スバル、「次世代アイサイト」のAI開発にNVIDIA H200 GPU搭載「HPE Cray XD670」サーバー導入

スバル、次世代「アイサイト」向けAI開発にHPEを選択

　日本ヒューレット・パッカードは7月28日、スバルが「次世代アイサイト」のAI開発に向けて、HPE（ヒューレット・パッカード エンタープライズ）のハイパフォーマンスコンピューティング、「HPE Cray XD670」サーバーを導入したと発表した。

　スバルが導入した「HPE Cray XD670」は、直接液冷方式を採用し、「NVIDIA H200 GPU」を8基搭載、AIモデルのトレーニングや推論に卓越した性能を発揮するという。AI技術の性能評価の標準化を目的とする業界団体MLCommonsが主導するMLPerf Inference v5.0ベンチマークにおいて、トップクラスの評価を獲得している。

　また、スバルでは「HPE Tech Care Service」を選択し、HPEのエキスパートへのアクセスやHPEサポートセンターを通じたセルフヘルプツールを活用。HPEではこのサポートエクスペリエンスにより、ダウンタイムの短縮、運用の効率化、そして製品を最大限に活用してもらうことを支援する。

　スバルでは「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現に向けた取り組みの一環として、アイサイトとAIが融合する「次世代アイサイト」の開発をしている。次世代アイサイトでは、ステレオカメラで捉えた画像上で、対象物までの正確な距離の計測とAIによる対象物の分類を同時に実行し、あらゆる状況下でクルマの安全性を高めることなどを目指している。

　2020年12月には、ADAS領域におけるソフトウェア内製開発やAIによる画像認識を強化するための戦略拠点として「SUBARU Lab」開設。SUBARU Labの研究者・技術者は、世界中の様々な道で実際にクルマを運転して動画を収録していて、その画像データを使用して AIアルゴリズムの最適化や推論モデルに学習させるにあたって必要とされる強力な計算基盤を「NVIDIA H200 GPU」を搭載した「HPE Cray XD670」が実現するという。

　スバル技術本部 ADAS開発部 担当部長 兼SUBARU Lab 副所長の金井崇氏は「スバルでは、『0次安全』『走行安全』『予防安全』『衝突安全』『つながる安全』という5つの安全思想でクルマの総合的な安全性能を追求しています。お客さまに『安全』とその先の「安心」というスバルならではの価値をお届けするために、先進技術の開発にスピード感をもって取り組んでいます。省電力性能に優れたHPE Cray XD670 を導入したことで、既存システムの2倍の性能が実現され、オンプレミスでGPUリソースを存分に利用できる環境が整い、AIモデル開発の加速が期待されます」とコメント。

　日本ヒューレット・パッカード 代表執行役員社長 望月弘一氏は「スバルさまが取り組まれている安心して愉しく運転できるクルマ開発の主眼が死亡交通事故ゼロに置かれ、アイサイト搭載車の追突事故発生率が著しく低いことに感服しております。HPE Cray XD670は、トップクラスのGPUアクセラレーテッドサーバーであり、画像認識技術や大規模言語モデル（LLM）のワークロードにおける性能ベンチマークでも最高位にランクインしています。人の命を守る技術であるアイサイトの強化に本サーバーを採用いただいたことを誇りに思い、さらに貢献できるよう、ご支援してまいります」とコメントしている。