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勝田貴元選手、WRC第9戦ラリーフィンランドで2位表彰台を獲得 好成績の理由をリモートインタビューで語る

WRC第9戦ラリーフィンランドで2位表彰台を獲得した勝田貴元選手

勝田貴元選手、WRC第9戦ラリーフィンランドで2位表彰台獲得

 WRC(世界ラリー選手権)第9戦ラリーフィンランドが7月31日~8月3日の4日間にわたりユバスキュラ市を中心に開催された。TOYOTA GAZOO Racingはこのラリーフィンランドでトップ5を独占。1-2-3-4-5フィニッシュを決めた。

 地元出身のカッレ・ロバンペラ選手が地元のラリーで初優勝し、ユバスキュラ市を第2のふるさとといつも語っている勝田貴元選手が2位に入った。とくに最終日となった8月3日は、今大会最長となる23.98kmの「オウニンポウヤ」がSS19とSS20に用意され、SS20は最終ステージとなるためパワーステージとしても設定された。

TOYOTA GAZOO Racingは表彰台を独占し、1-2-3-4-5フィニッシュを決めた

 この最終ステージはTOYOTA GAZOO Racingドライバーのタイムの出し合いとなり、ラス前のスタートとなった勝田貴元選手がトップタイムでゴールするとオウニンポウヤのゴール前は大歓声に包まれた。そして、ラストの走行となったロバンペラ選手がそれを上回るタイムで走行。地元フィンランドの英雄を迎える観客の声援は最高潮に達し、ラリーフィンランドの締めくくりを飾った。

 今シーズン2度目の2位表彰台獲得なった勝田貴元選手の日本メディア向けリモートインタビューが月曜日に行なわれた。本記事では、そのリモートインタビューを全文掲載する。

勝田貴元選手の日本メディア向けリモートインタビュー、全文掲載

勝田貴元選手:よろしくお願いします。みなさん月曜日、日本は夜だと思うんですけど集まっていただきありがとうございます。今回WRC第9戦、ラリーフィンランドの振り返りということでまず、結果的には総合2位でフィニッシュすることができ、チームとしてもワン・ツー・スリー・フォー・ファイブという非常にいい結果で。

 ここフィンランドはチームのホームラリーでもありますし、僕としてもセカンドホームラリーという感じですごく大事なラリーだったので、このような結果で終わることができて、すごくうれしく思っています。

 自分としては、やはりここでいい結果を出すというのが、後半戦に向けてももちろんですし、来季に向けても非常に重要な1戦だとラリーが始まる前から感じていて、その分、もちろんプレッシャーもありましたけど、しっかりと結果につなげることができて。

 ラリー中いろいろありましたけど、よかったかなと思っています。

 まずエストニア終えて1週間ほどしか時間がない中で、チームとテストをしながらこのラリーに臨んだんですけれども、テストの段階から新しいクルマのセットアップの方向性だったりとか、そのあたりをいろいろ試していって、僕が2日目のテスト、ドライバーが5人いる中で2日目だったので、結構いろんな方向性を本当にランダムに。ランダムではないですけど試しながらトライしていく上で方向性がだいぶ見つかって。

 その後、カッレ(カッレ・ロバンペラ)、セブ(セバスチャン・オジエ)、サミ(サミ・パヤリ)とテストしていく中で、より方向性が固まって、それぞれのドライバーの好みが決まっていったような感じで。最終的にはセットアップに関しては、自分が自信を持てる……自信を持てるというよりはテストで使ったセットアップと、テストでまったく使わなかったものと、ちょっと分けて。

 ちょっと賭けではあったのですけど、それを入れるような感じにしてシェイクダウンからトライしながら微調整していくというような、そんな流れでまず挑んでいきました。

 シェイクダウンに関しては、走り始めまったく使ったことのないセットアップから始めていったんですけど、乗り味がやはり全然違って。タイムこそ2番手タイムだったと思うんですけど、フィーリングがやっぱり全然動きが違って、すごいフィールがわるくて。自分としてはこれだとプッシュした分はよくてもプッシュできないなっていう感じだったので、その後ちょっといろいろ探りながら、3回目のときに自分が一番自信を持てるようなセットアップに戻して、そのほかの部分、細かい部分に関してはまた微調整をしていった上で、一番いいフィーリングが得られたので、そこで最終的なシェイクダウンでのトップタイムが出たかなというふうに思ってます。

 ラリーが始まってからは、雨が降ったり止んだり、特に午後、そんなコンディションが続いたのですけど、どちらのコンディションも乗っててフィーリングはわるくなくて。やはり、なんですかね、ときにアンダーステアが非常に強くなってしまう傾向があったので、そういうときにちょっと無理しないような形で、そこでも最小限にタイムのロスを抑えてっていうところを試みて走っていたんですけど、そこでのアップダウンがありながら初日、金曜日は総合4番手で終えました。

 自分的にはトップタイムを出したステージがあって、あと2つぐらいのステージですかね。コンマ1秒差で2番手タイムとかだったんですけど。自分としては安定して高いスピードをキープできていたような感覚だったので、あとはちょっともう一歩自分の中で足りない部分、クルマの方でもちょっとほしい部分っていうところを、土曜日の1日の中、流れで試していきたいなという感じで、金曜日、まず初日を終えました。

 土曜日に向けて、金曜日のフィーリングを踏まえて、簡単に言うとクルマをもっと固めた方向に振っていきたかったんですけど、夜に強い雨が降ったとウェザークルーから聞いていたので、そこに関してはちょっとナーバスな状態というか、気持ち的にあんまり固く行きすぎると、やっぱり濡れていたり泥が出ていたりするときに、どうしてもグリップを得られない状況になってしまうので。

 そこをどちらかというと消極的になって、あまり思い切った方向で振っていけず、むしろちょっと柔らかくしていくような感じでいったんですけど。

 それの影響で土曜日の1本目、かなり乗り味がわるくて、最後ちょっとロスしてしまって。その後微調整していきながらタイムは上がっていったんでわるくはなかったのですけど、自分としては何とか少なくとも2番手のところに収まりながら、トップのカッレに10秒以内でついていきたいなっていうような感じだったので。

 ちょっとそれが現実的に、この調子のフィーリングだと難しいなっていう流れというか状況になっていったときに、ライバル勢のパンクもあったりとか、あとは……。そうですね結構岩が所々出てきたりとか、ハイスピードなラリーなので、やっぱりどうしても岩にちょっと引っかけるだけでも結構大きなインパクトだったり。そういうものにつながってしまうので、そこら辺ちょっと自分も気をつけながら、リスクマネジメントをしながらという感じで。

 ライバル勢が脱落して2番手に上がってからも、そこを意識しながら走るような感じで。あとセブとエルフィンが後ろから追ってきている状況ではあったのですけど、ペース的に自分の方があるという自信があったので、そこはあんまり無理しすぎずに、あえてちょっと落として、リスクがあるところはペースを落として、いけるところでプッシュするというような感じで何とか3日目、土曜日を2位で終えて。

 最後、日曜日が今年初めてのフォーマット、今年というか今までで初めてのフォーマットで、1つのステージを2回走る(SS19とSS20の「オウニンポウヤ」)というようなフォーマットだったんですけど、そんなフォーマットも僕としてはありがたいというか。

 かなり僅差だったので、「オウニンポウヤ」は23km超のハイスピードステージなので、少しでも躊躇すれば簡単にひっくり返ってしまうような。もちろんセブもエルフィンもチャンピオンシップを戦っている最中で、彼らも1秒差ぐらいのギャップで戦っていたので、少しでもちょっと躊躇したら多分やられてしまうかなっていう、そんな状況だったんですけど。本当に最終的にいろいろ試して、週末通していろんな方向性のセットアップを試していった結果、最終的に自分でもベストのクルマのフィーリングを得ることができて。

 ベストのフィーリングを得たクルマで最終日にのぞんだので、走り始めから結構フィーリングがわるくなくて、その中であんまり無理しすぎないように。ただ最小限にロスを抑えたいっていう感じで、1ループ目(SS19)走ったんですけど、そこでトップから1.7秒落ちの4番手だったので、このペースだったらいけるなというようなそんなフィーリングでパワーステージ(SS20)に挑んだっていう感じです。

 パッケージに関しては、自分としては本当にいつもパワーステージのときにするような、かなり限界のプッシュというよりかは、ある程度コンフォータブルというか、安定させた上でプッシュするというようなところを意識して走ったんですけど、そこでタイムも結構わるくなくて。

 ちょっと1箇所大きなミスをしてしまってタイムロスをしてしまった部分あるんですけど、それ以外は結構うまくまとめることができて。パッケージ自体も総合2番手で、結果的にも総合2番手でフィニッシュすることができました。

 クルマのフィーリングも先ほど言ったように、日曜日に向けて非常によい状態で持ち込むことができたので。もちろん、金曜日、土曜日とよかったりわるかったりっていうのはあったのですけど、全体としてはすごくいい流れを作ることができて。

 自分自身も対ワールドチャンピオンと、エルフィン、いつでも勝てるようなドライバーたちとの戦いを何とか前で抑えたまま、フィニッシュすることができて、一つの自信にもつながったかなというような流れになりました。

 自分個人としては、ここ(ユバスキュラ市)に、セカンドホームラリーに戻ってきて、表彰台にまた乗ることができたこともすごくうれしいですし、トヨタチームのワン・ツー・スリー・フォー・ファイブという結果もそうですけど、それ以上にまずカッレがホームラリーで優勝したっていうこと、それが非常にうれしかったです。

 個人的にも非常に仲がよいですし、それ以外も、何ですかね、いろんな形でサポートし合っているので。そういったところは自分としてはすごくいい雰囲気で最後まで走ることができたかなと思ってます。

──勝田さんお疲れさまでした。おめでとうございます。同じようなハイスピードのグラベルラリーということでエストニアとフィンランド。近い部分もあると一般的に思われているのですが、そのエストニアで勝田選手だけでなくトヨタ全体が苦戦して。しかし一転してこのフィンランドでセットアップを変えたとはいえ、真逆の好調だったということで。何が一番大きかったのかなと。例えば勝田選手の場合ということでも結構ですので教えていただければと思います。

勝田貴元選手:まずエストニアに関しては本当に大苦戦っていう感じで、全然スピードを上げていくことができず、その中でも個人としては苦戦している中で。カッレとずっと同じようなペースで走ってたので。クルマがある程度改善していけばよいパフォーマンスを発揮、フィンランドで発揮できるなという感触はあって。

 エストニアとフィンランド同じ高速ラリーとはいえ、まったくクルマに対して求めるものが変わってくる部分もあるので。

 基本的なベースは、ルーズグラベルラリー、ポルトガルだったりイタリアだったり。あちらに比べると違う部分があるんですけど、どちらかというとフィンランドの方がキャンバーがかかってるコーナーがあったり、オフキャンバーになっているコーナーがあったり。

 エストニアはハイスピードな上で割と平らというか。ごめんなさい、ちょっと言い方が難しいのですけど、フィンランドの方がかまぼこ状になってる道が非常に多くて、そこに対してクルマのセットアップだったり、クルマのフレキシビリティとか柔軟性っていうところを少しアジャストしていかないといけないので、そこら辺が難しい部分があって。エストニアとまったく同じセットだとうまく走れなくて。

 逆に言うと、エストニアで全然駄目だったセットアップでも、フィンランドだったらまだ何とかなるというような感じが見えたので。エストニアで明らかにちょっと足りない部分があって、

 そこをちょっと補った方向性、もう少しリアの柔軟性を増やしたような感じでやったことで、トラクションをより得ることができて、かつハイスピードでのサポートも得て、いいタイムにつなげることができたかなと思っています。

 やはりそこに関しては、チーム全体としてすごく濃い短い1週間という短い時間の中で、ものすごい時間をかけて全ドライバーがすごい集中していろんな方向性を試した上で、今回何とか戻すことができたので、すごくよかったかなと思っています。正直、僕だけじゃなくて、チーム、カッレもセブもエルフィンも、ペース的にはヒョンデに勝っているとは全然思ってなくて。むしろ負けてると思っているので。結果的にワン・ツー・スリー・フォー・ファイブでしたけど、結果だけじゃない部分、ピュアなスピードだけの部分では、まだやばいなっていう部分、危機感を持っている部分は、エンジニアたちも含めてあるので。

 ほかのラリーもそうですけど、結構今までも結果だけで見ると、トヨタが最終的に上なので速いというイメージを持たれがちなんですけど、スピードだけで言うとヒョンデが全然速い場面がどこのラリーでも多いので、僕たちも結果がよかったからとはいえ、集中してさらに改善していかないとまずいなという危機感を持っているような状況です。

──トヨタは土曜日の時点でトップ5を独占していました。日曜日のSS19とSS20では非常にみなさんタイムを出し合ってアグレッシブな戦いをしていた印象があります。そこに関して、ユハ・カンクネンチーム代表代行から具体的なアドバイスなどがあったのか教えてください。

勝田貴元選手:はい、ユハさんは基本的に僕たちを信頼してくれていて。あらゆるときに「どうしろ、ああしろ」はまったくなくて「よかったよ」とか、「無理しなくて大丈夫だよ」とかそういった声掛けをいつもしてくれるような感じなので。いろいろな経験値を持ってる人で、僕たちが何をしているかっていうのを一番理解してくている人でもあるので、何かそういった、何て言うんですかね。すごく寛大に見守ってくれている、そんなイメージですね。

──(順位を固定する)チームオーダーはなかったという理解でよろしいですか?

勝田貴元選手:チームオーダーとかそういうのはまったくないです。

──勝田選手お疲れさまです。1つ前のエストニアに戻りますが。チャレンジプログラムの後輩たち、今回、2期生の山本選手が初めてステージウィンをマークして、その前のエストニアでは松下選手がWRC3の優勝という活躍を見せていますが、チャレンジプログラムの後輩たちの成長をどのような気持ちで見てらっしゃいますか。

勝田貴元選手:まず2期生の山本くんからなんですけど、簡単ではないラリーが続く中で本人もよかったりわるかったり、経験不足からくる部分も一杯あったとは思うんですけど、何か自身を持てない部分もある中で、しっかりとこのハイスピードラリーに戻ってきて、スピード、彼が持ってるスピード、今持ってるスピードっていうのをちゃんと示した上で、このホームラリーのフィンランドで、ルーヒマキ(Ruuhimäki 2)でトップタイムを出したっていうのはすごく本人の自信につながるいい機会だと思います。フィンランドはトップカテゴリーのWRCも、WRC2も、どちらもカテゴリーもそうなんですけど、ステージの特性上、コーナー一つ一つ本当にどれだけいけるかっていうとこだったり、本当に限界で走り続けないとやっぱタイムが出ない。そういうステージなので、スピードを証明できるっていうのはすごく何か自身につながって。

 自分がそうだったという経験から話すと、そういった自信があると焦ることもなくなっていきますし、一つ一つ自分に必要なものをステップを踏みながら補っていけると思うので。

 僕も全部ステージをじっくり見たわけではないんですけど、すごくいいラリーだったんじゃないかなと思っています。

 3期生の松下選手と、後藤くんですね、普段正太郎って呼んでいるんで。2人ともエストニアでの結果、もちろん松下くんが優勝して、結果もよかったと思うんですけど。

 ピュアなスピードだけって言っても、彼らは2人ともものすごくいいスピードを持っているってのは前からずっと見てて思っていて。ローカルラリー、WRC3のカテゴリーとはいえ、やはり経験がまだそこまでない中で、ハイスピードのラリーだったり、いろんな道を走っていく上で高いパフォーマンス、いいスピードを発揮するって簡単なことではないので。

 すごく本人たちもがんばっていると思いますし、成長曲線っていうんですか、すごく急激に伸びていて、わくわくするような感じでいつも見てました。

 後藤くんに関しては、エストニアはちょっと残念だったんですけど、2人ともものすごいいいスピードを持ってるので、WRC3で優勝と、後藤くんはデイリタイヤしてしまいましたけど、すごい期待を持てるパフォーマンスを発揮していると思うので。

 日曜日も確か全部トップタイムだったんじゃないすかね。確か後藤くんは。

 僕はそこも含めて、リタイアした後ってどうしてもドライバーって消極的になりがちなんですけど、そういうところを臆することなくリタイアした後も攻めて、トップタイムバンバン出して走っていたので。

 ジュニアWRCが今回入った中で、そのカテゴリーのトップとの差ってのは今回見えたと思うんですけど、そこを見ながら、今の成長曲線でやっていけば、すごく短い期間でかなりいいところに行くんじゃないかな。僕も楽しみにいつも見させてもらってます。

 もちろん僕も2期生、3期生、今4期生が今年からフィンランドにやってきて、彼らもがんばっているので、しっかりと自分が結果を出してつなげることで、彼らにつなげやすい、たすきを渡しやすいような、道を切り開けるように。

 自分がしっかり結果出し続けていれば、自分も同じ土俵で戦うことができると思うので。

 もちろん彼らもこれからまだまだやるべきことが多分あると思うんですけど、そういった状況がうまく噛み合って、トップカテゴリーで一緒に戦うことになれば、それはそれでものすごく日本にとっても、本当にモータースポーツ界にとっても、新たな何か楽しみが増えるというか。僕はそれをすごく期待しているので。

 期待と、自分に対してもっとがんばらないとなと思っています。

──ちょっとフィンランドの話に戻るんですが、エストニアの最終ステージでリタイアされてたかと思うんですけれども、その辺りっていうのはフィンランドでの戦いを意識した戦略的なものだったのでしょうか? それに伴い、そのエンジンだったと思うんですが、これがフィンランドでどのぐらいまで新しい状態で挑まなければならなくなったのかというのを教えていただきたいのが一つです。それともう一つが、ロバンペラ選手と一緒に表彰台に行くっていうお話をされてたというのが、中継映像見て何回か出てきたんですけれども、その辺のお話のディーテールを教えていただけませんでしょうか?

勝田貴元選手:まずエストニアに関してなんですが、エンジンに乗っていてフィーリングはそんなにシェイクダウンの段階でわるくなくて。シェイクダウンもエストニアは2番手だったのでわるくはなかったんですけど、データを見たときになんかちょっと伸びていない部分があったり、ちょっと変な部分があったので。ちょっと様子を見てもらっていて、それが土曜日にどんどん自分の乗ってても、多少感じてくるぐらいエンジンの調子がわるくなってきてしまって、エンジンをいろいろチェックしてもらった結果、残念ながら日曜日のパワーステージの前にリタイアするということになりました。

 というのもレギュレーション上、パワーステージを走り切ってしまうと、エンジンとか、次のエンジン……1年間に2基エンジンが使えるんですけど、その2基をローテーションしていくような感じなんですね。その2基をローテーションしていく中で、もし1基壊れてしまったりしたときに、もう1機だけで残りのラリーを回していかないといけないんですけど。さらに1台必要なときはパワーステージを走り切ってしまうと新しいエンジンが得られないっていう特殊なルールがありまして。パワーステージを走らずにリタイアすると、新しいエンジンが得られる、または5分のペナルティという、ごめんなさいちょっと詳しくは……そういったレギュレーションになってます。

 そういったレギュレーションがあるので、僕はエストニアの場合はマニュファクチャラー登録で3台目として走っていて。フィンランドに関してはリタイアすることは個人としてはあまり関係がなかった要素。というのはドライバーにエンジンが2基付属しているわけではなくて、クルマに対してエンジンが2基付属しているので、セブのエンジンがフィンランドで、そのエンジンで走るのか?というような状況の中で、リタイアしたことによってセブが乗るフィンランドのクルマに新しいエンジンが乗ったという。そういう状況なので、自分としてリタイアしたからエンジンが変わったというわけではなくて、元々別の車両というような感じになる。

 ちょっと説明が難しいんですけど、そういった状況です。自分としてはリタイアしたから自分がどうなったというのはあまり関係がないということが言いたかったです。

──ロバンペラ選手と一緒の表彰台に上がるというところのディテールを教えてください。

勝田貴元選手:フィンランドは彼ももちろんホームで、僕もセカンドホームで。前々からここで一緒に表彰台に乗るっていうのが、僕たちプライベートですごく仲がいいので、前々からずっと喋っていて。今年こそはっていうようなそんなお話です。

──フィンランドすごいいい結果になったと思うんですけど、今シーズンレギュレーションが大きく変わって、ハイブリッドがなくなって、タイヤのワンメイクメーカーもハンコックに変わって。チームが昨シーズンと比べて苦労したところ、勝田選手が個人的にちょっと苦労しいてるところとかあれば教えてもらいたいと思います。

勝田貴元選手:まず一つ。僕たちのチームだけではなくて、全チームだとは思うんですけど、苦労している難しい点っていうのが、ハイブリッドが下りたというのはあんまりわるい影響はなくて、むしろ簡単になったというかドライビングも楽になりました。

 ただそれ以上にタイヤが変わったことで、クルマのバランスだったりとか乗り味だったりとか、セットアップで求めていく部分っていうのが、だいぶグラベル連戦が今回まで続けている中で、昨年までと全然違うフィーリング、セットアップというような印象を受けるので、そこが今でもすごく難しい部分かなと思っています。

 ドライビングも、僕もそうですしカッレも、ドライバーもかなり抱えてるような気がします。

 少なくとも僕は昨年までとは全然違うドライビングになっていますし、意識する部分が変わっているので、そこはちょっと今でも難しいですね。

──ありがとうございます。それは具体的にグリップ限界が違うとかそういうところなんですか?

勝田貴元選手:グリップの限界というよりもタイヤの動きというか、得意なところ。というのはハンコックのタイヤがわるいとかいいとかそういった意味ではなく、ハンコックのタイヤの方が簡単に言うともっと縦に使わないといけないイメージですね。横に使える割合が今までのタイヤに比べて少ないような印象を受けるので。とにかく縦に縦にタイヤを使っていくイメージを意識するようにしてます。

 セットアップも同じで、横方向にあまり負荷をかけ過ぎても、それによってグリップが得られた部分が得られなくなっているというような印象を受けるので。そこがすごく自分としてはまだ難しい、この2戦を終えてハイスピードのフィーリングが分かったんですけどパラグアイ、チリになるとまた違うと思うので。そこがちょっと難しいです。

──ありがとうございます。あと一つなのですけど、2位を何回か繰り返して、もう目指すのは本当に頂だけだと思うのです。自身で何が足りないかなとか、そういうのって自分的には何かありますか?

勝田貴元選手:そうですねぇ、そのときによって足りないものって違うと思っていて、今回よりも明らかにスウェーデンの方が可能性的にはあったという。同じ2位でも可能性はあったと思っていますし。ただ同じ2位という結果でも、内容はやはり多少異なってきたり、ここでもっといくべきだったっていうポイントもやっぱり変わってくるので、その時々によって違うんですけど。

 自分はもうあとは、こういった安定した速さをずっとキープしながら、うまく駆け引きをしていく。より高いパフォーマンスでずっとクルマに自信を持って走れれば、今回のカッレがそうだったように、ずっとそのペースで走ることでギャップをよいときに作れて、そのギャップをうまく活用しながらコントロールできるようなラリーができると思うので。

 もちろん自分でそういった状況を作るっていうのも一つの方法だったりもするんですけど、ライバル勢も、4人のワールドチャンピオンとエルフィンという今はチャンピオンシップをリードしているドライバーでもあり、本当にそういったメンバーの中でやっていると簡単ではないので、僕も簡単には思ってはいないんですけど、それをとにかく続けていくことが今は最優先事項というか。勝とう勝とうと思うより、そこを続けていった上で勝てるチャンスが来たときに獲りに行くというようなことを続けていきたいなと思ってます。

──少し話が戻ってしまうのですけど、先ほどロバンペラ選手と一緒に表彰台に上るというお話があったと思うんですけれども、実際に約束を果たして(フィンランド)ラリーの後、ロバンペラ選手がどんな様子だったのかっていうのと、2人でどんなお話をされたかっていうのが一点。もう一点、母国という意味でいうと少し先になってしまうんですけれども、ラリージャパンがこの後あります。ラリージャパンに向けた勝田選手の意気込みを教えていただけたらと思います。

勝田貴元選手:昨日もラリーが終わってから一緒に、自分とカッレとカッレの友達と僕の友達、共通の友達がほとんどなんすけど、チームのメンバーとお祝いをして、ラリーの話を一杯するというか、本当にただプライベートの楽しい時間を過ごすような感じなので、今後に向けて、同じような結果をまた続けられるようにっていうような話ですかね、基本的には。

 あとは、ごめんなさい。ラリージャパンに向けてなんですけど、まだグラベルも連戦残ってますし、セントラルヨーロッパという、ジャパンとはまた違うタイプのラリーが入ってくるので。

 今年の状況を見てると、やはりタイヤの特性、タイヤの違いってのがものすごく重要で、今までのセットがあまり有効活用できる部分が少ないような気がしてきているのです。

 テストからしっかりといいところを見つけて、今まで絶対ないと思ってた方向でも試していくことで、何か新しい方向性とか、いいものっていうのが見つけられるんじゃないかなというふうに思ってます。

 そこをちょっと集中してやっていって、ラリージャパンまでにいい状態でクルマを持っていって、自分のポテンシャルを持っていって。もちろんラリージャパンでは優勝を目指して、全開で走り切るだけなので。

 昨年、自分がそれをできなかったんですけど、そこに行くまでによい状態に自分をまず持っていきたいなと思ってます。

──フィンランドは特別な場所だと思うんですけれど、今回走られて、何かフィンランドに来て町からとか人からとか、何かエネルギーをもらったなというような出来事だったり、貴元さんの気持ちとしてフィンランドでラリーをするとき、どんな感じだったんでしょうか?

勝田貴元選手:今はもうユバスキュラ市には住んでないんですけど、それでもフィンランドのファンの人たち、フィンランド人のファンの人たちは今でも自分を同じフィンランド人ドライバーと同じように扱ってくれるというか、そんなやっぱ感覚はすごくあって、表彰台だったりとか、ロードセクションだったりとか、どんな場面でもすごくホームって感じるぐらいすごい数の人が応援してくれて。

 そこは自分でもいい意味ですごいびっくりしてる部分があって……。

 何かそこは本当にここをフィンランドでラリーのすべてを学んで。日本人ですけど、ラリーのキャリアに関しては僕は多分フィンランドですべてを学んできたって言っても過言じゃないと思っているので。すべて学ばせてもらったこのフィンランドの地で、フィンランドの人たちが応援してくれて、早くそれをさらによりよい結果で何か返せるようにしたいなと。

 今回はフィンランドのヒーローであるカッレが初優勝ということで、多分フィンランド人のファンの人たちにとってうれしいことだと思うんですけど、その次に2番手でフィニッシュできたっていうのは、僕としてもすごくうれしかったですし、きっとファンの人たちもよろこんでくれたと思うので。

 何かそれをすごく今まで以上に感じましたね。フィンランド人のファンの人のサポートっていうか。だからすごくびっくりというか、うれしかったです。

──以前お話うかがったときに、タクシー乗ったときの運転手さんに声かけられたとか、そういうお話も聞いたことがあって、やっぱり街の人たちがすごい貴元さんを大事にしてるんだなっていう。何かそんなことがあったんじゃないかなと思います。

勝田貴元選手:いや、もう、どこに行っても、もうすごい何か応援をしてくれてもう本当にただただびっくり。びっくりというか、こんなに応援してくれるのかと自分がちょっと恐縮しちゃうようなぐらい会えたので、すごくうれしかったですし、ありがたかったですし、すごくモチベーションにつながりました。