ニュース
ラリージャパン2025の概要発表会開催 ラリードライバーの新井敏弘選手や声優の三木眞一郎さんが魅力をアピール
2025年7月18日 07:09
- 2025年7月17日 開催
ラリージャパン2025実行委員会は7月17日、愛知県の豊田市、岡崎市、新城市、設楽町、岐阜県の恵那市、中津川市を舞台として11月6日~9日の期間に行なわれるWRC(世界ラリー選手権)第13戦「FIA 世界ラリー選手権 フォーラムエイト・ラリージャパン2025」の大会概要を発表した。
東京都豊島区のとしま区民センターで行なわれた発表会では、実行委員会の会長を務める豊田市長の太田稔彦氏、副会長を務める恵那市長の小坂喬峰氏、競技長を務める高桑春雄氏から、開催概要や大会コンセプト、チケット概要などについて説明された。なお、発表会のMCは、モータースポーツアナウンサーのピエール北川氏が担当した。
2025年大会のコンセプトは「体感するラリー」
太田会長は2022年から中京圏を舞台として4年目の開催となるラリージャパンの2025年大会について、「体感するラリー」をコンセプトに実施すると紹介。
将来を見据えたラリー文化の定着を目指し、これまで以上にラリー本来の楽しさに焦点を当てた大会とするべく、現地で観戦することで得られる音、熱、匂いといった体験価値や競技内で繰り広げられる駆け引き、人間ドラマや勝負の裏側などを楽しんでもらう「競技の魅力」、ラリーを通じて会場となる地域ならではの風景や歓迎ムード、街全体の盛り上がり、地域との共生から生まれる一体感を体感してもらう「ラリーと地域一体の盛り上がり」、競技を観戦するだけでなく、サービスパークにおける選手やチームスタッフなどとの交流、リエゾン区間での応援、ボランティアへの参加などでラリーに関わる楽しさを提供する「観戦者のラリーへの参加感」という3点に注力。ラリージャパンの観戦を通じてこれまで以上に深くラリーを体感してもらい、理解を深めて共感や楽しさを創出。ラリー文化の醸成を図っていくと説明した。
「伊勢神トンネルSS」は前回と進行方向を逆転
続いて登壇した高桑競技長からは、2025年大会のコース概要について説明された。これまでと同じく愛知県と岐阜県の5市1町で行なわれる大会では、4日間の競技でSS(スペシャルステージ)は20か所を設定して、16か所に観戦エリアを用意する。従来から全体の約25%について変更を行なう計画で、現時点ですでに95%が固まっており、これからも細かな部分についての微調整を続けていくという。また、前回大会で競技中のコースに一般車両が進入する大きなトラブルが発生したことを運営側としても重く受け止め、一般車両が入りにくいような形で安全対策に万全を期すコース設定を進めていると述べた。
新コースとなるSS14の「豊田市SSS(スーパースペシャルステージ)」は豊田市の市街地をコースとして利用するSS。これまでは豊田スタジアム内にコースを用意して競技を行なったが、今大会では夜の豊田市を駆け抜け、最後に矢作川に架かる豊田大橋付近でフィニッシュする設定。「ラリーマシンが市街地を走る非日常的なコースで、ライトアップも魅力のステージになる」と解説した。
同じく新コースであるSS8/SS13の「小原SS」では、林道を抜けた先に観戦エリアを設定。ハイスピードのラリーマシンを観戦できる魅力的なエリアになるという。
また、前回は夜間開催だった「岡崎SSS」は最終日の昼間にSS17/SS18として実施。岡崎中央総合公園が舞台になる点は変わらないが、コースレイアウトを変更する予定で、タイヤ交換を行なう「タイヤフィッティングゾーン」と合わせて観戦を楽しめるようにする。
ラリージャパンの初日にマシンの走行が始まるシェイクダウンの地として知られる鞍ヶ池公園では、同日の夕方に最初のSSとして「鞍ヶ池公園SSS」を実施する計画。「シェイクダウンと同じコースを使うということで、かなりエキサイティングな走行をお楽しみいただけると思います」と狙いについて説明した。
2日目のSS4/SS5となる「伊勢神トンネルSS」は、幅の狭いトンネルをラリーマシンが猛スピードで駆け抜けるラリージャパンの象徴的スポットの1つとなっているが、今大会では前回とは進行方向を逆転。これまでコースの後半に出てきた伊勢神トンネルが林道を抜けてすぐに突入するレイアウトになり、撮影スポットとしても新たな景色になることを想定しているという。
3日目のSS10/SS11となる「笠置山SS」も内容を変更。これまではジムカーナ場の「恵那笠置山モーターパーク」からのスタートとなっていたが、今大会では5km手前の林道からスタートして恵那笠置山モーターパークを経由していくスタイルとなり、緩やかなカーブを描く上り坂で速度を高めたまま施設に侵入していく場面も見どころになるとの考えを示した。
最終日のSS16/SS20「三河湖SS」は実施内容をキープして、「Jin-junction(神社ンクション)」の名称で話題となった熊野神社などの通過方向や観戦エリア設定も従来どおりを維持して、最終SSとなるSS20は上位フィニッシュでボーナスポイントを獲得できるパワーステージとして実施される。
「豊スタサービスパーク入場券」が付属する「豊田市SSS」観戦チケットは大人1万3000円/人、子供3500円/人
同日から一部の先行販売を開始した観戦チケットなどの紹介は小坂副会長が担当。まずは抽選となる先行販売が8月12日まで行なわれ、8月16日~19日の4日間にはラリーが行なわれる地元住民を対象とした「開催市町先行販売(抽選)」の申し込みを受け付け、8月23日から先着順となる一般販売がスタートする。
今大会で注目の観戦チケットとしては、新たに登場するSS14「豊田市SSS」の観戦チケットは、観戦チケットとして唯一「豊スタサービスパーク入場券」が付属して大人1万3000円/人、子供3500円/人。また、「豊田スタジアムサービスパーク入場券」は各日大人4000円/人、子供2000円/人となるが、4日間通し券となる「サービスパーク4日間セット入場券」は大人6000円/人、子供3000円/人の価格設定となり、2日以上見学する予定のある人にとってはお手ごろ感の高いチケットとなっている。
開催初日の会場となる鞍ヶ池公園の観戦チケットは、シェイクダウンとSS1の観戦をセットにした「鞍ヶ池公園SD&SSS」が大人1万5000円/人、子供5000円/人で販売。また、マイカーやレンタカーなどクルマを使って現地まで足を運ぶ必要のある山間部のSSについては、クルマ1台で乗り合い利用をした場合に料金が割り引きになる「同乗割引観戦券」を設定。クルマ1台に大人が1人乗車で観戦する場合は1万6000円だが、大人2人では2万6200円、大人3人では3万5500円と割引率が高くなっていき、大人5人乗車は5万円と1人あたり1万円まで価格が下がる仕組みとなっている。
このほか、多くの子供たちにラリーが持つ魅力に触れてもらうため、無料招待企画も実施。豊田スタジアムサービスパークでは、最終日の11月9日限定で先着1万人の親子無料招待を実施。同じく最終日に実施されるSS17/SS18「岡崎SSS」でも子供無料招待として先着1000人が無料観戦できる。
チケット販売と無料招待のいずれもチケットぴあの「FIA 世界ラリー選手権 フォーラムエイト・ラリージャパン2025特設サイト」で抽選申し込みなどを受付。また、8月23日からの一般販売はセブン-イレブンの店頭でも販売が行なわれる。
観戦体験をより特別なものにするホスピタリティ・プログラムでは、参戦チームのサービスエリア内に入ってプレミアムな体験ができる「チーム エクスペリエンス」(15万円/人)、山間部にある複数のSSを観戦できる「マウンテン エクスペリエンス」(12万円/人)、ラリードライバーが運転するラリーマシンに同乗してコース走行を体験できる「ラリーカー同乗体験」(3万5000円/人)などを同日から一般販売開始。
このほかの見どころとしては、ラリージャパン開幕前日の11月9日に豊田市の中心地となる豊田市駅前通りでオープニングセレモニーを初開催。ラリー本番に向けて来日した約50台のラリーマシンが展示され、誰でも無料で見学できる。
「夜開催の豊田市SSSはメンタルコントロールが重要」と梅本まどか選手
また、発表会の後半には、ラリードライバーの新井敏弘選手、コ・ドライバーの梅本まどか選手、声優の三木眞一郎さんをゲストとして招いたトークセッションも行なわれた。
まずは先に登場した新井選手、梅本選手の2人にピエール北川氏が質問する形式でトークセッションがスタート。かつては自身もWRCに参戦して世界各地を転戦していた新井選手は、日本でラリーを開催する場合の特色として「WRCは欧州がメインになっているので、日ごろは木が生えていない石ばかりのところを走っているんですね。それが日本だと木が多くて、しかも(ラリージャパンが開催される)この時期は紅葉しているので、そんな光景の中を走ることはないという点が特殊なところと、食文化もかなり違いますね。正直に言って欧州はあまりご飯が美味しくないんですよ。なので、皆さん日本に来るとご飯がすごく美味しいので、そこも楽しみにして来ている人も多いのかなと思います」と説明した。
コ・ドライバーの目線から、新コースなどの用意される今大会について問われた梅本選手は、「豊田市の市街地を走る新しいSSができると聞きましたが、しかも遅い暗くなった時間帯ということで、新しいステージはただでさえドライバーもドキドキしていますし、夜ということもあるのでメンタルコントロールが重要です。そして1日の最後に1本しか走れないSSというところも、ドライバーのメンタルコントロールが難しいんじゃないかと思います。そこが楽しみですね」と語り、「豊田市SSS」に注目したいと語った。
「市街地をありえないようなスピードでクルマが走り抜けていく光景を見ることができるのはラリーだけ」と三木さん
両選手に対する質問タイムに続き、三木さんも加わった4人でトークセッション後半が開始。
三木さんは声優としてアニメ「頭文字(イニシャル)D」で主人公の藤原拓海役を演じているほか、無類のクルマ好きとしても知られる人物で、ラリーについては「正直な感想としては、ぶっ飛んでますよね~。市街地もそうですけど、細い山道とかでもあのスピードでマシンをコントロールして、ストレートなんかだとそれこそぶっ飛んでいくところもあるわけじゃないですか。あれはもうとんでもない競技だなというところで、そんな発表会に私も参加させていただけて本当にうれしいです」と印象をコメント。
ラリーで魅力に感じる部分としては「まず、市街地をありえないようなスピードでクルマが走り抜けていく姿を見ることができて、しかも市販されているクルマと同じようなスタイルじゃないですか。そういった光景を見ることができるのはラリーだけだろうと思いますし、そのマシンを運転しているのは2人ですよね。普通のレースは1人でやって、何台ものマシンが一緒に走るんですけど、1台ずつ走っていくのもラリーだけなので、そういった部分も見ていただけたらうれしいなと思います」と語った。
また、声を武器として仕事をしている三木さんが参加したことで、コ・ドライバーである梅本選手にも声の使い方について質問され、「ペースノートを読んでもドライバーさんが聞き取れなければ意味がないので、ドライバーさんがどんなテンションで読んでほしいのか、どういう言葉で言ってほしいのか、どんな速さやタイミングで読み上げてほしいのかをいつも考えています。演技でもたぶん間がすごく大切だと思いますが、ペースノートを読むにあたってどこに間を作って、どういうふうに伝えるのか」。
「あと、伝えるだけじゃなく、コ・ドライバーはドライバーさんの息づかいも聞こえてくるんですよ。疲れてくると息づかいも荒くなってくるじゃないですか。テンションが高いときはなんとなく雰囲気で感じ取れたり、お互いにマイクを使っているのでいろいろなものが意外と聞こえてくるんです。なので、そういったものをちゃんと聞いて、この間でこうやって言ったらドライバーさんに届くかなと、毎コーナーで考えながら読んでいます」と梅本選手は答えた。
この梅本選手の回答を聞いて、新井選手もペースノートの読み上げについてコメント。「本当に間が重要で、コーナーが続いているようなときはドンドンと読んでいかなきゃならないんですけど、そのペースが早くなりすぎると、実際に走っているコーナーよりも3つぐらい先の情報まで読み上げられたりした場合にドライバーは自分がどこにいるのか分からなくなっちゃう。でも、遅くなればブレーキポイントから何から何までずれていくので、私の場合は『もっと早く!』とか『もうちょっと抑えて!』とその場で調整をかけます」。
「(コ・ドライバーが)下ばかり見て読み上げていくと、先に行き始めるとどんどん先にいっちゃうので、そのときは『先にいっちゃダメだよ』と手で合図します。WRCの選手でもけっこう手で『抑えろ』『早く』ってやってますね」と、ラリー中に車内で起きているできごとを紹介した。
7月17日~20日開催の「体感フェスin池袋」では新旧ラリーマシンも多数展示
このほか、ラリージャパン2025実行委員会は7月17日~20日の4日間、東京都豊島区の中池袋公園でラリーの魅力を紹介するイベント「体感フェスin池袋」を開催。新旧ラリーマシンの展示や会場限定となるラリージャパン観戦チケット販売(一部券種・数量限定)、公式グッズ販売、ヒョンデ シミュレーター体験などを行なうほか、特設ステージで三木眞一郎さんや芹澤優さんが出演する「声優トークステージ」、新井敏弘選手や梅本まどか選手が出演する「ラリークイズステージ」などを実施する。参加費は無料。
ステージイベントの実施スケジュールなどは、体感フェスin池袋のWebサイトを参照していただきたい。

























































