りができるように努力を続けます」とコメントしている。

 オリバー・ソルベルグ選手の父、2003年のWRCチャンピオンであるペター・ソルベルグ氏の2005年のラリーGBでの最後の優勝から約20年。ソルベルグ・ファミリーは、ロバンペラ・ファミリーに続き、親子2代でのWRC優勝を達成した。また、トヨタのクルマでWRCを制したドライバーとしては、1973年にアメリカの「プレス・オン・リガードレス・ラリー」で優勝したワルター・ボイス氏から数えて16人目のドライバーとなった。

 そのほか「ラリー・エストニア」では、69号車のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組は総合4位、33号車のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組は総合6位、TGR-WRT2からのエントリーとなる5号車のサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組は総合7位でフィニッシュ。18号車の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、メカニカルトラブルによりリタイアとなった。

33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン組)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン組)
18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン組)
5号車(サミ・パヤリ、マルコ・サルミネン組)

 第8戦終了時点でのドライバー選手権順位は、1位がオィット・タナック選手の162ポイント、2位がエルフィン・エバンス選手の161ポイント、3位がセバスチャン・オジエ選手の141ポイント。

 第8戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位は、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの399ポイントに続いて、2位にHyundai Shell Mobis World Rally Team 347ポイントとなっている。

「ラリー・エストニア」での優勝に、TGR-WRT会長の豊田章男氏がコメントを発表した。下記に全文掲載する。

TGR-WRT会長 豊田章男氏のコメント

オリバー、エリオット、優勝おめでとう!

3年前のベルギー。暫定表彰式会場でヒョンデのドライビングスーツを着たオリバーに会いました。i20から降りてきた彼の視線の先にいたのはレジェンド、ユハ・カンクネン。レジェンドとのツーショットを撮りたい一心の彼は、途中にいた私に”撮ってくれ”とスマホを渡して、ユハのところへまっしぐら。私は腰をかがめ、ユハとオリバーのツーショットを撮ってあげました。その後、お父さんからは”ありがとう”と言ってもらいましたが、オリバー本人からは、はにかんだ笑顔だけだったような…。証拠映像も残っているので、このあと私のオフィシャルInstagramにあげておきます。

今日のオリバーの勝利は、写真を撮ってあげた私への”3年越しのお礼”として受けとらせていただきました。今度、もし私の目の前でオリバーが勝利したら、表彰式会場で私が駆け寄っていくので、私とツーショットを撮ってください! そこにユハもいたら、ユハに撮ってもらいましょう!

ユハは、今回はじめてGR YARIS Rally1に乗るオリバーにさまざまなアドバイスをしてくれていたとチームから聞ききました。ユハ、ありがとう。TOYOTA GAZOO Racingのスーツを着たオリバーと、今日またツーショット写真を撮ってあげてください。

次戦はホームラリーです。支えてくれるユバスキュラの皆さんのためにも最高のラリーをしましょう! チームのみんな、よろしく頼みます!

ラリー・エストニアの結果(現地時間7月20日19時00分時点のリザルト)

1:オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (トヨタ GR YARIS Rally1)
2:オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1)
3:ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1)
4:カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
5:アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1)
6:エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1)
7:サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
8:マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1)
9:ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1)
10 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1)

第8戦終了時点でのドライバー選手権順位

1:オィット・タナック 162ポイント
2:エルフィン・エバンス 161ポイント
3:セバスチャン・オジエ 141ポイント
4:カッレ・ロバンペラ 138ポイント
5:ティエリー・ヌービル 114ポイント
6:アドリアン・フォルモー 71ポイント
7:勝田貴元 63ポイント
8:オリバー・ソルベルグ 52ポイント
9:サミ・パヤリ 38ポイント
10:グレゴワール・ミュンスター 19ポイント

第8戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位

1:TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 399ポイント
2:Hyundai Shell Mobis World Rally Team 347ポイント
3:M-Sport Ford World Rally Team 111ポイント
4 :TOYOTA GAZOO Racing WRT2 68ポイント

表彰式