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ヒョンデ、「CEO Investor Day」で2030年に向けた新たな成長戦略と製品ロードマップを公開
2025年9月23日 07:02
- 2025年9月22日 発表
Hyundai Motor Companyは9月22日、韓国外で初めて開催された「CEO Investor Day」で成長戦略を発表した。このイベントは、投資家やステークホルダーに向けて中長期的な戦略を共有する場として開催され、製品拡充、生産体制の強化、技術革新に対する同社の強いコミットメントが示された。
ニューヨークで登壇したホセ・ムニョスCEOは、戦略的な製品拡大、先進的な電動化技術、自動車体験を再定義するソフトウェア定義型機能を通じ、Hyundai Motorをグローバルなモビリティリーダーへと変革させていくビジョンを語るとともに、「自動車業界が未曾有の変革期を迎える中、ヒョンデは魅力的な製品群、柔軟な生産体制、技術リーダーシップ、優れたディーラーネットワーク、そしてグローバル規模という独自の強みを兼ね備えており、競争に勝ち抜く絶好のポジションにあります。当社はあらゆるセグメントで電動化モデルを提供し、主要市場での現地生産を推進し、ソフトウェア定義型車両から次世代バッテリに至るまでの革新的技術を活用しています。迅速な適応力、Hyundai Motor Groupの50社以上の関連会社の総合力、そしてお客さまへの揺るぎないコミットメントによって、当社はステークホルダーに対し大きな価値を提供し続けます。ヒョンデとともにある今こそ、素晴らしいタイミングです」とコメントした。
Hyundai Motorは2030年までに世界販売555万台を達成する目標を改めて表明。そのうち電動化車両は全販売台数の約60%にあたる330万台に達する見込みで、特に北米、欧州、韓国市場での大幅な成長が期待されている。
同グループの製品ポートフォリオは、2030年までにハイブリッド車のラインアップを18車種以上へと拡大する計画で、2026年からは「Genesis(ジェネシス)」にもハイブリッドモデルを投入。次世代「TMED-II」技術を採用した新型「Hyundai Palisade Hybrid」を投入し、さらなる性能向上と燃費改善を実現する。
さらに、2030年までに北米市場で初の中型ピックアップトラックを投入する予定で、2021年に「Santa Cruz」を導入して以来、同市場で培った経験とブランド認知を背景に、米国自動車市場の中心的セグメントでの存在感拡大を図っていく。
EV(電気自動車)戦略では、各地域市場に特化したモデルを展開。欧州市場向けには、大衆市場をターゲットに次世代インフォテインメントシステムを搭載する「IONIQ 3」を導入。インド市場では、現地ドライバーのために特別に設計された同国初のEVを投入し、現地サプライチェーンも活用する。中国市場には現地生産の「Elexio SUV」とCセグメント電動セダンを導入し、同市場へのコミットメントを示す。これらの新モデルは、「IONIQ 5」「IONIQ 6」「IONIQ 9」を含む既存EVラインアップを補完し、多様な市場の消費者に幅広い選択肢を提供するとのこと。
加えて、高性能バッテリとモーターを組み合わせ、最適化したバッテリとエンジンの統合によって航続距離600マイル(約960km)を実現するExtended Range EV(EREV)を2027年に投入する予定。ヒョンデ独自のEREVは内製の高性能バッテリを活用し、バッテリ容量を半分以下に抑えながらフルEV並みの性能を発揮。優れた航続距離と走行性能を両立し、いわゆる「レンジアンクザイエティ(航続距離不安)」を解消するとした。
また、HMGMA(Hyundai Motor Group Metaplant America)の第2フェーズ拡張により、2028年までに年間20万台分の生産能力を追加。27億ドル規模の投資で3000人の新規雇用を創出する。グローバル製造拠点では「ソフトウェア定義型ファクトリー(Software-Defined Factory)」を導入し、世界全体で年間120万台規模の追加生産を目標としている。
そのほか、次世代バッテリ技術については2026年以降、クラウド型バッテリマネジメントシステムを導入し、コスト削減と性能向上を実現。高級ブランド「Genesis」ではEREV、ハイブリッド、BEVパワートレーンをフルラインアップに展開し、フラグシップSUVを含め、2030年に年間35万台の販売を目標とした。
財務戦略では、通期売上高成長率の目標を5~6%に上方修正し、営業利益率目標(OPM)は新たに課された米国関税の影響を踏まえ、6~7%へと1ポイント下方修正。
新たに2026年から2030年にかけてこれまでの指針から7兆ウォン増額となる77.3兆ウォンを投資する計画を発表。内訳は研究開発(R&D)が30.9兆ウォン、設備投資(CAPEX)が38.3兆ウォン、戦略投資が8.1兆ウォンで、ソフトウェア人材の育成、現地生産能力の拡充、将来技術を含む戦略分野への投資を通じて、グローバル競争力を強化することが目的とのこと。
さらに、Hyundai Motorは米国での生産能力拡大とロボティクス・エコシステム構築のために15.3兆ウォンを投資予定で、これはHyundai Motor Groupによる米国への総額260億ドル規模のコミットメントの一部となる。
同社は、ハイブリッドやGenesisモデルを含む製品構成の改善、現地化戦略、コスト効率の向上を通じて、2027年までに7~8%、2030年までに8~9%の持続的な営業利益率を達成することを目指しており、株主還元は2025~2027年に総株主還元率(TSR)35%超を実施する方針を再確認し、配当、自己株式取得、自己株式消却を柔軟に組み合わせることで1株当たりの最低配当金(DPS)は1万ウォンを維持するとした。

