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コンチネンタルから独立した「オモビオ」、難波祐一郎社長が事業展開や戦略について語る

2025年12月5日 開催
オモビオ株式会社 代表取締役社長の難波祐一郎氏

 コンチネンタルから独立して新たに始動したオモビオ(AUMOVIO)は12月5日、代表取締役社長の難波祐一郎氏による事業展開や戦略についての説明会を開催した。

 9月18日にコンチネンタルから独立し、ドイツで上場された新会社「AUMOVIO SE(オモビオ エスイー)」の始動に合わせて、日本国内の関連法人も「AUMOVIO(オモビオ)」へ変更。安全でエキサイティング、かつコネクテッドな自律型モビリティを実現するため、SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)向けの電子製品や高度なモビリティソリューションを提供する企業となっている。

 難波社長は今回の独立の背景として地政学的変動(特に中国の台頭)、温暖化対策とサステナビリティへの関心の高まり、AI技術の発展、そしてモビリティ分野における電動化・自動運転・SDV化などの急速な技術変化があったといい、「その中で、私たちは事業環境の急速な変化に対応するためによりスピーディに柔軟な体制を整える必要があると感じ、スピンアウトに踏み切った次第です。150年以上にわたり安全や品質、信頼を世界の自動車メーカーとともに築いてきたコンチネンタルの伝統を受け継ぎながら、自らのスピードと創造性で新しいモビリティの価値を作っていきたいと思っています」とコメント。

 また、難波社長はオモビオのビジョンとして「未来のモビリティを創るパワーハウス」を掲げ、安全性、エキサイティングな体験、シームレスな接続性、知的な自律性を重視していると説明。同社は世界25か国以上で約8万6000人の従業員を擁し、2024年の売上予測は約20億ユーロ(約3兆6000億円)に達する見込みであること、56の製品クラスターのうち8割が世界のトップ3に入る強みを持っているとし、「このように非常に強力なグローバルチームで、オモビオは技術革新によって進化を続けていきたいと思っています。私たちはコネクテッドと自動運転の技術を通じて、安全でエキサイティングなモビリティを実現したい、このような目的を持って日々やっております」と述べた。

オモビオのビジョン「未来のモビリティを創るパワーハウス」
安全性、エキサイティングな体験、シームレスな接続性、知的な自律性を重視

 その中でも、特に知的な技術によって交通事故を削減したいとし、「国内の死亡事故は昭和45年ごろをピークに劇的に減ってまいりましたが、未だ年間2000人ほどの不幸な交通事故がある。海外に目を向けると、インドでは年間16万人もの交通死亡事故があります。より多くの人命を守るため、高性能かつ多くの車両に搭載できるような安価なシステムが求められていると認識しています。オモビオはメガサプライヤーとしての業界の一角を担っており、交通安全やモビリティを背負う立場にあります。その社会的責任を果たすべく、真摯にこれらの問題に取り組んでいきたいと思っております」とその思いを述べるとともに、オモビオとしてハードウェア、ソフトウェア、AI、そしてクラウドサービスまでワンストップで提供できることが強みであると説明する。

 一方、グローバル市場の25%を占めるJOEM(日本の自動車メーカー)のある日本市場は重要拠点として位置付けられており、「オモビオジャパンが果たす重要な役割といたしましては、日本の自動車メーカーが展開する各国の市場に向けた戦略のロードマップなどをリサーチして、マーケットインテリジェンスの機能を果たす役目を担っております。あとはJOEMの要求とか、要件に応じた品質を担保するプロセスの管理とか、プロジェクトの管理が日本で重要な機能の1つとしてあります。また、日本のお客さまとのお付き合いの仕方をよく理解しているエキスパート人材の確保です。エンジニアのみならず、品質、営業等も挙げられます。日本の自動車メーカーの皆さまとは、これまでのコンチネンタル時代から長年にわたりパートナーとして信頼関係を築いてまいりました。今後はその関係をさらに進化させて“ともにつくる研究開発”を一層発展させ、未来のモビリティに向けたソリューションを生み出していきたいと思います」と述べた。

オモビオのポートフォリオ
日本拠点の重要性について
オモビオの本社は神奈川県横浜市、従業員数は1300名
日本の拠点について。静岡県の浜北には生産工場も持つ

 製品ラインアップとしてはブレーキシステム、ディスプレイ、アーキテクチャ・ネットワークソリューション、自動運転技術など多岐にわたる製品を提供しており、特に注目すべき技術革新としてレベル4の自動運転システム、AIを活用した視界改善技術、ドライブレーキシステム、3Dディスプレイなどを紹介。

 また、難波社長は「GLOCAL(グローカル)戦略」を強調し、日本流の仕事のやり方とグローバルスケールを掛け合わせることで競争力を高めていく方針を示すとともに、「日本人らしい、日本らしい対応をしていきたいという思いからこのGLOCAL戦略を打ち出しました。日本のお客さま向けに世界に向けたビジネスを推進しております。日本には日本流の仕事のやり方があると思っておりますし、お付き合いの作法もあると思います。おもてなしという言葉がまさに当てはまるかと思いますけれども、おもてなしの気持ち、高いクオリティスタンダード。これは海外の方は過敏と思われるかもしれませんが、細部まで考え抜かれたプロセスによって築き上げた日本車の信頼性が揺るぎないところに来たというのは、こういうような気持ちがあったからこそ。私ども部品メーカーも、日本の自動車メーカーさまと同じような考え、同じような思いでやっていかないと溝は埋まらない。日本流の良いところとオモビオのグローバルスケールを掛け合わせてわれわれの強みにしていきたいと思っております」。

「これまでメルセデス・ベンツやBMWでの仕事が多く、そこで搭載された製品を日本のお客さまに紹介していく、ちょっと一方通行的なところがあったと思いますけれども、だいぶ時代が変わりました。先ほど言った通り中国の台頭、本当にいい自動車を中国も作り始めていますし、やっぱりローカルに適したお客さまの意図に合ったお仕事の仕方をしていかないとこれ以上の成長はないかなと思っておりますので、こういうグローバルとローカルの活動がうまく組み合わさったグローカル戦略が必要と私は思っております」と戦略についての解説を行なった。

JOEM向けビジネスの中核を担う日本の組織
主な製品
GLOCAL戦略について