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NTT、自動運転専業の新会社「NTTモビリティ株式会社」を設立

2025年11月4日 発表
自動運転事業を推進する新会社「NTTモビリティ株式会社」のWebサイト

 NTTは11月4日、2025年12月15日付で、自動運転事業を推進する新会社「NTTモビリティ株式会社」を設立すると発表した。

 新会社は、NTTグループ各社が取り組んできた全国35件以上にのぼる自動運転の実証実験の成果を集約し、自動運転車の安定的な提供、全国各地で地域に密着した導入および運用サポートの提供、高速および高信頼通信による安心安全なサービスを提供する。

 主な事業内容として、自動運転車両の調達および提供、車両保守やメンテナンス、駆け付けを含む車両管理などによる「自動運転車両提供・管理サービス」、走行エリアの構築やマップ作成などの導入支援、運行トレーニングプログラムの提供を含む運行支援などの「自動運転導入・運用支援サービス」、遠隔監視システムの構築、提供などの「遠隔監視システム提供サービス」を挙げている。

NTT株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 島田明氏(写真は2025年5月に撮影)

 NTTが11月4日に開催した2025年度第2四半期業績発表の席上で、NTTの島田明社長は、「NTTグループは、自動運転に関わる実証実験を全国各地で数多く実施してきた。自動運転の社会実装を加速するため、これまでに培ったグループ各社のノウハウを集約し、自動運転専業の企業を設立する。新会社は、自動運転の仕組みをパッケージで提供する会社になる」と位置付けた。

 自動車メーカーや自動運転システムベンダーとのアライアンスのほか、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTドコモビジネス、NTTデータといったNTTグループ各社との連携を進め、2030年度には数百億円規模のビジネスに成長させる考えだ。

「政府では、2027年度までに100か所で自動運転サービスを行ない、2030年度までに1万台の自動運転車を走らせる計画を掲げている。NTTモビリティでは、この計画にしっかりと参画していきたい」とし、「ドライバー不足で、タクシーなどの稼働率が下がっているという社会課題がある。できるだけ早く、こうした社会課題を解決したい。ステークホルダーとの協業をさらに進め、自動運転の社会実装に関するさまざまな課題解決に取り組む。NTTグループが強みを持つ通信ネットワークサービスの活用など、関連サービス、ソリューションを展開し、安心安全でサステナブルな自動運転の仕組みの確立と、自動運転社会の実現を目指す」とした。

 NTTモビリティはNTTの100%子会社で、資本金は14億3000万円。本社は東京都港区に置く。NTTグループ各社から自動運転を担当していた社員を集め、まずは数十人規模でスタートし、プロジェクトの増加に伴って陣容を拡大していく。専門知識を持った人材の採用、アライアンスの強化などを進める考えも明らかにした。

 自動運転サービスの導入および運用を包括的に支援するワンストップサービスを提供するほか、安心安全な自動運転車両の提供体制の確立、全国規模かつ標準化されたオペレーションの実現、日本の道路環境に適応するインフラ環境の整備などの課題解決にも取り組むという。

自動運転事業を推進する新会社「NTTモビリティ株式会社」の事業概要

「サービスを利用するのは地域住民や各種施設の利用者になるが、NTTモビリティがサービスを提供する対象は、公共交通を担う自治体やタクシー会社などの交通事業者になる。営業活動は、NTTグループ各社が進めることになる」としている。

 定時・定路線バス、オンデマンドバス、タクシーなど、求められる交通サービス形態や技術要件は地域によってさまざまであるが、地方自治体や交通事業者など、さまざまなステークホルダーとの連携を深め、各地域で必要とされる最適な自動運転サービスの提供を行ない、社会実装に向けた取り組みを加速させていく考えを示している。

 また、自動運転サービスの提供では、さまざまな道路環境やニーズに適応した自動運転車両の提供だけでなく、自動運転システムのソフトウェアアップデート、不具合時の駆け付けおよび改修の体制を確立。NTTグループ各社を窓口として、交通事業者などの運行主体の事業者が安心して自動運転サービスを利用できる仕組みをワンストップで提供。NTTグループが強みを持つ通信ネットワークサービスなどの活用を通じて、自動運転レベル4に求められる要件、課題を解決するソリューションや関連サービスも展開する。

 NTTグループ各社とともに、地域に対するサービスを提供。それぞれの地域のニーズに応じた最適なサービスを提供するとともに、運行支援システムの共通化、業務プロセスの標準化および効率化などを推進し、全国での自動運転ワンストップサービスを提供できる体制を整備。2027年度までに、遠隔監視システムやインフラ協調システムなどをはじめとするNTTグループの強みを活かした自動運転サービスの提供を目指す。

 また、地域公共交通において必要となる乗務員業務についても、AI化の取り組みを推進し、遠隔監視型の自動運転レベル4の実現に向けて取り組む。

 NTTの島田社長は、「ひとつの会社にまとめることで、遠隔監視システムやプラットフォームを一本化できることがメリットになる。コスト効率やオペレーション効率を高め、情報処理能力の高さ、通信事業者としての強みを発揮しやすくなる。ただ、外部の力を活用しないとうまくいかない事業である。外部の力を駆使しながら新会社を盛り立てていきたい」とした。