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JAIA創立60周年記念イベントin奈良 モビリティ社会におけるGX・DXの今後についてトークショーを薬師寺で実施
2025年11月27日 10:24
- 2025年11月26日 開催
JAIA(日本自動車輸入組合)は11月26日、創立60周年を記念して奈良・薬師寺にて「JAIA創立60周年記念イベント in 奈良」を開催した。会場では、業界関係者向けに最新電動車の試乗会が実施されたほか、モビリティ社会におけるGX(グリーン・トランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)の今後をテーマにした「セミナートークセッション」が実施された。
JAIAの電動車普及イベントは、2021年は東京、2022年は大阪、2023年は初のB to Cイベントとして神戸で開催。2024年は東京丸の内で初めてトークセッションや試乗会を実施するなど、一般ユーザーへの体験機会を提供してきたが、今年は1300年前に文化と技術が交差する国際的な交流の場であるとともに、安全祈願というJAIAと共通の願いを掲げていることから薬師寺での開催となった。
セミナー(トークセッション)は、阿弥陀三尊浄土図を祀る薬師寺の食堂(じきどう)で実施され、イベントを主催するJAIAのゲルティンガー剛 理事長は、「JAIAはそれぞれの時代において、自動車産業の構造変化や環境・安全ルールの変化、ユーザーの思考変化に応じて、輸入車市場の発展、多様化に貢献してきた」とあいさつ。
また、特に50周年からの10年は電動化をめぐる動きが大きく加速し、輸入BEV(バッテリ電気自動車)のラインアップは2020年10月時点の10ブランド20モデルが、2025年10月末時点では商用車も含めて、22ブランド173モデルまで広がったと紹介した。
販売台数についても、「2025年上半期は対前年で31.6%増の1万4191台と、約1万5000台に迫る勢いである」と強調したほか、「2020年以降6年連続で過去最高の台数を更新している」と説明。さらに2025年9月は、外国メーカーに占めるBEVのシェアが単月としては過去最高の15.5%を達成するなど、電動車の普及と充電インフラ整備などの環境整備に注力してきたと言及した。
また、2016年のパリモーターショーでメルセス・ベンツグループAGが、CASEを定義したことで、今後のモビリティの進化には、GXのみならずDXの観点も重要になったと紹介。今までの輸入電動車の認知向上というフィールドからステップアップし、安全運転などにも寄与するDXの実現を目指すとしている。
さらに、経済産業省や国土交通省によるモビリティDX検討会など、自動運転を含むDXに関する政府の検討会やワーキンググループの動向を注視しつつ、各地域で展開されている実証実験なども含めて情報を収集を行なってきたと説明。そして今年度からは、これらの取り組みを事業計画の基本方針に基づく事業活動として位置づけ、事務局内のDXチームに加え、会員と一緒にDX・GXタスクフォースチームを立ち上げ、情報収集に加えてバッテリリサイクルの高度化などをはじめとした課題の抽出と解決に向けた方針や対策などを検討するという。
続いて、経済産業省 自動車課自動車戦略企画室 参事官の前田洋志氏は、日米関税措置について触れ、「日米間合意によって日本側の関税を引き下げることなく、アメリカ側の自動車と自動車部品関税を、2025年4月以降に課された25%の追加関税率を半減し、基礎税率を含めて15%ときました」と報告。また、「重要なのは合意の着実な実施を通じて、日米の総合利益の促進と経済安全保障の確保に向けた協力の拡大、そして日本の経済成長促進につなげることだ」と言及した。内燃機関の脱炭素に向けた取り組みの強化も行なうという。
さらに、JAIAから要望書も出ているという車体課税の見直しについては、環境性能割引の廃止と取得時の負担の軽減、カーボンニュートラルに資する保有時の課税のあり方などを経産省として要望していると説明。合わせて、使用済み蓄電地の回収・再資源化は主要な論点の1つとして引き続き議論を進めるとしたほか、内燃機関の脱炭素に向けた取り組み強化も行なうという。
先週ブラジルで閉幕した温暖化対策の国際ルールを策定する「COP30」にて、2035年までに持続可能燃料の需要を2024年比で少なくとも4倍以上に拡大するという目標も定められたと説明。これを達成するには国際的な協力が不可欠だと紹介した。また、水素については商用車に重点を置いて導入を進めていくと言及した。
国土交通省 審査・リコール課長 堀江暢俊氏は、「会場にさまざまな国の最新モデルの車両が集まり、セッションなどを行なうといった相互理解の積み重ねこそが、具体的な課題に対応する一歩だと考えています」とあいさつ。
また、カーボンニュートラルの実現に向けては、国内のCO2排出量の約2割を運輸部門が占めてて、その大多数が自動車であることから、低炭素化・脱炭素化の推進が不可欠で、政府としては2035年の新車販売に占める電動車(日本ではBEV・FCEV・PHEV・HEV)の割合を100%にするという目標を掲げるなど、さまざまな施策を講じていると紹介した。
加えて、エコカー減税等の税制インセンティブに加え、乗用車と比べて普及が遅れている商用電動車や充電設備の導入への支援など、関係省庁と連携しつつカーボンニュートラルの実現に向けた各種施策に引き続き取り組むと説明。
人の移動を持続させるためには自動運転サービスの普及を進めることが急務で、国交省では補助事業を通じて地方自治体を支援して、これまでに運転者を要しないレベル4の自動運転サービスを全国9か所で実現してきたとアピール。
全国のバスタクシー等の公共交通、幹線輸送トラック車両の2.5%を自動運転車両にすることを目指し、新たに2030年における自動運転サービス車両を1万台に設定することを検討していると明かした。
最後に奈良県の環境森林部長である三宅浩氏は、線状降水帯の発生や紅葉の遅れなど地球温暖化による異常気象などに触れ、「対策はまったなしの状況だと認識している」と説明。合わせて奈良県でも2025年3月に奈良県脱炭素戦略を策定し、CO2排出の約34%を運輸部門が占めているとのことで、BEVやFCEVなど次世代自動車の普及促進を施策の1つに位置付けていると紹介した。
また、BEVやFCEVについては、公用車にも率先して導入を進めているほか、家庭向けにはV2H導入の補助、普通充電器の整備促進にも取り組んでいるという。奈良でのイベント開催によって、「より多くの県民に電動車のよさを知ってもらい、普及の機運醸成につながることを期待しています」と締めくくった。
モビリティ社会におけるGX・DXの今後についてセミナーを実施
セミナートークセッションでは、自動車評論家の清水和夫氏がコメンテーターを、JAIA副理事長兼専務理事の入野泰一氏がモデレーターを務めた。
登壇者は、メルセデス・ベンツ日本から技術部部長の村上茂泰氏、Stellantisジャパンからフレンチブランドヘッドの小川隼平氏、フォルクスワーゲングループジャパンからはベントレーモーターズジャパンのブランドダイレクターを務めている遠藤克之輔氏、ゼネラルモーターズ・ジャパンからはプロダクトダイレクターの上原慶昭氏の4人。
メルセデス・ベンツ日本の村上氏は、2026年が自動車誕生140周年であることに触れ、テクノロジーリーダーとしてこれまで積み重ねてきた多くの技術革新の中から、GXに関するEVの技術革新、DXに関しては最新の車載OSやADASについて説明。
2025年6月に発表したハイパフォーマンスBEV「コンセプトAMG GT XX」に搭載されている「アキシャル・フラックス・モーター」は、イギリスにあるYASAというメーカーが開発したもので、一般的なラジアル・フラックス・モーターとは異なり、磁石についている軸が回転するという構造になっていて、その結果コンパクトな本体ながら、出力密度は3倍、トルクは2倍を発生するという。
また、F1で培った技術を生かして開発した「ハイパフォーマンスバッテリ」は、細長い新開発のバッテリセルを採用しているのが特徴。素早い放熱が可能なほか、セルを直接冷却するダイレクトクーリングシステムを採用したことで、平均850kW、電流1000Aと、高い充電性能「超急速充電を可能とし、5分の充電で約400kmを走行できる。
そして「コンセプトAMG GT XX」は、イタリアにあるテストコース「ナルド」にて、24時間の走行距離が5479kmと、これまでの記録を1500km以上更新したほか、全部で25個の世界記録を更新。なんと充電休憩を入れても7日と13時間24分7秒で地球を1周できる計算という。これらの技術は記録を作るための特別なものではなく、いずれ市販車にフィードバックするという。
DXに関しては、自社で独自に開発したという「Mercedes-Benz Operating System=MB.OS」を紹介。ADAS(先進運転支援システム)との統合が可能になったり、AIによる予測と学習により、ドライバーの負担を軽減してくれるルートの提案なども可能になると説明した。実際に多くの自動車やバイク、自転車が行き交う上海の街中をスムーズに走行している動画も上映された。また、ドイツやアメリカの一部で認められている自動車運転(レベル3)は、2021年12月の段階では高速道路で上限60km/hだったが、2024年12月に上限95km/hの走行認可を取得している。現在、国交省と日本導入についての協議を進めているという。
コメンテーターの清水和夫氏は、メルセデスは早くからゼロクラッシュ(無事故)、ゼロエミッション(CO2排出なし)を提唱していて、自動運転も積極的に開発を進めていて、まさに社会イノベーター的な存在で、社会課題を本気で解決しようと動いていると言及。
Stellantisジャパンのフレンチブランドヘッド小川隼平氏は、さまざまな取り扱いブランドの電動化が進んでいることを紹介し、ユーザーの好みにあった選択肢を提供しつつも、面でCO2の削減を加速させていきたいと説明。具体的には、プジョー90%、シトロエン83%、DS75%、アルファ ロメオ66%、フィアット42%、ジープ42%、アバルト33%と電動化車種の比率が高まっている。
またMHEV(マイルドハイブリッド)は電動化の入り口という立ち位置で、幅広い客層へのアプローチが可能という。MHEVはストロングハイブリッド並みのバッテリを持ち、完全な電動走行も可能とし、フィーリングはまさにストロングハイブリッドで、安価なパワートレーンを広く普及させるための合理的なシステムであると説明した。
続けて、ベントレーモーターズジャパンのブランドダイレクターを務めている遠藤克之輔氏は、フォルクスワーゲングループ全体で技術革新を推進すると同時に業界にも技術革新を起こす「ドライビング ザ フューチャー オブ モビリティ(Driving the Future of Mobility)」や、エントリーモデルからプレミアムモデルまで、すべての人に最高の技術を提供する「アクセスシブル イノベーション(Accessible Innovation)」、強みの強化とその実戦を示す「ストレングス&ケイパビリティ(Strength&Capability)」と3つの軸を紹介。
さまざまなブランドをまたぐ形で、プラットフォームであったり技術を幅広く展開しスケールアウトさせ、知識とプロセスをグローバルに展開すると同時に、世界中のパートナーと連携して、地域のニーズに合わせた製品とサービスを提供していくという。またデザインと機能革新を機能的に融合してユーザーに届けていくというのが、グループ全体の戦略だという。
一方サステナビリティ戦略の名称は「リジェネレイトプラス(regenerate+)」で、CO2排出量の削減や法令順守にとどまらず、自然と社会にプラスなモビリティプロバイダーをグループ全体で目指すというもの。
中でもアウディは環境プログラム「Mission:Zero」を掲げ、生産物流プロセスにおける環境負荷を低減するという取り組みを実施。2025年1月時点でアウディすべての生産拠点がカーボンニュートラルでの運用を達成している。日本でも2023年に販売店の電力をカーボンニュートラル電力にするなど、店舗運用をネットカーボンゼロとしている。
またベントレーブランドでは、設立100周年を超え、2035年へ向けた新たな戦略を構築。2026年に新型BEVをローンチするほか、ブランドのフル電動化は2035年以降へと軌道修正している。
最後にゼネラルモーターズ・ジャパンのプロダクトダイレクターである上原慶昭氏はDXについて、AI&デジタルツインによるバーチャルテストや製造シミュレーション、さらに3Dプリンタの活用などにより製造工程が進化していること、SDVにより進化する車両の開発。ICTの整備など多岐にわたると説明。
また、ゼネラルモーターズでは「ゼロクラッシュ(無事故)」「ゼロエミッション(排出ゼロ)」「ゼロコンジェスチョン(渋滞ゼロ)」を理想の未来のビジョンとして掲げていて、LMRバッテリについては従来と同コストながら30%ほどエネルギー効率の高い製品の量産が始まるという。
そのほかにも、FCEV、商用車、バッテリのリサイクルなどをテーマにトークセッションは進められた。
同乗試乗会車両・展示車両・出展社
会場には16台の試乗車、6台の展示車のほか、賛助会企業6社のブースが並び、紅葉の深まる薬師寺の中で映えていた。










































