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トヨタ、新型2.0リッターエンジン搭載ミッドシップ「GRヤリスMコンセプト」 空力面を改善し、「神に祈る時間」を短縮
2025年10月24日 17:28
スーパー耐久第6戦岡山の練習走行に登場した32号車 TGRR GR Yaris M concept
10月24日、トヨタの新型ミッドシップ4WD「GRヤリスMコンセプト」が岡山国際サーキットに登場した。GRヤリスMコンセプトは、トヨタが開発中の新型2.0リッターターボエンジン「G20E型」をリアミッドシップに搭載し、リアの駆動軸からフロントに駆動トルクを導く構造を採用するなど、野心的な試みがいくつも採り入れられている開発車になる。
G20E型エンジンは推定で400馬力を発生すると言われており、従来の2.4リッターターボエンジンより、体積で10%小さく、エンジン高で10%低い。さらに、縦にも横にも搭載できるなど、トヨタの今後を担っていくスポーツエンジンになる。ヘッド部を特別なものに交換すれば600馬力を発生するとしており、ピュアレーシングシーンにおいての活躍も見すえている。
GRヤリスMコンセプトは、このエンジンを搭載することでパワフルな出力を手に入れ、ミッドシップエンジンによる運動性の向上、GR FOURによる駆動力の4輪への配分を実現。フロントエンジン+4WDのGRヤリスでは、どうしても存在したコーナリング中のパーシャル時間、モリゾウ選手こと豊田章男会長が名付けた「神に祈る時間」の解決を狙ったクルマになる。
リアミッドシップにエンジンを置き、リア駆動を中心に4WD機構をデザインすることで、アクセル操作での積極的な姿勢変化を狙っている。
当初、スーパー耐久第5戦オートポリスでデビュー予定だったが、コーナリングのバランスに問題があったためにデビューを見送った。モリゾウ選手によると、それは前後バランスにあり、コーナリング中にアクセルを踏んだ場合、リアから滑るのか、フロントから滑るのか、非常に分かりにくかったとのこと。佐々木選手や石浦選手のようなプロドライバーなら何とかなるが、ジェントルマンドライバーであるモリゾウ選手だと、どうしても難しい部分があった(とはいえ、モリゾウ選手はプロに匹敵するハイレベルなドライバーではある)とのこと。
その部分のセッティング変更を行ない、モリゾウ選手が岡山の事前テストで見極めを実施。その見極めで合格点が出たことから、今回の参戦が実現した。
GRヤリスMコンセプトの開発スタッフによると、具体的には前後の空力バランスの変更を行なったとのこと。このGRヤリスMコンセプトでは、ニュルブルクリンク24時間レース仕様の大きなリアウィングを装着しているが、そのダウンフォースが大きくリアが勝っていたとのこと。そのため、フロントリップにカーボンパーツを追加。フロント部のダウンフォースを増すことで、前後バランスの調整を図ったとのことだ。
そのほか、リアミッドシップにエンジンを搭載するため熱的には厳しいものがあるため、フロント部から導く冷却風を増す工夫を実施。具体的にはラジエーターを斜め置きにして大型化、冷却ファンを2基取り付け、風量を増している。実際に3時間のレースを走ることで能力を確認していく。
練習走行では1分38秒台前半のタイムが出ており、ST-2クラスを凌駕する速さを見せつけている。3時間耐久のため最終的なリザルトは分からないが、まずは完走してデータを集めていくことになるだろう。





