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京セラ、「CES2026」出展技術を紹介 「3眼AI測距カメラ」「高分解能ミリ波センサ」など
2025年11月19日 16:55
- 2025年11月11日 実施
京セラは11月11日、米国ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」に出展する技術を公開するメディア向けの事前見学会を実施した。
CESは例年1月にラスベガスで開催されている世界最大級のテクノロジー見本市で、古くは家電関連が中心となっていたが、最近はテックイベントとしてモビリティ関連の企業の参加も多い。2026年の開催期間は1月6日~9日(現地時間)。
京セラはKyocera AVX Components Corporation、Kyocera International Inc. および京セラドキュメントソリューションズとともに出展。ブースでは水中ドローンなどへの活用が期待される水中光無線通信や3つのカメラを搭載した3眼AI測距カメラ、高分解能ミリ波センサなどの商品や技術のデモ展示を行なうとしている。ブースはラスベガス コンベンション センター(LVCC)のWest Hall Vehicle Tech and Advanced Mobilityゾーンで、ブース番号は6501。
3眼AI測距カメラ
プレゼンテーションには京セラ 研究開発本部要素技術研究開発統括部 先進技術研究所第2基盤技術ラボ 岡本悠太郎氏が登壇。
まず、新たに開発した3眼AI測距カメラの特徴として、従来のステレオカメラでは難しかった至近距離での測定や繰り返しパターン、反射・半透明の物体にも対応できると説明。具体的にはステレオカメラでは視差の組み合わせが「左-右」と1パターンのみとなるが、レンズが3つの場合は「左-右」「左-上」「上-右」と3パターンに増えるため測定の信頼性が向上しており、ここに独自のAIアルゴリズムを組み合わせることで半透明や反射物体の測距も実現する。また、このカメラでは「1つのイメージセンサ上に3つのレンズを並べる」設計とすることで、近距離の測距のほか筐体の小型化も実現していると述べた。
こうした特徴を持つことから、「繰り返しのパターンの多い検査工程であったり、針や糸が多い環境での手術ロボットであったり、農業分野での収穫ロボット」などでの利用を想定しており、今後さらに多様な産業分野でも応用が可能だとした。
高速水中光無線通信機
京セラ 研究開発本部システム研究開発統括部 コミュニケーションシステム研究開発部 木村亮太氏が研究開発の経緯を説明。「近年、海洋資源の採掘や海底ケーブルの点検などで、自律型無人潜水機『AUV(Autonomous Underwater Vehicle)』の活用が進んでおります。水中を自由に運行するAUVを効率的に運用するためには無線通信が有用になります。しかし、水中では電波の減衰が非常に大きく、スマートフォンのような電波による通信が困難」といい、高精細の映像や動画のような大容量のデータを送るには不十分とのこと。そこで、光を使った水中での高速通信に挑戦したと述べた。
この通信機はKYOCERA SLD Laser製「GaNレーザー」と「Li-Fi」技術、京セラの通信技術により「水中での安定した高速通信を実現」していると説明。2025年8月に実施した実証試験では「にごりや太陽光など光無線通信を阻害する環境下で世界最速レベルの750Mbpsの通信に成功した」と述べるとともに、今回展示しているモデルはさらに進化しており、高速化と製品化に向けて注力したものになっていると紹介。さらにCES会場では通信機を2台用意し大型水槽に沈めてのデモンストレーションを用意していると来場を促した。
超高速水中光無線通信技術
続いて京セラ 研究開発本部要素技術研究開発統括部 先進技術研究所第1基盤技術ラボ 戸枝佳駿氏が登壇。
最新の高速通信方式をベースとした独自の通信仕様を開発し、この超高速水中無線通信技術により短距離光無線通信において5.2Gbpsという非常に高速な無線伝送を確認しているとコメント。さらに「信号を同時に複数の経路で送る技術を光無線通信に応用して、単一光路の限界を超えたデータ通信が可能になる」と大容量化への可能性に触れ、将来的には「海底油田や海底ケーブルの点検を効率化する技術への採用」「複数の無人潜水機の協調制御」「遠隔での無人潜水機の操縦」などへの活用に期待していると述べた。
高分解能ミリ波センサ
京セラ 研究開発本部要素技術研究開発統括部 先進技術研究所第1基盤技術ラボ 中舎朋之氏は、構造物にミリ波センサを設置することで「クルマの走行や風などによって生じる目に見えないレベルの微小な振動を常時観測し、損傷の兆候を検知」することを提案した。
現在主流となっているのは加速度センサのような接触型だが、設置工事が必要で巨大なインフラに設置する場合は点数が多くコストも大きくなる。一方、この高分解能ミリ波センサは非接触であり、「独自の基盤材料技術による低損失化」「心拍センシングで培った高度な振動解析技術」「空間分離技術による4Dセンシング」の特徴を持つことから、「構造物ヘルスモニタリングに適した非接触で、現場で手軽に使える高精度のセンサを実現します」と紹介。「このセンサを用いることで社会インフラを人の代わりに見守る世界を目指しております。これまで人が定期的に点検していたのを、センサが常時モニタリングし、異常の兆候を自動で検知して通知する。こうしたシステムが普及することにより、事故の未然防止や維持コストの削減はもちろん、点検業務の効率化、人手不足の解消にもつながります。さらに本センサは橋梁だけでなくトンネルや高架、プラント設備など幅広い構造物への適用が可能です」と高分解能ミリ波センサの可能性について言及した。
光電集積モジュール(OPTINITY)
PCI Express用光電集積モジュールについては京セラ 研究開発本部フォトニクス事業開発部 古谷武史氏が概要を説明。
現在、データセンターのような施設ではAI時代の到来によるデータトラフィックの増大と消費電力の削減が社会的な課題となっており、電気信号通信の距離制限(約7m)への解決策として同モジュールを提案。このモジュールはCPU近くに配置することで電気的な配線を短縮でき、光接続により現在は30mまで、次世代の目標としては500mまでの伝送距離を目指しているとコメント。「データセンターのサーバー性能向上、データ処理を支える通信基盤に使って、将来展望としてはAI技術の社会浸透に貢献していきたい」とした。
字幕表示システム Cotopat(コトパット)
京セラドキュメントソリューションズ株式会社 グローバルソリューション本部 グローバルソリューション開発統括部 山本康司氏は、コトパットについて「話した言葉を認識してリアルタイムに文字、図解、動画を表示することでコミュニケーションを円滑化するシステム」と前置き。「特にコミュニケーションに不安を抱える障害者の方、高齢者の方にとってコミュニケーション上の課題を解消する」ために開発を行なっており、「窓口業務のサービス向上および対応時間の短縮などに貢献」するとコメントした。
ラインアップは「Cotopat Screen」「Cotopat Mobile」の2モデルあり、前者は対面でのコミュニケーションに、後者は携帯性に優れ利用場所を選ばずに利用できると説明。どちらも「音声認識のスピードが早くリアルタイムで字幕表示が可能」「豊富な言語対応」「図解や動画で分かりやすく伝達」といった機能が特徴だと述べた。このシステムは2023年に日本で発売を開始し、2024年に双方向機能、2025年に日本でグローバル版をリリースしたほか、ドイツから欧州市場での販売を開始。今後、2026年にはアメリカ(CES)で初展示を行ない、オーストラリア、ニュージーランドでの展開を計画している。アジアおよびアメリカ市場ではニーズを確認しながら順次展開を検討していくとした。




















































