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富士の“頭文字D”イベントに展示された復刻版4A-GE型エンジン部品は、縦置きも横置きも可能な仕様だった
スーパーチャージャーの出力も考慮
2025年9月13日 19:48
AE92型後期のタンブル流で燃焼する復刻版4A-GE型エンジン
TOYOTA GAZOO Racingが取り組んでいるGRヘリテージパーツ、9月10日に発表されたAE86型「カローラレビン」「スプリンタートレノ」用の「4A-GE型」エンジン部品2点が大きな話題となっている。
詳細は関連記事でもお伝えしたので、本記事では9月13日~14日に富士スピードウェイで開催されている“頭文字D 30th Anniversary 2days”での展示時に知ることができた追加情報をお届けする。
この復刻のターゲットとなるのはAE86型「カローラレビン」「スプリンタートレノ」となるのだが、4A-GE型エンジンの復刻部品である「シリンダーヘッドSUB-ASSY」「シリンダーブロックSUB-ASSY」の設計の元となっているのはAE92型後期に搭載された4A-GE型エンジンになるという。
AE86型と同時にデビューし、“ツインカム16バルブ”をウリとした4A-GE型エンジンは、1気筒あたり4バルブという当時としては高度なメカニズムを採用しており、排ガス規制にも適合。広い回転域で燃焼を安定させる必要があった。
そこで採用されていたのが可変吸気システムであるT-VIS(Toyota Variable Induction System)。低回転域では2ポートある吸気バルブの片側を閉じることでスワール(横渦)を発生。高回転域では、2つのポートを使って出力発生に必要な空気量を確保していた。
ところが次世代のFFスポーツとなったAE92では、縦置きだった4A-GE型エンジンを横置きにしたほか、AE92後期型ではT-VISを廃止して、吸入空気の考え方を変更。横渦であるスワール流ではなく、縦渦であるタンブル流を発生させて燃焼させる方式となっている。
現在のトヨタエンジンは、ダイナミックフォースエンジンに代表されるように直噴システムとの相性もよいタンブル流が基本となっており、ちょうど4A-GE型の時代に、燃焼の考え方が変わっていったものと思われる。
今回の復刻版シリンダーヘッドは、当時の図面も社内になかったため、4バルブ4A-GE型最終型であるAE92型後期を元に作成。タンブル流をベースとした燃焼を目指している。しかしながら、そこへ現代の知見を投入。吸気ポート形状の見直しにより、よりタンブル流が発生しやすいように形状を改良。より吸気バルブの点火プラグ側に空気が流れるようにしてある。
シリンダーブロックSUB-ASSYは横置きも可能に、出力想定はスーパーチャージャークラスを見込む
シリンダーブロックSUB-ASSYも各部の肉厚化を図るとともに、金属の材質も変更。より強度のあるものへとなっている。
さらにAE86型「カローラレビン」「スプリンタートレノ」用としてうたっているものの、シリンダーブロックは横置きにも対応。つまり、AE92型の「カローラレビン」「スプリンタートレノ」向けに使うことも可能としている。
また、レビンはAE101型で1気筒5バルブの20バルブとなっているが、復刻版シリンダーブロックには、この20バルブヘッドも取り付けられるという。ただ、1気筒5バルブエンジンではオイルジェット機構がシリンダーブロック側に付いていたが、復刻版のシリンダーブロックは4バルブエンジンでの使用を前提としているため、そのような機構はついていない。あくまで物理的には接続できるというレベルとのこと。
そして横置き対応で気になるのは、AE92型トレノ/レビンやAW11型MR2に搭載されたスーパーチャージャーへの対応。こちらは、スーパーチャージャーの出力への対応は考慮されているとしつつも、クルマへの取り付けの検証までは行なっていないとのこと。補機類を取り付けて、実際にクルマのエンジンコンパートメントに入るかどうかの検証はしていないという。
スーパーチャージャー版で気になるのは圧縮比の違いだが、その点については元となる4A-GE型も燃焼室の変更は行なわれておらず、ピストン部品の変更で圧縮比を下げ(過給に対応するため、一般的に圧縮比は自然吸気より低下させる)て対応しているため、このシリンダーヘッド、シリンダーブロックの組み合わせは使うことが可能なようだ。もちろん、前述のようにトヨタでは何も検証していないため、当然ながらそのような使い方を想定しているわけではない。ただ、技術と努力がある方からすれば、可能性のある部品に見えるということになるだろう。
気になる価格は、シリンダーヘッドSUB-ASSY、シリンダーブロックSUB-ASSYそれぞれ税込みで69万3000円。ただ、生産数によってここから下がっていくとのことで、注文数しだいで変動していくことになる。
















