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ラリーカーにも水素燃焼エンジンを、トヨタが「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」をラリーフィンランドで世界初公開
2025年7月31日 11:41
フィンランドで世界初公開された「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」
トヨタ自動車は7月30日、水素燃焼エンジンを搭載したラリーカー「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」(以下、水素GRヤリス ラリー2)をラリーフィンランドが開催されているフィンランド ユバスキュラ市でお披露目した。水素GRヤリス ラリー2は、スーパー耐久に参戦している水素カローラと同様、水素を燃やして走る内燃機関(H2ICE、Hydrogen 2 Internal Combustion Engineと表記されることが多い)を搭載したレーシングマシンで、燃料電池を搭載して走るFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)と同様に燃料に水素を使うためカーボンニュートラル車両となっている。
システムとしては市販FCEVの「MIRAI(ミライ)」と同様に70MPaの高圧水素タンクを搭載(水素GRヤリス ラリー2での搭載数は2本)し、その圧力を元に直噴エンジンを成り立たせている。レーシングマシンで言えば気体水素カローラと同様のシステムであり、すでに富士24時間レースなどを完走するなど、トヨタにとっては手の内化しているシステムとも言えるものだ。
このユバスキュラ市にはTGR-WRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)の本拠地があり、トヨタがWRC(世界ラリー選手権)に参戦しているラリー1や、ラリー2もここで最終的に組み立てられている。
とくにユーザー向けに外販しているカスタマーレーシングカーである「GRヤリス ラリー2」は量産工程が組まれており、日本から輸送したホワイトボディを強化&加工、組み立てなど長いタクトタイムであるものの、TPS(トヨタ生産方式)を取り入れて工程の改善が図られている。
水素GRヤリス ラリー2も、GRヤリス ラリー2がベースのため、水素タンクや水素燃焼エンジンなどは日本から輸送されているものの、ユバスキュラ市のTGR-WRTで最終的に組み立てられており、海外においてもH2ICEと呼ばれる水素燃焼車が作られたことになる。
この水素GRヤリス ラリー2の世界初公開にはTGR-WRTのユハ・カンクネン代表代行も参加。カンクネン代表代行は、世界的なラリードライバーであるだけでなく、2022年8月に開催されたラリーベルギーにおいては、当時トヨタ自動車 社長であった豊田章男氏と同じシステムの水素GRヤリスをラリーステージでドライブ。欧州にH2ICEというカーボンニュートラルの方向性があることを示した。トヨタはル・マン24時間においても豊田章男氏のドライブでH2ICE車をデモしており、今度はラリー2というカスタマーレーシングの分野で水素の可能性を示したことになる。
GRヤリス ラリー2 H2コンセプトの発表時には多くの人が集まり、このH2ICE車を興味深そうに眺めていたのが印象的。7月31日には実際にエンジンを始動してのデモランも予定されている。
【お詫びと訂正】記事初出時、水素GRヤリス ラリー2での水素燃料タンク搭載数は1本としておりましたが、その後の追加取材で2本と判明しました。お詫びして訂正させていただきます。




