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スズキ、リアルタイムで作業ミスを抑制できる作業分析AI「オロファクトリー」国内工場へ導入
2025年12月23日 08:30
- 2025年12月22日 発表
スズキは12月22日、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ企業である「Ollo(オロ)」が開発・提供する製造業向け作業分析AIソフトウェア「Ollo Factory」を、2025年7月に相良工場の組立工場に、同年12月にエンジン工場に正式導入したと発表した。
Ollo Factoryは、ウェアラブルカメラやスマートフォンで撮影した作業動画を解析し、手順書自動化・ムダの洗い出し・人材育成・リアルタイム異常検知などの機能を備えた作業分析AIソフトウェア。導入はスズキが推進する“スズキスマートファクトリー構想”の一環で、現場のデジタル化とリアルタイム監視によって、生産現場の作業分析・教育・品質管理を高度化するとともに、国内工場における生産性向上と不良流出防止を図るとしている。
今後は国内工場に順次導入し、将来的には国内工場での稼働実績を踏まえて海外拠点への展開も視野に入れ、グローバルでの品質・生産性レベルの底上げに取り組んでいくという。また、スズキスマートファクトリー構想の推進を通じて、生産現場のデジタル化と品質管理の高度化を図り、クライアントに常に高品質な商品を届けるよう努めていくとした。
Ollo 代表取締役CEOの川合健斗氏は、「Ollo Factoryは、これまでさまざまな企業さまとともに成長を重ね、製造現場のDXを支援してまいりました。その経験を通じて培った技術とノウハウを、スズキさまの現場でもお役立ていただけることを心より嬉しく思います。国内外の生産拠点でAI導入を加速させ、さらなる競争力強化を目指されるスズキさまと、ともに日本の製造業を盛り上げられれば、これほど嬉しいことはございません。国内工場でのOllo Factory稼働を皮切りに、スズキさまの発展にグローバルで貢献できるよう、全力でサポートさせていただきます」とコメントしている。
スズキ 専務役員の市野一夫氏は、「Olloさまとの協業は約1年前に始まりました。当初よりAIを活用して熟練作業者の高度な技能を効率的に新人へ伝承する技術に大きな期待を寄せておりました。スズキより月に1度、あるいは1台発生するような慢性的な不良の根本的な解決に向けて、タクトタイム内の重要な作業ポイントをリアルタイムで検出することが有効ではないかと相談し、Olloさまからその解決策をご提案いただきました。Ollo Factoryの導入により、生産現場の品質安定と効率化が一層進むことを期待しています」と述べている。
導入の背景と目的
現場の標準化と技術継承
スズキの日本国内工場は、「マザー生産拠点」として技術とノウハウをグループ全体で示す役割を担っていることから、Ollo Factoryで作業のばらつきを可視化し、熟練者の技能や標準作業の手順定着の支援に活用する。
生産性と品質の同時向上
作業手順の自動抽出やムダの洗い出しにより、作業効率化と品質安定化を両立。
不良流出防止
リアルタイムの異常検知機能により、ネジの締め忘れなどの作業抜けや作業ミスをその場で検出し、不良品の流出抑止を目指す。
「Ollo Factory」導入の主なポイント
スマートデバイス対応の動画解析AI
スマホやタブレットで撮影した作業動画をアップロードするだけで、AIが作業を要素ごとに自動分割・解析し、手順書の自動作成やムダの特定、最適な人員配置の検討に活用できる。
ウェアラブルカメラ対応による高精度分析(特許申請中)
自動車組立工程などで死角になりやすい箇所をウェアラブル映像でカバーして、新人と熟練者の動作差やつまずきポイントを詳細に分析することにより、教育効率の向上や改善活動の精度向上の実現を目指す。
リアルタイム異常検知による品質統一
AIがその場で作業ミスを検出し、即時のアラートで対応をうながすことで、「不良品検知の自動化」「不良流出防止」「品質のグローバル統一」の実現に寄与する。

